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第22話〜ヴェルセリア国営図書館〜


ホーングリズリーを討伐した俺たちは、2次試験の会場まで戻ってきた。


「戻りました」


そしてリリーが待機していたあの嫌味な試験監督官に向けて、試験が完了したことを告げる。


「なんだ?もうグリズリーに臆して逃げ出してきたわけか?」


相変わらず敵意剥き出しで俺達に接してくる試験監督官。


「アイツなら倒しましたよ。言われた通りにね」


俺がそう伝えると、一瞬だが動揺したように監督官の目が見開かれるが、すぐにいつもの様子に戻る。


「なるほど…先ほどから森の雰囲気が変わったと思っていたが、そういうことか。なんだ、お前達も少しは見込みがあるようだな」


てっきり不正や虚偽報告を疑ってくるのかと思っていたが、意外にも男はあっさりと俺の言葉を受け入れた。


「じゃあ、この試験は合格っていうことでいいんですよね?」


「あぁ、あの魔物を倒したってんなら合格で構わねぇよ。最終試験に進みな」


俺の問いかけに、男は平然と答え合格証明の紙を渡してくる。


あれだけ喧嘩をふっかけてきてその試験を突破されたのだから、もう少し大げさな反応を期待していたのだが、あまりにあっさりしている試験監督の反応に少し拍子抜けしながら証明書を受け取る。


「どうしたよ、まだ何があるのか?」


リリーも同じ気持ちだったようで、複雑そうな顔をしながら証明書を受け取る態度に、男がそう問いかける。


「…いえ、試験開始前との態度のギャップに少し驚いただけです」


「なんだそんなことか。俺は実力もねぇくせにイキがってるガキが嫌いなんだよ。だがお前達は実力を証明してみせた。だから評価してやってるってだけの話だよ」


仮にも騎士を名乗る人間の発言としては最低だが、つまりこの男ははかなりの実力主義ということなのだろう。


「なるほど、理由は分かりました。ですが…いくら実力がない人相手でもあまり人を侮蔑するような態度は控えた方がよろしいかと」


リリーは冷たい目をしながら試験監督に告げるが、男は気にする素振りも見せず笑いながら答える。


「はっはっ!!俺に意見するたぁ面白ぇ!だが、そういう事は俺より強くなってから言うことだな」


「…強くなったら言うことを聞くと?」


「あぁ、もちろん。テメェらがこの俺、アーサー・ブレイブ様を倒せたらの話だけどな」


そう言って男はニヤリと笑ってみせる。


「その言葉、忘れないでくださいね。それじゃ行きましょう?ハルキ」


そうして俺達は試験監督者のアーサーと奇妙な約束を取り付け、2次試験会場を後にする。


既に身体は疲労困憊で、このまま3次試験に突入となったら確実に落ちるだろうと覚悟していたが、ありがたいことに3次試験は5日後に行われるらしい。


それを知った俺達は安心しながら帰路につき、その日は気絶したように眠りについた。


そして次の日


「あ、ハルキ!こっちですよ!」


3次試験までに少しの猶予を得た俺とリリーは、約束した通り2人で光魔法について調べるために国営の大図書館にやってきていた。


「うわ、すごいな…」


図書館というから、前の世界で地元にあった市民会館のようなものを想像していたのだが、実態はそれとは大きく異なっていた。


外装はまるで城のような佇まいであり、想像していたよりもはるかに巨大だった。

中の様子もかなり豪華な装飾が施されており、建物だけでも重要文化財に指定されそうな勢いである。


「ふふ、ヴェルセリアの国営図書館は世界で一番大きいって有名なんですよ。全ての知識が集まる場所、なんて言われるくらいなんですから」


少し誇らしげに図書館について解説を始めるリリー。

彼女によれば、ここにはおよそ5億冊の本が貯蔵されているらしい。


元いた世界の国立図書館の貯蔵数が5000万冊くらいだったはずなので、その10倍ともなればこの図書館の規模感が分かるというものである。


「でもそれだけの本があるなら、探すのも並大抵の苦労じゃなさそうだな…」


5億冊の本から欲しい情報を調べ上げるなど、とても現実的ではない。

ワード検索ができる電子端末でもあれば話は別だが…当然そんなものあるわけが…


「そらなら心配ありませんよ、あそこにある端末を操作すればお目当ての本はすぐに見つけられますから」


そう言ってリリーが指差した場所には非常に見慣れた端末が配置されていた。


「は…?もしかしてこれって電子端末か…?」


「電子…?よくわからないですけど、これは魔装具ですよ、読みたい本を思い浮かべながらそれに触れると、本の場所を教えてくれるんです」


魔装具…前にアイリスさんが教えてくれた話では世界における機械のようなものらしい。


この世界では科学の代わりに魔法が発展しているため、このような文化の違いが度々出てくる。


それでも人間が便利さを求めて行き着く先は意外と一致するようで、使い方こそ違えど俺のいた世界で使っていた機械と似たような代物が度々登場するのである。


「これに触れるだけでいいのか?」


「はい、そしたらその魔装具が操作者の思念を読み取って、読みたい本の場所を案内してくれるんです」


「へぇ、便利なもんだな」


感心しながら、その端末…ではなく魔装具に触れる。


すると魔装具が淡い光を帯びながら、光魔法についての検索を開始した。


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