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第32話〜ぶつかり合う矜持〜


再び激しい殺意を俺に向けるオウルアイ・ストリクス。

彼は両手の剣にさらに魔力を込めると、その剣から発せられた炎と風によってフィールドを熱気が包み込む。


急激な温度変化によって地面に陽炎が生じゆらゆらと揺れている。


「熱くねぇの?」


離れた位置でもこれだけ熱を感じるということは、その中心にいるオウルアイはその比ではないほどの暑さに見舞われているのではないか。

ふとそんな事が気になり質問をぶつける。


煽る意図はなかったのだが、オウルアイはそれに対して明らかに苛ついたように答える。


「馬鹿が。魔法の効果が発動者に及ぶわけがないだろうが」


「あぁ。言われてみれば俺も光の魔法を使っている時に眩しさで目が眩んだりはしていなかったな」


「そんな事も知らん素人が、騎士団の門をくぐろうとするなど、どこまでも人を愚弄するのが好きな人間のようだな…」


その目にある種の怒りの感情のようなものを感じ取った瞬間、オウルアイが勢いをつけてこちらに斬り掛かってくる。


だいぶ目が慣れてきたようで、彼の動きをしっかりと目で追える。


「見えてるぜ!」


今度はオウルアイが攻撃態勢に入るよりも早く、こちらからの一撃によって相手の攻撃モーションを止めようとする。


その作戦は見事にハマり、オウルアイは即座に攻撃から防御に切り替えこちらの攻撃を風の剣で受け止める。


よし、初動を潰した。

これで次は一歩引いて炎の剣を受け流せば…


「次は炎の剣を受け止める、とでも考えているのか?」


オウルアイがそう言って口元を歪ませた瞬間、風の剣の周囲を荒々しい薄黒い暴風が包み込み、俺の剣を弾き飛ばしてしまった。


「なっ…!?」


「これで終わりだ」


剣という唯一の防御手段を失い、完全に丸腰になった俺に対して、オウルアイは天井にまで立ち昇るほどの大きな炎を携えた剣を構え、それを一切の迷いなく振り下ろす。


あんな攻撃受けたらただでは済まない。

なんとか回避手段を…いや、避けたところでオウルアイのスピードならすぐに追いつかれる。


ここは正面から受け止める以外に手はないが、どうすればいい…?


白刃取りでも試すか?

それも駄目だ、万が一成功したところで腕を焼かれてもう戦いどころではなくなる。


だったらどうする?他に何か手は…


【驚きました、ハルキって魔力操作が使えたんですね…】


ふと脳裏にリリーの言葉がよぎる。


直感的に俺は手を弾き飛ばされた剣の方に伸ばす。


そして同時に剣の挙動を確かめる暇もないうちに俺はイメージだけで剣を握りしめ、全力で腕を振るって炎の剣を受け止める。


‐ガキィィンッッ‐


鈍い音が決闘場に響き渡る。


「なんだと…?」


さすがに驚きを隠せない様子のオウルアイ。

その反応を受けて…俺は自身の右手を確認すると、手の中には弾き飛ばされたはずの自身の相棒がしっかりと手中に収まっていた。


「間一髪だったな…今度はこっちから行くぜ!」


止めの一撃を防がれて確実に動揺の顔を見せるオウルアイに対し、それを好機に一気に攻め込む。


彼の持つ風の剣に向かって、もう一度こちらの剣をぶつける。


「学習能力の無いやつだな。もう一度弾き飛ばしてやる」


その攻撃に対して、オウルアイは再び先ほどの爆風を使って俺の剣を弾こうとする。


だが、そんな事は想定内だ。


俺が使える唯一の力、光の魔法を刀身に込め、それを衝撃波として飛ばすのではなく、剣に纏わせたまま風の剣に叩きつける。


刀身に纏わせたまま剣を振るったことで、光魔法を使った際に出る衝撃波、それが一歩遅れて剣同士がぶつかり合った瞬間に発生する。


「お返しだ!!」


風の魔法はこの衝撃波で打ち消せることはさっきの攻撃で立証済みだ。だから…


衝撃波に巻き込まれた風の剣は纏った暴風をかき消され、遥か遠くに弾き飛ばされる。


「くっ…!!」


剣の1本を失ったオウルアイ。

彼も剣を取り戻すための挙動を取るかとも思ったが、早々に弾かれた剣には見切りをつけ、炎の剣を両手で握り直して体勢を立て直す。


「今度はその剣もぶっ飛ばしてやるよ!」


完全に攻勢に転じた俺は再び剣に光の魔法を纏わせて、今度はそれを炎の剣にぶつけようとする。


「だから学習能力がないと言ったんだ!同じ攻撃が、2度も通用すると思うな!」


剣がぶつかり合う寸前、オウルアイは自身の武器の軌道を僅かに逸らし、衝突を回避させる。


「なっ…!?」


衝撃波が生まれるのはあくまで剣がぶつかり合った瞬間だ。

それゆえにぶつかる対象を失った俺の剣は虚しく空を切るだけになってしまう。


「今度こそ終わりだ」


盛大な空振りで体勢を崩した俺に向かって、炎の剣を振るうオウルアイ。


攻勢に回ったための油断もあったのだろう。


俺はこの時防御も回避もまるで想定しておらず、炎の剣は完璧に俺を捉え、俺の身体を深々と切り裂いたのだった。




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