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天下無双の僕がゆく  作者: わたくしですわ
一章 学院入学編
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第十三話 襲撃

 約束の時間になったので図書室を後にし、再び中庭に戻った。


「情報は得られなかったです」


 シノーペ達の結果は、収穫なしといったところだった。

 でも、聞き込みをしてくれただけで感謝だ。


「僕達は図書室でピエロの持っている短剣について調べたんだ」


「その結果、ピエロは半月以内に北の貧民街に行っている可能性が高いという事が分かった。それが役に立つかと言われると微妙だけれど」


 シノーペ達は驚いた顔をしていた。


「ピエロは、短剣を持っているのですか?」


「ああ、持っているという情報もあった事を忘れていた」


「全くですわ。もっと早く言ってください」


 ホタルに怒られてしまった。だが、今回に関しては僕が悪いな。


 結局、今日は情報を掴む事があまり出来なかった。

 明日と明後日は休日だが、転入生の僕だけ補講がある。

 明日は一人で情報を集めるとしよう。





 それから三日が経った。

 僕は昨日と一昨日、補講の後に図書室に行ってピエロについての情報を引き続き調べた。

 しかし、特に大きな成果は得られなかった。


 それと一匹動物を拾った。

 それは、ミニドラゴンと言った感じだった。

 学院の庭の端に、弱弱しく寝転がっていたので帰り際に引き取ったといったところだ。

 澄んだ海のような青色の目で黄緑色のミニドラゴンをナギと名づけることにした。


「ナギ、よろしくなー」


 ひとまずナギは、自分の部屋で飼うことにした。学院の寮は、許可を取れば動物を飼う事が出来る。

 餌は……肉で良いか。散歩とかさせた方が良いのかな?





 授業が終わり、僕達は前と同じ中庭のテーブルに集まった。


「今日はピエロ探しをしようと思う。危険が伴うから気を付けないとだな」


 意気込みを僕が話したその時だった。


「大変だ! 侵入者が現れた!」


 そう言って、走り回っている生徒がいたのだ。


「侵入者?」


 僕は正直、これ以上面倒ごとに首を突っ込むのは避けたいと思った。

 ここは先生や生徒会に任せよう。僕達が出る幕じゃない。


「皆、急いで逃げよう。とりあえず、校舎の中に」


「なら、先に行ってくれ。俺は先生や生徒会が来るまで逃げ遅れた人がいないか探してみる。それで可能なら時間稼ぎをする」


「え? 逃げるべきだろ。ヒナタ、勇気を出す時を見誤ってないか?」


「確かに、アランの言うべき通りだ。それでも、だとしても、俺は立ち止まって見ているなんて出来ねえんだ」


 ヒナタは熱い性格で面倒事も嫌がらず、引き受ける人間だと分かっていたが、この状況でも何一つ変わることが無いとはな。


「そうか。なら、友達が危険な目に遭うかもしれないのに逃げるわけにはいかないな」


「アラン……お前が来てくれるなら心強いぜ」


「俺も行く! 友達なら引き下がれないよ」


 ルカ…… お前も来てくれるなら頼もしいな。


「シノーペとホタルは、先生や生徒会の人達を呼んでくれ」


「先生と生徒会は今、体育館で学院会議をしているから気づいて無いと思うんだ」


 ヒナタの呼びかけに応じる二人。この場を後にし、体育館に向かって走り出した。


「僕達も行こう!」





 僕達は侵入者のいるであろう学院の入り口の方へと向かっていく。

 すると、正面に立ちはだかる剣を持った男二人。

 一見すると強そうには見えなかった。あの程度なら、僕でも勝てる。そう確信できた。


「門兵は何してるんだよ」


 不満気な声を漏らすヒナタ。

 確かにここまで侵入されているとは思わなかった。


 男二人に、突撃しようとしたその時だった。

 男達の後ろに、黒い時空の裂け目のようなものが現れた。


「なんだあれは」


 始めてみるものであったため、警戒心を強める。

 するとそこから、大柄な男と少し遅れて女が出てきた。


「よし、ここがラインブルク修剣学院か。目的は何だっけ?」


「ルカっていう、ここの生徒の確保でしょ」


「そうだったな」


 ルカの確保? どういうことだ。

 なんで、ルカが狙われているんだ。

 

「おい、おまえら何者だ! ルカは渡さねえぞ!」


 ヒナタが声を荒げる。そして、剣を抜き構えに入った。

 それに続いてアランとルカも剣を構えた。


「あら、そこにいる子、伝えられた情報と似ているわね。もしかして、ルカ君かしら?」


 女がルカを指さし尋ねる。


「ああ、そうだ。俺がルカだ! そうだとしたら何なんだ」


「あらー、目標が飛んだ先にいるだなんて幸運だわー」


「話は終わりだ。ルカ、お前を捕まえて帰る。それ以外は皆殺しだ」


 大柄な男がそう言うと大剣を抜き、迫ってくる。

 僕達が先生や生徒会が来るまで戦うしかない。

 しかし、相手の実力が未知数だ。

 そして、脳裏に蘇るルシファーとの戦闘の記憶。


「初級魔法 ジオ・ミスト」


 アランは魔法を唱え正面を霧で包んだ。周囲に霧が立ち込み、温度が下がる。


「くそ、前が見えねえじゃねえか」


 大剣を振り回し、霧を払おうとする男。

 そこにアランは追撃を加える。


「中級魔法 ネオ・フリーズ」


 さらに霧の出ている辺りに追加で魔法を当てた。すると、霧の出ていた場所が一斉に氷で埋め尽くされた。


 僕は今、魔法のコンボを作りだしたのだ。

 初級魔法で霧を作り、中級魔法のネオ・フリーズで空気中の水分を固め氷にした。

 これで、あいつらを氷漬けに出来たはずだ。少しは時間を稼げるはず……


「二人とも、ひとまず相手の動きは止めた。けど油断はできない。警戒していこう」


 ピキッ


 しかし、一瞬にして氷にひびが入った。

 氷のひびは次第に大きくなっていき……


 バリーン


「誰の動きを止めたんだ? 俺達には、ちとぬるすぎるな」


 氷は大きな音を立て一瞬にして崩壊した。散らばる氷は、無残にも溶けていく。


「まじかよ」


 思わず、僕の口から驚きの声が漏れた。この魔法の組み合わせは、かなり強固に固められるはずだったのに。


「くそ、止められないか。来るぞ!」


 大剣を再び構え、こちらに迫りくる大柄な男。


「こいつは、俺が食い止める。あの女は、アランとルカでどうにかしてくれ」


「分かった。やばくなったら、頼れよ!」


 大柄な男の実力が分からないが、今は頼るしかない。


「行くぞ、ルカ!」


「ああ、勝つ気でいくよ」


 僕とルカはもう一人の女に向かって走り出した。魔力を解放し、剣に強く籠めた。


「いいわね。少年の友情にも興味はあるけど、それはまた今度にしてルカ君を捕まえて帰るとするわ」


「シャドウ・ホール」


 そう言って、女は手を合わせた。不気味な魔力が放たれる。

 すると、手から小さなブラックホールのようなものが発生した。

 そこに、女は両手を入れた。その結果、手首より上の部分が消え、代わりに両手にはブラックホールが纏わりついていた。


「手が消えた?」


「やつの天武だろ。警戒してくぞ」


 僕とルカの警戒心と緊張感が高まる。


「せっかくの機会だし名乗っておくわ、私の名前はフランソワーズ・ペトロよ」


「フランとでも呼びなさい」


 フランは剣を取り出すどころか、動くことなくその場で拳を振った。

 何か来ると確信し、警戒を強めようとしたアランの胸元辺りに突然拳が現れた。


 ドスッ


「ぐはっ」


 僕は胸にパンチを食らってしまった。

 だが、天武は何となく分かった。おそらく、フランの能力は空間移動の能力だ。

 門兵に気づかれる事無く学院に侵入できたのも、フランの能力だろう。

 そして、今のパンチは拳をブラックホールの中に入れておき、任意のタイミングで指定の位置に拳を放てるのだろう。


 ルカの方を見ると、どうやら右腕にパンチを食らったみたいだ。


「平気か? ルカ」


「ああ、なんとか耐えたよ。今のは、フランの天武かな?」


「そうだろうな。常に、体を魔力で覆っておいた方が良さそうだ」


 攻撃から立て直し、再び走り出そうとしたその時、またしてもフランは素振りをした。


「来るぞ!」


 体を魔力で覆い、防御に集中する。

 そこに拳が襲い来る。

 右肩に左足に、腹へと無数のパンチが繰り出された。


 なんとか凌ぎきり反撃に出ようとしたが、再び拳が放たれる。


「止まらない……」


 次第に鈍いダメージが増えていく。少しずつ体が重くなる。

 ルカは耐えられているだろうか。そんな雑念をいっぱいに少しずつ前に進みだす。

 止まっていては、いつかやられるだけだ。


 僕はダメージを食らう覚悟でフランに接近した。助走をつけてジャンプをし、空中に飛び上がる。そして、空中に浮かび上がるタイミングで剣に魔力を込めた。


「剣技 レクイエム・ガンマバースト」


 剣先をフランに向け、剣技を放つ。


「な!」


 突如、僕とフランの間に黒い時空の裂け目のようなものが現れた。

 僕は理解が追い付かずそのまま裂け目に吸い込まれてしまった。

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