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第31話〜あるべき戦い方〜


剣を再び強く握りしめ、オウルアイに向き合う。


「まだやる気か?傷を治したところで、俺に勝てない事実に何の変化もないはずだがな」


「かもな。ただ、こっちも簡単に負けられない事情ができたんでね」


リリーの想いや渡してくれた回復薬の恩に報いるためにも、何もせずに終わるわけにはいかない。


負けるにしても、せめて一撃…一矢だけでも報いてから敗退しよう。


そんな思いを胸に集中力を高める。

程よく頭に登っていた血が抜けたおかげで焦燥感が消え、思考がクリアになっていく。


スピードもパワーも技術も経験も、恐らく戦いに関してのメンタリティも向こうが上…


そんな中で俺がアイツに勝ちうる可能性があるとすれば…元いた世界の知識と、不確定要素の大きい光の魔法の力だろう。


さて、ならそれを使って相手に一撃を与えるにはどうするべきか…


「いつまで構えている?来ないのならこっちから行くぞ」


思考を巡らせていた矢先に、再びオウルアイが仕掛けてくる。

相変わらず圧倒的なスピードでこちらとの間合いを詰めてくる。


動きが読めない以上、また予測で回避するしか…


「見える…」


目が慣れたのだろうか。

うっすらとだが、向こうの速度が追えるようになっている。


さらに集中し、彼が次に繰り出す攻撃を見極める。

左半身に近づいて、炎の剣で俺の足への突き…


‐キィィィンッ!!‐


「なに…?」


炎の剣から繰り出された一撃を弾き返す。


先ほどまでやっていた、ただ剣を攻撃箇所に滑り込ませて受け止めるのとは違い、明確に相手の攻撃を見切った上での一撃。


その攻撃の質の変化にオウルアイも少しだけ眉を動かして反応する。


さらに剣撃を弾き飛ばしたことで、奴の体勢が崩れ風の剣による2撃目の間合いからも外れた。


「これなら…!」


ようやく作った反撃の隙、そこを利用して一気に攻め込もうとしたのだが、


「短絡的だな、この程度で俺の攻撃を止めたつもりか?」


「何言って…」


「俺の剣を舐めるなよ」


オウルアイは完全に間合いの外から風の剣を振るう。

それはただ空振りになるかと思われたが…次の瞬間、風の剣の刀身から緑色の魔力を纏った風の刃が生成され、そのまま俺に向かって飛んできた。


「くっ…!!」


完全に不意を疲れた一撃。

反撃のチャンスだと思い相手の方に大きく踏み込んでしまっていたため、今の体制から横に避けるような真似は出来ない。


だがあんなものを食らっては、腕ごと持っていかれかねない。


魔法の斬撃、あれを防げるとすれば…

そうだ、こちらも同じものをぶつければいい。


風の刃が迫る僅かな時間に、ホーングリズリーと戦った時の記憶を呼び覚ましていく。

極限状態で掴んだ光の魔法、それを再び発動させ刀身に宿す。刹那、俺の手に握られた剣が眩い光を放ち始める。


「その魔法は一体…まぁいい、なんであろうと発動出来なければ同じだ」


彼の言葉通り、既に風の刃は俺の目の前まで迫っている。

それでも…まだ剣を振り抜く猶予くらいは残っている。


横薙ぎの風の刃に対して十字を描くように、俺は剣を振り下ろす。そして同時に振り下ろしながらありったけの魔力を注ぎ込み、剣の光を強めていく。


そしえ剣を振り抜いた瞬間、束ねた光が大きな衝撃波を生み出して風の刃を飲み込んでいく。


「なんだと…?」


飲み込まれた風はあっという間に消えさり、衝撃波は勢いそのままにオウルアイに迫っていく。


光の魔法の一撃によって攻守が一転し、今度はオウルアイが俺の攻撃にさらされる。


「このままぶっ飛ばしてやる!」


俺の叫びに呼応するように、衝撃波は轟音を上げながらオウルアイに迫っていく。

ホーングリズリーをも仕留めた一撃だ。

これを喰らえば流石のあのエリート貴族とて無傷ではいられないはず。

ほんの一瞬、そんな希望が頭をよぎったのだが…


「無闇に魔力を込めただけの雑な攻撃だ。品性の欠片もないな」


オウルアイはそう言って小さく息を吐くと、炎の剣を衝撃波に向ける。

そしてそのまま軽く剣を振るうと、その小さな挙動からは想像もつかないほどの大きな爆炎が巻き起こり、彼に迫っていた衝撃波を消し去ってしまった。


「これも駄目か…」


「俺に傷をつけたいならもっと洗練されたものを撃ってこい。今の貴様では勝負にすらならん」


オウルアイが冷たく言い放つ。

確かにこの男の言う通り、今の俺にアイツに届きうる攻撃手段はない。


だが逆に言えば、攻撃を今よりもっと洗練させる事が、出来ればアイツに一泡吹かせられるかもしれない。


だから絶対に掴んでやる。

この戦いの中で光魔法の使い方を、そして…

俺自身の戦い方ってやつを。


そう覚悟を決めてオウルアイを見据えると、奴は少し苛立つように舌打ちをした。


「これだけ力の差を示してもまだ諦めないか。いいだろう、それなら徹底的に貴様を嬲ってやろう」


そう言い放ったオウルアイの目には、これまでにないほどに明確に俺に向けた敵意が宿っていた。








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