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天涯地神伝  作者: 真白 歩宙
結城の章

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謀略の胎動 其の二

三国志の史実と演義の登場人物が出てくる中で、あらゆる策謀が渦巻く中、彼らとどう対峙していくか。


「何故逃げる。観念(かんねん)するのだ。」


 結城は冗談ではないと、身を(ひるがえ)して部屋の中を逃げ回った。孫姫は苦笑いを浮かべると結城の体を中庭の小川に突き落とす。声も無く大きな水音を立てて結城の体が半分水に浸かった。

 さらさらと流れていく清流が衣類に重みを与えていく。呆然(ぼうぜん)としている結城の体を引き寄せて、孫姫は侍女達に合図を送る。


 素早い彼女達の動きに結城は抗う事も出来ないまま、ずぶ濡れの衣類を()ぎ取られ湯浴(ゆあ)みを強いられた。その中には周瑜付きの侍女も居る。

おそらく、水の重みで動けなくなることが計算済みなのだろう。


 髪を解かれ湯に(さら)されると、結城は全ての気力を(しぼ)り取られた気がして成すがままになった。


―― 助けて・・・・孔明様・・・・・・ ――


「そんなことで泣くな。折角の白粉(おしろい)が取れるぞ?」

「っ・・・・!!!」


―― 何?!なんなの・・・・これ! ――


 孫姫の声で我に返った結城は手鏡を渡され混乱した。そこに映るのは、間違いなく自分で・・・・・・

 しかし、その中の結城は孫姫の衣装を着て美しく着飾っている。口をぱくぱくする結城に痛烈(つうれつ)な一言が浴びせられた。


「やはり・・・・な。私よりも姫っぽい。公瑾(こうきん)達に見せに行ってやろうではないか!」

「!!」


 結城の腕を取って歩き出す孫姫は、実に楽しそうに笑う。軽い眩暈(めまい)を起こしながらも、結城は足を突っ張って(あらが)った。


「そんなに隠したいなら『女装』という事にしてやる。だから来い!」


 はいそうですかと、従える冗談ではない。結城は懸命(けんめい)に孫姫の手を振り払おうとした。

 しかし、武で叶うはずも無い。


 半ば、引き摺られるように貴賓室へ連れられて行った。


読んで下さって、ありがとうございます。

毎日、一話ずつ投稿できたらと思います。

貴重なお時間を使って頂き、心から感謝します。

誤字脱字に関しては、優しく教えて頂けましたら幸いです。


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