表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
天涯地神伝  作者: 真白 歩宙
結城の章

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

43/147

謀略の胎動 其の五

三国志の史実と演義の登場人物が出てくる中で、あらゆる策謀が渦巻く中、彼らとどう対峙していくか。


「孔明様、何か・・・・音が聞こえます」

「もう少し寝ていなさい。ユウ殿の体はあまり休まっていなかったのですから」

「でも・・・・」


 それでも身を起こそうとする結城の腕を押さえて留めると、孔明は自分が身を起こした。真直で彼の息を感じ、薄暗い中で赤面する。

 今が夜明け前で良かったと切実(せつじつ)に思う結城だった。


 しかし、その間もギィ・・・・ギィ・・・・・と板が(こす)れるような音が遠くで聞こえる。孔明は(ぼう)の入り口を見つめて目を細め、結城に視線を移した。


「よく気が付きましたね」

「では、彼らが!」

「静かに・・・・心にあることを全て口にせずとも、時は移り変わって行くのですから・・・・」


 孔明の声は心地よい響きを持って、結城の耳に届いた。何かを熟考(じゅくこう)して事にあたるのは軍師として必要不可欠だろう。

 しかしここには孔明と結城の2人しかいないのだから、言葉を(さえぎ)る必要性がないのではないかと疑問に思う。

 だが、今の時代を考えれば孔明の言わんとする事は理解できた。

全てが”壁に耳あり障子に目あり”という事に。


「・・・・・孔明様」

「徐々に覚えていけばよい事なのです。(すべか)らく、成し得ようとすれば己を見失ってしまいます」

「私には(へだ)たりがありすぎて・・・・・」

「良いではありませんか、それが判っただけでも」

「あ・・・・・一知半解(いっちはんかい)・・・・」


 そうですと、孔明の声が和らいだ。


悲観(ひかん)するのではなく、違いがあるのだとすれば、それを(かて)に幅を広げることです」

「はば・・・・」

「貴方は恵まれた国に居た。両極端を知るのであれば、先日のような知恵も出てきます」

「前向きに考えたから、知恵がでたと・・・・?」

萎縮(いしゅく)は思考を中断させて心を()ませてしまいますから」


 仲達と孔明が言うことは同じなのだろう。(めずら)しく(ぼく)の中で孔明は多くを語った。


 今はもう音のしなくなった方角を見つめて。かすかな香のかおりが鼻をくすぐる。


 香は調合によって違う匂いを(ただよ)わせるが、孔明の香は落ち着いた安堵感(あんどかん)を与えるような印象を与える。

 陣営の中にありながらも緊張感(きんちょうかん)を忘れて、何処か静かな森林の中で茶の湯を(きょう)じているような清々しさ。


「なんだか・・・・落ち着きます・・・・・・」

「ユウ殿・・・・・・」


 安心しきって孔明の胸に身を任せる結城を引き寄せて、孔明は髪に顔を近づけた。赤子(あかご)のような甘い匂いのする結城に、自分の香を擦り込むかのように頬を寄せる。

 (すで)に夢の中に誘われたのか、結城は安らかな寝息をたてて幸せそうに微笑んだ。


読んで下さって、ありがとうございます。

毎日、一話ずつ投稿できたらと思います。

貴重なお時間を使って頂き、心から感謝します。

誤字脱字に関しては、優しく教えて頂けましたら幸いです。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ