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第20話〜光の魔法〜


「危ねえな…っ!」


ホーングリズリーから突然生えてきた鋭い角。

なるほど、これがコイツが【ホーン】グリズリーと言われている理由はこれか。

納得とともに厄介な武器が増えたことに辟易する。


いっそへし折ってしまおうかとも考えたが、角はすぐに頭の中に引っ込んでしまいその機を逃す。


どうやらあれは仕込みナイフのようなもので、トドメをさせるタイミングだけ出してくるものらしい。


ただでさえ爪の対応だけでも厄介だと言うのに、あの角による一撃まで警戒しなくてはならないとは…。


俺は一度体制を整えるために敵と距離を取ろうとするが、こちらが崩れた瞬間をグリズリーが見逃すはずもなく、素早い動きで爪を振り、こちらの動きを抑制する。


「くそっ!」


爪を躱すだけで精一杯で、敵との距離を確保することなどとても考えられない。

おまけに油断しているといつあの角で身体を貫かれるかも分からない。


最悪な状況に焦りだけが募っていく。


「ハルキっ!」


そんな時リリーが援護の魔法を放つ。

放ったそれは一閃の雷魔法、それがホーングリズリーのもう片方の眼に直撃し、視界を奪われたグリズリーは体勢を崩す。


その隙を利用して俺は敵と一度距離を取り、リリーの側に戻る。


「悪い、助かった。にしても迷わず目潰しってお前意外とエグいことするんだな」


俺がそう言うとリリーはあはは、と乾いた笑みを浮かべながら、誤魔化すように言葉を紡ぐ。


「でも、やっぱり私の攻撃魔法じゃほとんどダメージが入らないですね。かなり魔力を込めて撃っているのですが…すみません、隙を作ると言ったのに…」


「いや、命を救われてるんだしこれ以上は何も望まないよ。ただ、このままじゃ勝ち目がないのも確かだろうな…」


彼女の言う通り、リリーの魔法では怯ませることは出来てもこれと言ってダメージにはなっていないようだ。


一方で向こうは攻撃さえ当たれば確殺…このまま消耗戦になれば不利なのは圧倒的にこちら側だろう。


唯一の勝ち筋は俺の剣でアイツの心臓か喉辺りを突き刺すことだろうが、攻撃の隙を作らないことにはそれも出来ない。


リリーの魔法だけではその隙が作れない…せめてもう一つ敵を出し抜けるような手段があればいいのだが…

それこそリリーの魔法のような何かが…


その時、1つのアイデアが脳裏をかすめる。


俺も魔法を使えないだろうか…?


さっき剣を手元に呼び寄せたように、俺にも魔力の操作自体は出来るらしい。

であれば、自らが魔力を蓄積しそれを攻撃として放つことも可能なのではないか…?


思い出せ、さっき俺はどうやって魔力を操った?


「集中しろ…」


「え、ハルキ…?って、急に目を閉じて何してるんですか…!?」


困惑するリリーを他所に、俺は目を閉じて集中力を高める。


思い出せ、さっきのイメージを…あの温かいオーラ、それは剣だけから発せられたものじゃないはずだ。


深く意識を鎮めていくと、自分の心の一番深くで一滴の雫が落ちるようなイメージが脳裏に浮かぶ。

落ちた水滴は波紋のように広がっていき…俺の眠っていた潜在意識を呼び起こしていく。


瞬間、目を閉じているはずなのに俺の世界が色鮮やかに広がっていくのが分かった。


何色もの鮮やかな光が周囲を飛び回り、真っ暗だった世界を照らす。

これが魔力なのだと直感的に理解した。


そして…俺は一際強い輝きを放っていた無意識に真っ白な光に手を伸ばす。


真っ白な光は俺に共鳴するように近づき、それが俺の手に触れた瞬間…その光が俺の心を満たした。


その温かな光に守られるような感覚と共にゆっくりと目を閉じる。


状況はまさにホーングリズリーが俺達を仕留めようと、こちらに突進してくるところだった。


先ほどまでの焦りはいつの間にか消えており、俺はゆっくりとリリーの前に歩み出る。


「ハルキ…?」


ホーングリズリーは再びその鋭い爪を振り上げ、俺へと振り下ろそうとしている。

それを確認した俺は、グリズリーの攻撃を受けるために剣を構える。


「なっ!真っ向から受けたら駄目ですって!!」


焦るリリーが何かを言っているが、あまり耳には入ってこなかった。


刹那、グリズリーが爪を振り下ろし剣ごと俺を切り裂こうとするが…


‐ガキンッッッ‐


その一撃は構えた剣によって防がれる。


『グォォォォォォ!!!!』


当然先ほどと同じように、攻撃を防いだ俺を地面に叩きつけようとグリズリーは腕に力を込める。

だが、いくら力を込めても俺が地面に伏せることはなく、逆に熊の腕を押し返していく。


『グ、グウウォォォォ!!』


それならばと、もう片方の腕で俺を串刺しにしようと

するが…


「読めてんだよ」


攻撃の瞬間、俺は上空に飛び上がりそれを回避する。


「リリー頼む!」


そして敵が次の挙動に移る前に後ろにいるリリーに叫ぶ。


「え…っ?あ…!はい!!」


リリーは一瞬何を頼まれたのか分からなかったようだが、すぐに俺の意図を汲み取ったらしく、魔力を杖に込め始める


「さすがだな、それじゃあ…今度はこっちから行くぜ!」


全身に漲る魔力を刀身に込めると、剣が銀色に輝きを浴びる。

危険を察したホーングリズリーが最後の抵抗にと切り札である角を伸ばしてこちらを突き立てようとする。だが…


その角が俺に当たる直前リリーの炎の魔法が角に衝突し、ホーングリズリーの体勢が崩れる。そして…


「終わりだ」


その一瞬の隙をつき、グリズリーに向けて剣を振り下ろす。


その瞬間、纏った魔力が一際強い光を放ち周囲を包み込み、直後に放った一撃は衝撃波となりホーングリズリーを襲う。


その一撃は…迫ってくる角を折り砕きながら、グリズリーの全身を包み込み…大きな衝撃音が巻き起こる。


やがて、光と衝撃音が鳴り止んだあと…その場には地面に倒れ込んだホーングリズリーが残されていた。



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