表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
天涯地神伝  作者: 真白 歩宙
結城の章

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

49/147

謀略の胎動 其の十一

三国志の史実と演義の登場人物が出てくる中で、あらゆる策謀が渦巻く中、彼らとどう対峙していくか。


― むむ・・・・・・やはり一筋縄(ひとすじなわ)ではいかぬか・・・・・ ―


 黄蓋は遠くに見える曹軍の篝火(かがりび)を見て溜息を吐いた。周瑜に鞭打(むちう)たれた背中の傷が引き()るように痛みを増す。


 くたびれた衣の(ほこり)を払って傍にあった(たる)から水を(すく)う。


黄蓋(おうがい)殿、曹操は用心深い男です。此方の出方は術中八苦知られておりましょう。 ―


 ふと、水面に涼やかな孔明の顔が浮んだ。黄蓋(おうがい)()せっている(ぼう)へ足を運んだのは、闞沢(かんたく)だけではなかった。

 看病がしたいと、結城が訪れた時に孔明も彼を訪ねていた。暗い(ぼう)の中で交わされた会話。

 希望的な言葉ではなく断言されたのだが、今となっては孔明の言うままに事が運んでその鬼才(きさい)(おのの)いた。



「あれでは浅瀬(あさせ)に浮いた小船だな」


赤壁近くの林、烏林(うりん)から米粒(こめつぶ)のように見える黄蓋(こうがい)の船を見て蔡中(さいちゅう)嘲笑(あざわら)った。

 曹操に面通りも許されず、下級武将の待遇(たいぐう)を受けた彼は黄蓋(こうがい)に対して良い感情を(いだ)いてはいなかった。

 黄蓋は曹操に取り次いでもらうための生餌(いきえ)だったのだ。自分の安全が確保された今、彼のことなどどうでもよいと。


 その軽率な考え方が曹操に(うと)まれる要因なのだが、本人は気付く様子もない。高慢(こうまん)な者ほどめでたく出来ているのは世の常なのだろう。



「あれから二‥‥‥(わし)(むか)え入れる気は無いの‥‥‥」


 目前の曹軍の大軍を恨めしそうに見やりながら、黄蓋は(きし)む体を起した。見れば、何か景色が変わった気もする。


「‥‥あの(くさり)のような物‥‥‥?」


 視線の先には 船と船が(くさり)(つな)がれている。百万の水軍が鎖を横渡しに(つな)ぎあい、大地のように(つら)なった風景は圧巻(あっかん)そのもの。

 しばらく様子を(うかが)っていると、曹軍の方から小船が近づいてくる。


 黄蓋(こうがい)の乗った船に乗り付けると、小さな子供が革袋(かわぶくろ)(たる)を入れ替えて去っていった。

 樽には水が、革袋には食べ物が入っている。


兵糧攻(ひょうろうぜ)めと言う訳ではなさそう‥‥‥」


 中の食料を吟味(ぎんみ)して、最小限の補給(ほきゅう)を考える。曹操の考えがわからない以上、無闇(むやみ)に食べるわけにはいかない。

 この次の補給が、いつ来るかも判らぬのだから。


 気持は(はや)るものの、約束された条件が(そろ)わぬ今は()えるしかない黄蓋(こうがい)であった。


読んで下さって、ありがとうございます。

毎日、一話ずつ投稿できたらと思います。

貴重なお時間を使って頂き、心から感謝します。

誤字脱字に関しては、優しく教えて頂けましたら幸いです。


ゴールデンウイークを含む4/29~5/6は2話ずつ更新していきます。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ