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私の婚約者が素敵なのは認めますが、婚約破棄して自分にその座を渡せって…自分を見つめ直してみては如何ですか?

作者: 浅村鈴

「あの方に貴方みたいな女は相応しく無いわ!貴方から身を引きなさい!」


「クスッ」


「な、何笑ってるのよ!」


「それでは聞きますが、リュシオンに相応しい女ってどんな女なんですか?」


リュシオンとは私の婚約者でカーマイン侯爵の嫡子だ。銀髪碧眼の美形の王子様と呼ばれている。


「そんなの決まっているでしょう!

爵位もあり、教養もあり、あの方の隣にいても不釣り合いじゃない容姿を持ってる者よ。

貴方みたいに地味でブサイクなおばさん女じゃないわよ!」


アシュレイは分厚い眼鏡に髪は後ろで一つに纏めてお団子を作る髪型をしている為、同級生達からは地味なおばさんと言われていた。


「それを貴方が持っていると?」


「当たり前じゃ無い!私は侯爵家の娘よ!教養だってあるし、十分美しいんだから!」


カレンは金髪に貴族らしい整った顔をしていた。侯爵令嬢なので周りからも褒め言葉ばかりなので、自分は特別なのだと自負していた。


「正直申し上げますと、爵位は親の物ですし、教養ある方がこんな所に手下を連れて呼び出したりはしないでしょうし、見目は中の上くらいじゃないですか?

物凄くご自分の評価が高いんですね」


「なっ!私に向かってなんて生意気な!」


殴り掛かろうとした令嬢を簡単に避け、令嬢の腕を取り、頬を持ち口をタコさんにしてあげた。


「全く、御令嬢ともあろう方が暴力を振るおうとなさるなんて……。

淑女の風上にもおけませんね」


令嬢のタコさん顔を見た手下の令嬢達は笑いを我慢していた。



「もほやめへ。ゆるひて。」


タコさん口のままなんとかしゃべり許しをこう令嬢。

アシュレイは手を離した。

その場に崩れ落ちる令嬢。


「アシュレイ!」


愛しい人を呼ぶ甘い声が聞こえた。

金髪碧眼の美しい少年か立っていた。


「リュシオン!」


アシュレイも愛しく名前を呼ぶ


「リュ、リュシオン様!私を助けてください!私はアシュレイさんに虐められていたんです!!」


大粒の涙を流しリュシオンの足に擦り寄り懇願した。変わり身の速さは女優か?


「僕に許しもなく触らないでくれる?」


そう言って触られた足を振り、令嬢の手を振り払った。

声は先程の甘い感じではなく、全てのものを凍らせてしまうのでは無いかと言うぐらい冷たいものだった。


「大体、アシュレイをここに呼び出したのも、アシュレイを殴ろうとしたのも、タコさん令嬢だろう?全部見ていたよ」


タコさん令嬢。


その言葉を聞き令嬢は茹でタコのように真っ赤になり、手下の令嬢達は我慢できずお腹を抱え声を出して笑い出した。

タコさん令嬢は走り出しその場から逃げ去った。手下の令嬢達も別方向に立ち去った。


「全く、誰が僕に相応しく無いって言ってるんだか。こんなに素敵な恋人で婚約者は居ないのにね」


リュシオンはアシュレイに後ろから抱きついた。


「あらあら、甘えてどうされたの?」


「僕だって甘えたい時はあるよ。

特に君にはね。

僕は君に夢中で君以外要らないのに。

なんで分からない奴が多いのか…。

日々不快だよ。

学園生活の中でこういった事件はもう何度目だろうか……。

早く卒業して結婚してアシュレイを独り占めしたいよ」


「私もリュシオンだけよ」


「でも学園卒業まではこのままでいてくれ。

本当の君を他の奴が見たらライバルが増えて困るからね。

僕以外が君を見つめるのも許せないし、君が他の奴を見つめたらきっとそいつを殺しちゃいそうだから」


リュシオンはそう言いながらアシュレイの眼鏡を取り後ろで一つにお団子にしていた髪を解いた。

そこには真面目眼鏡の地味少女では無く、豪華な顔立ちのハニーブロンドの美少女が立っていた。


「あら?リュシオンは私の容姿だけが好みなのかしら?だったら悲しいわね。

歳を取れば容姿は変わっちゃうから愛も冷めちゃうわね」


「あはは。アシュレイは可愛いなぁ。

しわしわになったアシュレイも素敵で愛さずにはいられないに決まってるじゃないか」


リュシオンは甘く囁きアシュレイにキスをした。


学園を卒業後リュシオンとアシュレイは盛大な結婚式を挙げた。

結婚式にはさまざまな人が招待され国王夫妻や王太子夫妻も出席した事で学園からの友人達は驚いていたが、アシュレイは王妃の妹の子で王太子の従兄妹だった。

その事実を親世代は知っていたが学園でのアシュレイの身の安全の為、子供世代には秘密にされていた。

それ以上に驚かれたのは地味なおばさんと言われた少女が妖艶な美女だった事だった。ウエディングドレス姿を見た男性達は、自分の見る目の無さを悔しむ者や、女神だと崇める者までいた。


学園であの日アシュレイにリュシオンと婚約破棄しろと言ったタコ令嬢が侯爵家に帰って学園での出来事を侯爵当主の父に話すと当主は真っ青になり、カレンは叱咤され再教育の為学園を休学させられ暫く修道院に送られていた。

その後改心し、アシュレイに誠実に謝り友達になった。結婚式では花嫁のブライズメイドとして付き添っていた。

この結婚式で見染められたタコ令嬢もその後婚約、そして幸せな結婚をした。


沢山ある作品の中から読んで頂きありがとうございます。

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― 新着の感想 ―
[一言] 結局最後までタコ令嬢
[気になる点] 良縁に恵まれたのに最後はタコさん令嬢からタコ令嬢呼びに格下げされたカレンて上げてるように見せかけて落としてるよね? [一言] カレンてある意味ヒロインのアシュレイより目立ってる気がする…
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