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スペース飯テロ輸送艦 最強宇宙船で本物の食材を狩り尽くし、最高のグルメで銀河をわからせる  作者: 空向井くもり


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第44話 心臓と弾丸

 商業コロニー『トランザクション・ハブ』を出港し、マッコウクジラは戦場跡へと向かう航路に入った。

 到着まではしばらくの余裕がある。

 俺はミナを連れて、船の心臓部である機関室へと向かった。


「……ここが、ジェネレーター?」


 重厚な隔壁を開けた先、仄暗い空間の中心に、それは鎮座していた。

 鈍く輝く黒い金属の塊。表面には幾何学的な紋様が走り、脈動するように青白い光が明滅している。

 一般的な反応炉のようなパイプやケーブルの乱雑さはなく、どこか異質な、工芸品のような静謐さを纏っていた。


「ああ。こいつのエネルギー配分、お前が調整したんだろ? どうだった?」

「……正直、意味がわからなかった」


 ミナが正直な感想を漏らす。


「出力が桁違い。規格外とかそういうレベルじゃない。都市一つ分の電力を賄えるくらいのエネルギーが出てる。しかも、構造がブラックボックス化されてて、中身がどうなってるのか解析不能だった」

「だろうな。こいつは表に出てる技術じゃない部分もあれば、工学技術じゃないファンタジーめいた部分もあるからな」


 ゲーム時代、メインクエストの進捗や数多の関連イベントで強化に強化を重ねてきた、俺の自慢の心臓部だ。

 「無限に近いエネルギー効率」という触れ込みだったが、まさか現実になってもその性能が維持されているとは。

 いや、正直に言えば普通に怖い。


「整備してくれたおかげで、シールドも武装も安定したよ。感謝する」

「……感謝されるようなことはしてない。わたしはただ、溢れ出てるエネルギーを効率よく流れるようにバイパスを作っただけ。本体には指一本触れられなかった」


 ミナは悔しそうに、しかし畏怖の念を込めて黒い塊を見上げた。


          ◇


「次は主砲だ」


 俺たちは機関室を出て、船体上部の武装区画へと移動した。

 そこには、長大な砲身を持つ巨大な兵器が格納されていた。


「特大型兵装『イオンキャノン』だ」

「……これ、物理的な破壊力よりも、電子攻撃に特化したやつだよね?」


 ミナが砲身の周りに配置されたコンデンサ群を見て呟く。


「ご名答。こいつは着弾対象に強力なイオンチャージを流し込み、ジェネレーターに過負荷を起こして機能不全に陥らせる。敵艦を破壊せずに『無力化』するための兵器だ」


 マッコウクジラが戦闘艦ではないのは主砲がこいつであることからも明らかだ。明らかだと言え。


「それと、こっちが今の主力のパルスレーザーだ」


 俺達は移動し、より取り回しの良さそうな砲塔を眺める。


「こいつの冷却機構、たぶん既存の合金じゃない。放熱効率が異常に高いから、連射しても砲身が溶けないんだと思う」


 ミナが砲身を撫でながら分析する。そういえば、これも発掘兵装だったか。エネルギー兵器の特性として、ジェネレーターからの出力分配に応じてクールタイムと引き換えに威力が上がる仕様だった。

 あのジェネレーター出力に耐えてくれてるのはそういうことだったわけだな。ゲーム内のフレーバーテキストなり何なりにそういうこともかいてあったのかもしれない。

 輸送艦が重武装なのは実際プレイヤー的な都合だったが、今となっては頼もしい限りだ。


          ◇


 一通りの案内を終え、ブリッジに戻った俺たちは、今後の作戦会議に移った。


「実弾兵装、チェックした時、空っぽの砲塔も多かったけど? あれ全部飾り?」


 ミナが不思議そうに尋ねる。


「いや、撃てるもんなら撃ちたいさ。だが、小口径弾ならともかく、艦載砲クラスの中口径以上の弾薬は、基本的に軍用品扱いだ。購入するにはシルバーランク以上の傭兵ライセンスが必要だったり、正規軍の許可証が必要だったりと、ハードルが高い」


 俺は肩をすくめた。

 金があれば買えるというものでもない。コネと信用が必要なのだ。

 今の俺たちには、そのどちらも不足している。

 だが、実弾兵装も手に入れば惜しまず使うぞ。エネルギー属性に耐性を持つ相手もいる。基本的にはシールドに弱いが、高価だがシールドへの有効性が高い特殊弾もあるようだからな。

 もしかしたら、沈んでいる軍艦から未使用の弾薬が回収できるかもしれない。


 俺はルシアに指示を出した。


「ルシア、エネルギー回路のチューニングだ。前回の戦闘データを元に、近接防御火器への供給レスポンスを上げてくれ。ドローン相手だと、反応速度が生死を分ける」

「了解。対艦兵装への出力を15%カットし、対空パルスレーザーおよびシールド制御系へ割り当てます。……最適化完了」


「よし、これで準備は整った」


 あとは、現場でどれだけの「お宝」が拾えるかだ。


「到着まであと2時間。仮眠をとるなら今のうちだぞ」

「……寝れるわけないでしょ。こんな化け物みたいな船の整備を任されて、これから戦場に行くなんて」


 ミナは深々とため息をつきながらも、手元のタブレットで整備マニュアル(自分で作ったものだろう)を見返していた。

 面白かった、続きが楽しみ、と思っていただけたら「★」をポチッと!

 アキトの明日の夕飯が少しグレードアップするかもしれません。よろしくお願いします!

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