観察日記
朝日が顔を照らして男は起きた。目を開けるといつもと変わらない見慣れた天井に少し安心した様子だ。昨日はどうやってここまで帰ってきたのだろうか。思い出せないようだ。寝ころんだまま男は30秒ほど考えていた。昨日の夜8時に家を出ていき午前1時36分に帰ってきた。男はそのまま倒れこむように眠った。そして今に至る。男は腰から膝にかけて違和感を感じた様子だった。砂だ。ポケットから大量の砂がベットの上に散乱している。どうしてだろうか。公園の砂場で甲子園ごっこでもしたのだろうか。真実はわからない。よく見ると砂の中にビー玉が一つ入っている。男はビー玉を手に取り朝日に向けた。
「とてもきれいだ。」
これが男の今日一言目だ。男はふっと起き上がり時計に目をやった時計は7時55分を示していた。
「まずい。」
これが男の今日二言目だ。男は急いで立ち上がった。その動きに合わせてベットの上に散らばっていた砂も床に散乱した。男は気にもせずに風呂場に走っていった。そのまま服を脱ぎズボンのポケットに入っている砂もろとも洗濯機に放り込んだ。男はシャワーを浴び、歯を磨き、スーツに着替えて、髪をセットしてそそくさと家を出ていった。また、男の新しい日が始まった。私は、少し眠ろう。