四話:ステータスの差
あれから俺は一度セーフルームに戻り、スキルや魔法の実験と練習をしていた。実験と練習ができたのは『ゴブリンの弱毒』と『水魔法』だけなんだけどな!
「原理は分からないが、ゴブリンの弱毒は身体だけでなく持っている武器なんかにも適応されるらしい」
マジでどう言う原理なんだこれ?…まあ魔法なんて物が存在してるんだし、地球での常識は通用しないのかもしれない。
『水魔法』は今の俺の魔力だとサッカーボールぐらいの水玉を生み出すことしかできないとか言うゴミ性能である。魔力のステータスが8しかないのと、スキルのLvが1なのが原因なんだと思う。
「さて、今度こそコボルト捜索に戻るとしようか!」
俺はセーフルームから出てゴブリンを二体殺した場所に行く道とは逆の左の道に進んで行く。すると不思議な事に進んで数分の地点で扉を守っているコボルトを一体見つけたのである。
「一体だけなら倒せる…か?」
あのコボルトが守っている扉の前に行くには目の前に広がる一本道を通るしかない。つまりゴブリンを殺した時みたいな不意打ちではない、ちゃんとした戦闘行為をするしかないという事だ。
「流石に緊張するな…だけど、やるしかない」
これからもずっと不意打ちだけでこの迷宮を攻略するのは絶対に無理だ。ゴブリンのような弱いモンスターだけじゃなく、もっと強い存在と戦闘になるかもしれない。
「覚悟を決めて戦おう。どうせ進まなきゃ状況は変わらないしな!」
俺は意を決してコボルトの前に立った。コボルトは爪に麻痺毒があるとヘルプに書いてあったから、爪にだけは当たらないように気をつけて戦わないといけない。
「グルウ?グルルウアー!」
コボルトの爪が俺に向かって迫ってくる。俺はゴブリンから奪った短剣でその爪を受け止める。
「あれ?意外とコイツ、力が弱いな?」
なんと言うか、子供と大人ぐらい力が違うような気が…そうか!俺の攻撃力の方がこのコボルトの攻撃力より高いからか?そうと分かれば!
「『ゴブリンの弱毒』!これで終わりだ!」
『ゴブリンの弱毒』を発動させた右手で、コボルトの左胸にパンチを当てた。次の瞬間コボルトの胸に穴が開いたのだ。
【Lvが5になりました!】
「え!?今何が起こった!?」
まさかステータスに差があるだけでここまで戦闘能力に違いが出るとは…まあコボルトの防御力が低かったと言うのもあるだろうが。
「とりあえず『吸収』!」
【吸収を開始…成功しました!結果を表示します!】
【魔力+2】【攻撃力+4】【防御力+4】【技術力+1】【速力+1】【精神力+4】【アクティブスキル『コボルトの麻痺毒』】
コボルトを倒したし、コイツが守っていた扉の先に進んでみるか。
ステータス
名前《青谷剣斗》
Lv5/100
称号『初めての地球次元挑戦者』
HP340/340
魔力12/12
攻撃力 41
防御力 24
技術力 29
速力 22
精神力 45
魔法:『水魔法Lv1』
パッシブスキル:『不老』『体内時計』『精神耐性Lv1』
アクティブスキル:『ゴブリンの弱毒』『コボルトの麻痺毒』
ユニークスキル:『吸収』