白龍の逃避行 其の五
三国志の史実と演義の登場人物が出てくる中で、あらゆる策謀が渦巻く中、彼らとどう対峙していくか。
「劉軍参謀、ユウ様火急の用にて、参謀 徐元直様を伴って見えられました!」
高らかと兵士の声が邸内に木霊する。下がれと女官が厳しい顔つきで兵士の動作を制した。主が見えぬのに業を煮やしたのか、奥へ向かおうとしたのである。
「此方で騒ぎを起こしては、孫公様の怒りを買いますぞ!」
「‥‥」
その叱責は奥の部屋にも聞こえたのか、衣擦れの音ともに三人の女性が現れた。
「良いではありませぬか‥‥知らせてくれたのですから」
「しかし、貴女様方が此方にいらっしゃることは‥‥」
女官は尻込みした。目の前に居るのは、天下の二喬とまで言われた大喬と小喬なのだ。しかもその横に居るのは‥‥
「男のくせに煩いことだ。大喬殿、私はユウ殿に会いたいが、どうする?」
「孫姫、貴女方はお会いした事があるのですね?でしたら‥‥」
くすくすと笑いながら大喬は小喬を見る。私もどんなお話か聞きとうございますと、小喬が添える。孫姫は女官に言いつけて、面通りを許可させた。
屋敷にしては長い外廊下を渡って、庭園の中にある湖水へ案内される。その中央に伸びる橋を渡り、宴席の間に足を踏み入れた。
「あの諸葛参謀の所から、良く来れたな。子瑜は手厳しかっただろう?」
「孫姫。お久し振りです」
「今日は何用だ?」
面白そうに訊ねる孫姫は嬉しそうだ。結城は丁寧に挨拶をして切り出した。
「今日は劉軍参謀のユウとしてお願いに参りました」
「私にか?」
「いえ、御三方様にございます」
結城は地道を成す為のあらましを話し出した。武を誇る孫姫が大喬小喬を伴って此処に居る事は、大分前から孔明に知らされていた。
それを聞いた時、孫姫は戦にでたいのではないかと、そう考えての行動。普通、女性は危険に身を曝さない。
それがどうしてか、周瑜にまで秘密にしてこの場所へ来ているのだ。結城は孫姫と二喬を見守った。後は成るようにしかならない。
しばらくして孫姫が声を張り上げる。
「出かける!馬と船の用意を!」
「孫姫、勝手は許されませぬ!」
「黙りなさい!ここで動かずにこの風が止んだら、そなた‥‥どうするつもりか?!」
女官は慌てて早馬を準備した。ここは赤壁の辺といっても、船着場までは遠い。足の速いしっかりとした船の着ける場所ではないのだ。そのため、船着場まで馬で行かねばならない。
「急ぎ、ご用意を!」
「しかし‥‥ユウ、あれを何とかせねば‥‥ここからは出られそうにもないぞ?」
孫姫の視線の先には‥‥
数十人の小隊を引き連れた陸遜の笑顔があった。
読んで下さって、ありがとうございます。
毎日、一話ずつ投稿できたらと思います。
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誤字脱字に関しては、優しく教えて頂けましたら幸いです。
ゴールデンウイークを含む4/28~5/6は2話ずつ更新していきます。




