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Cafe Shelly

Cafe Shelly 握る手、放す手

作者: 日向ひなた

 未だに夢を見る。あの時の夢を。

 息子がまだ二歳だったときに、ダンプカーにひかれて死んでしまった。私の目の前で。

 あのとき、私が手を離してしまったために、息子は道路に出てしまった。慌てて追いかけても間に合わなかった。

 そのときの光景を今でもときどき夢で見てしまう。もう十五年も前のことなのに。そのたびに、私は罪の意識に襲われてしまう。私のせいで、私が手を離してしまったために。

「また、あのときの夢を見たのか」

 私が夜中に夢のせいで起きてしまったせいで、夫も目が覚めてしまったようだ。

「お前だけのせいじゃない。あのとき、亘が道路に出てしまったのは、オレが道路の向かい側にいたからだ。それを見て思わず駆け出してしまったんだから。だからオレにも責任がある。これは何度も言ったことだろう」

 確かに夫の言うとおりでもある。息子の亘が道路に飛び出したのは、たまたま仕事で配達中だった夫の姿を道路の反対側に見つけてしまったから。けれど、私が目を離さなければ、先に夫に気づいていれば、こんなことにはならなかったはず。

 そのことを思い出すたびに涙してしまう。そしてそんな私を夫が慰めてくれる。そんなことを十五年も繰り返してきた。

 最初の頃は心の病にもなった。三年間くらい、無気力な生活を送っていた。新しく子どもを作ろうとも思った。けれど、心のほうが拒否をしていたのだろう。結局子どもができることもなく、あれからずっと夫婦二人暮らしを続けて今に至る。

「外に働きに出てみないか?」

 夫はこんな私でも雇ってくれるところを探してきてくれた。知り合いの電気屋さんの事務ということだが、店番をやってくれればいいということで、昼間はずっとお店にいるだけの仕事だった。

 町の電気屋さんの仕事、今は販売よりも工事のほうが多い。そのため、店主である旦那さんはいつも軽トラックで外に出ている。以前は奥さんが店番をやっていたのだが、近くに住んでいる娘さんとお孫さんの面倒をみることが多くなり、それで店番が必要だということ。

「いてくれるだけでええよ」

 旦那さんも奥さんも、気さくで優しい人。それにお孫さんも時々遊びに来て、一緒に遊んだりすることもある。このお孫さん、女の子なんだけれど歳は生きていれば息子と同じ。最初に出会ったのはまだ幼稚園児だったけれど、今では立派な高校生。お母さんが働いているため、小学生の頃から学校から帰ってきたらこの電気屋にやってくる。

「おばちゃん、ただいまー」

「のりちゃん、おかえりなさい」

 このやりとりがもう十年以上も続いているのか。今ではお孫さんののりちゃんも、私を家族のように扱ってくれる。学校から帰ってきたらこのお店の奥で宿題をやり、友達のところに遊びに行き、なにもないときには私と話をする。

「そうそう、今日学校で面白い話を聞いたんだ」

「えー、どんな話?」

「前にね、私が行っている学校の先生をしていた人なんだけど、この人がとてもおもしろくて。英語の先生だったんだけど、英語の授業よりも人生論の方がおもしろかったらしいの。それでね、なんと教え子だった生徒と結婚しちゃったんだって」

「へー、なかなかやるじゃない、その人。じゃぁ、若くてかっこいい先生だったんだ」

「それがね、もう四十代のおじさんなの。おばちゃんと同じくらいの年代じゃないかな。結婚した相手とは二十才くらい年の差があるんだって」

「じゃぁ、のりちゃんもそんな先生と結婚する?」

「まさかぁ。私はかっこいい男性と結婚するんだもん。でね、その先生だった人は今では喫茶店をやっているんだって。そこのコーヒーがちょっと変わっているらしいの」

 矢継ぎ早に離すのりちゃん。とても楽しそう。

「どんなふうに変わってるの?」

「なんでも、魔法のコーヒーっていうのを出してくれるらしいの。これを飲むと願いが叶うんだって」

「願いが叶う魔法のコーヒーか」

 私の今の願いってなんだろう。これをふと考えてみた。

 一番の願い。それは息子が戻ってくれること。そんなのできるわけがない。それはわかっている。わかっているけれど、十五年も経つのに忘れられない。もし生きていたら、のりちゃんとも仲良しになってくれていただろう。そんなことを時々思う。

「ね、おばちゃんはどんなことを叶えて欲しい?」

 ふいにそう聞かれたが、まさか息子が戻ってくることなんて言えない。

「そうねぇ。旦那様と海外旅行にでも行ってみたいかなぁ」

 適当なうそをついた。そんなこと、考えたこともないのに。

「海外旅行って、どこに行きたいの?やっぱりハワイとか?それともヨーロッパあたり?いや、おばちゃんってちょっと変わった所あるから、南米とか?」

 のりちゃん、勝手に私の旅行の行き先を決めてくる。こういうところがかわいいんだけどね。

「のりちゃんはどんな願いを叶えてほしいの?」

「うぅん、やっぱ今はかっこいい彼氏かなぁ」

「のりちゃんかわいいから、すぐにできるでしょ」

「それがさぁ、なぜか私の周りって男の子が寄ってこないんだよねぇ。こんなにいい女なのにどうしてかなぁ」

 笑いながらそう言うのりちゃん。実はその理由はわかっている。のりちゃん、見た目は可愛いんだけれど電気屋のおばあちゃんに育てられたせいか、ちょっとわがままなところもある。まぁ、子どものわがままだから大人からするとかわいいものではあるけれど。同学年の男の子から見ると、扱いにくいんだろうな。

「おばちゃん、今度一緒にその魔法のコーヒーを飲ませてくれる喫茶店に行ってみない?」

「えーっ、のりちゃんお友達と行けばいいじゃない」

「うぅん、なんだか照れくさくて。だって友達と一緒に行ったら、私の願いがばれちゃうじゃない。おばちゃんだったら問題ないんだけどな」

「そうね、土日だったら時間はあるけど。喫茶店だから土日もやってるよね?」

「確認しとくね。よし、願いを叶えてやるぞ!」

 のりちゃん、やたらと張り切ってる。よほどかっこいい彼氏が欲しいと見えるな。でも、私の願いは叶うわけがない。息子に戻ってきて欲しいなんてできるわけがない。あきらめきれないこの思いを抱き続けて、もう十五年にもなるのか。意外に早かったな。

 この日の夜、夫にのりちゃんが言っていた喫茶店の話をした。するとこんなな反応が返ってきた。

「その喫茶店の話、聞いたことがあるぞ。でもオレが聞いたのとはちょっと違うな。願いが叶うんじゃなくて、自分の夢がはっきりするということだったぞ」

「自分の夢?」

「そう。なんでもそこのマスターや店員さんと会話をすると、徐々に自分の目指しているものとかがはっきりするらしい。それに向けて行動しようという意欲が湧いてくるから、夢が叶うって言われているんじゃないかな」

 なるほど、そういうことならわかる。でも、どうして願いが叶う魔法のコーヒーなんて言われているんだろう。マスターや店員さんと会話をするだけなら、コーヒーなんて関係ないと思うんだけど。

「その喫茶店にのりちゃんと行ってくるのか?」

「うん、約束したから」

「育美はどんな夢を持っているのかな?」

 夫にそう言われて、私は黙り込んでしまった。まさか、死んだ亘を取り戻したいなんて言えるわけがない。この思いを抱きながら十五年間も過ごしてきた。けれど、決して叶うことのない夢なのはわかっている。

「まぁいいや。どんな店だったのか、ぜひ教えてくれな。あ、オレは土曜はゴルフだから」

 結局自分の叶えたいことを口にすることはできなかった。この思い、十五年もずっと持ち続けながら今を生きている。この重たい思いを。

 そして土曜日、のりちゃんと喫茶店に行くことになり電気屋で待ち合わせ。バスに乗って街まで移動し、のりちゃんが聞いてきた住所を頼りにお店を探す。

「あ、ここだ」

 街なかにある路地に入った時、私は目を奪われた。こんな素敵な通りがあっただなんて、今までこの街に住んでいながら知らなかった。

 その通りはパステル色のタイルで敷き詰められ、道の両側はレンガの花壇が並んでいる。通りの幅は車一台が通るくらい。けれど、その狭さが逆に人の賑わいを演出してくれている。通りにはいろんなお店が並んでいる。ブティック、雑貨屋、食べ物屋、歯医者なんていうのもある。

 どうして今までこんな通りがあることを知らなかったのだろう。理由は明白だ。私が外に出ようとしなかったから。平日は電気屋のお店番。休日もほとんど家から出ない。たまに街には出るけれど、大きな通りしか行かなかった。

「ほら、ここだよ」

 のりちゃんが指差したところに、喫茶店の黒板の看板を見つけた。そこには喫茶店の案内とともにこんな言葉がかかれてあった。

「あなたが背負っているもの、ちょっと降ろしてみませんか?」

 私が背負っているもの。これは間違いなく死んだ息子への後悔。あのとき私が手を放してしまったために起きた惨劇。それが十五年も重荷になっているのは間違いない。

 これを降ろせるものなら降ろしてみたい。けれど、降ろすことはできない。降ろしてしまうと、息子はいなかったものになってしまう気がするから。

「おばちゃん、どうしたの?」

 私がじっと黒板の文字を見ているので、のりちゃんが心配そうに尋ねた。

「ううん、なんでもない。さ、いきましょ」

 喫茶店はビルの二階にある。階段を上がり扉を開ける。

カラン・コロン・カラン

 心地よいカウベルの音。それとともに漂ってくるコーヒーの香り。それだけじゃない、甘い香りも混じっている。なんだかとてもいい空間。

「いらっしゃいませ」

 若いおねえさんが私達を出迎えてくれた。

「お二人ですか?」

「はい」

「ではあちらの窓際の席にどうぞ」

 案内されたのは、窓際の半円型のテーブル席。ここにはすでに二人のお客さんが座っていた。のりちゃんと変わらないくらいの若い女性二人組。周りを見回すと、カウンターに二人ほど客がいて、お店のマスターと話をしている。

「このお店に、願いが叶う魔法のコーヒーがあって聞いてきたんですけど」

 のりちゃん、早速店員のおねえさんにそう尋ねた。するとおねえさんはニコリと笑ってこう答えてくれた。

「シェリー・ブレンドのことですね。願いが叶うというよりは、今欲しいものや望んでいるものが明確になるといったほうがいいかな。それ、どこで聞いてきたの?」

「うちの学校の先生からです。確かこのお店のマスターって、前は学園高校の先生だったんでしょう?」

「ということは、あなたは学園高校の生徒さんなんだ。私の後輩になるんだね」

「じゃぁ、マスターの奥さんなんだ。すごくきれいな人だからびっくりしちゃった」

「ありがとう。そう言われるとうれしいな」

 喫茶店のおねえさん、気さくに話しかけてくれる。とても親しみやすい人だな。

「こちらはお母さん?」

「あ、私はこの子のおばあちゃんのお店で働いているものです。今日はのりちゃんに一緒に行こうって誘われて」

「のりちゃんっていうんだ。私はマイ。よろしくね。じゃぁ、注文はシェリー・ブレンドを二つでいいかな?」

「はい。お願いします」

 のりちゃん、ニコニコ顔で注文を告げる。私もどんなコーヒーなのか期待が高まる。

 願いが叶うコーヒー、これは夫が言っていたことの方が正解だったようだ。今望んでいるものが明確になる。けれど、どうやってコーヒーを飲んだらそれが明確になるのだろう。

「おばちゃん、あの人きれいだよね。私もあんな風になりたいなぁ」

 たしかに店員の女性、マイさんといったな、あの人はきれいだしあんな風に振る舞えるのはあこがれる。年頃ののりちゃんが憧れるのは無理はない。

「でも、あんなにきれいな人の旦那さんが、あそこにいる中年のマスターだなんて信じられない。世の中って不思議だなぁ」

 カウンターにいるマスター。中年の渋みが出た、朗らかな感じのする人だ。笑いながらカウンターのお客さんと会話をしているが、私の目から見ると結構いい男に感じる。夫にもあんな感じがあればいいのになって、つい思ってしまった。

「それにしても、なんだか居心地のいい喫茶店だなぁ。こんなところで一日中本を読んでいたいな」

「あれ、のりちゃんって本なんて読んでたっけ?読むのはマンガばかりだと思っていたけど」

「あー、失礼しちゃうな。私だってちゃんと活字の本を読んでるんだって。といっても、文学作品は読まないけど。もっぱらライトノベルばっかだけど」

 本か、そういえば最近読んでないな。なんとなく毎日を過ごすだけ。そんな日々がこの何年かは続いている。大きな不満もないけれど、大きな喜びもない。こんな毎日が一生続くのかな。

 そう考えると、自分にも新しい夢を持つことも大切かもしれない。何か新しいことを始めて、新しい人と出会って、新しい刺激を受けて。

 でも、私がそんなことをしていいのだろうか。私が放してしまった手。これさえなければ、刺激的な毎日を送れたかもしれない。けれど、私が手を放してしまったために、息子の命はなくなった。その罪の意識を背負ったまま、一生を過ごさなければならない。

「おばちゃん、何か考え事してるの?」

「あ、う、うん。ちょっとね」

「おばちゃんってさ、時々そうやって考え事してるよね。そんなときっていつも悲しい顔をしている」

 そうだったんだ。私、息子のことを考えてしまうときっていつも悲しい顔をしていたんだ。それは気づかなかった。

「もっと明るくいこうよ。明るい顔をしていると、向こうから明るい出来事がやってくるって、学校の先生が言ってたよ」

「その言葉、私やマスターもよくお伝えしている言葉ですよ。お待たせしました。シェリー・ブレンドです」

 マイさんがコーヒーを運んできてくれた。一瞬にして場は漂ってくるコーヒーの香りに包まれた。なんとなく落ち着くな。

「飲んだらどんな味がしたのか、感想を聞かせてくださいね」

 そう言いながらコーヒーを私達の前に置いていくマイさん。果たしてどんな味がするのだろう。そして、私にどんな願いがあるのかを教えてくれるのだろう。ドキドキしながらカップを手にする。

「いただきまーす」

 のりちゃんはすぐにコーヒーを口にする。私も遅れてコーヒーカップに口をつけた。

 うん、おいしい。こんなに美味しいコーヒーを飲んだのは始めて。いつも電気屋のお店版をしているときには、コーヒーメーカーで入れるものは飲んでいる。けれど香りとコクは比べ物にならないくらいこちらの方が強い。

 けれど、その香りとコクがすぐにどこかへ飛んでいってしまう。あれ、どうして?そう思った瞬間、別の味が私の舌にふってきた。同じコーヒーなのに、別の味に感じる。なんなの、これ。

 次に感じた味、それは私に新しい刺激を与えてくれた。最初に感じた香りとコクよりもさらに強く私の気持ちを高めてくれる。古い味よりも新しい味。これが私が求めていたものなの?これってどういう意味?

「えぇっ、コーヒーってこんな味したんだ。びっくり」

 隣でそう叫ぶのりちゃんの声で、ハッと我に返った。

「どんな味がしたの?」

 マイさんがのりちゃんにやさしい声で尋ねる。

「あのね、最初はおいしいコーヒーだなって感じたの。でも、おいしいだけじゃなくて、なんていうんだろう、力強さっていうか、パンチ力っていうか。グイグイ押してくるような強さを感じたんだ。でも、強引ってわけじゃない。私を守ってくれる強さ、そう、そんな言葉がぴったりだった」

「ということは、あなたが望んでいるのは、あなたを守ってくれるような力強さがほしいってことなのかもしれないね」

「私を守ってくれる力強さ。うん、まさにその言葉ぴったりかも」

「守ってくれるって、のりちゃん、何か守られたいことでもあったの?」

「うん、実はね、今ちょっといじめっぽいことされてるんだ。まぁ、相手は一人だし無視してればいいだけのことなんだけど」

 それは初耳だった。

「どんなことされているの?」

「大したことないよ。相手が私のことを睨んできたり、無視したりしてるだけだから。まぁ、この前プリントを破かれたのは困ったけど」

「大変じゃない。そのこと、先生には相談したの?」

 私は心配になってのりちゃんにそう尋ねた。

「大丈夫、おばちゃん、心配しないで。でもね、私を守ってくれるたくましい王子様が現れてくれるとうれしいんだけどなぁ」

 のりちゃん、あさっての方を向いて目をキラキラ輝かせている。まさにおとぎ話の世界って感じ。でも、のりちゃんを守ってくれるような力強くてたくましいボーイフレンドがいてくれるとありがたいのは間違いない。

「でも不思議よね。コーヒーを飲んだだけで私の願望がわかっちゃうなんて」

「ふふふ、このシェリー・ブレンドは飲んだ人が今望んでいる味がするの。人によってはそれを映像で見せてくれることもあるのよ」

 マイさんはそう説明してくれる。なるほど、それで魔法のコーヒーなのか。

「おばちゃんはどんな味がしたの?」

 ふいにのりちゃんが私に質問してくる。

「えっ、私?えっと、私は…」

 さっきの味を思い出そうとする。すると、不思議と舌の上でその味が再現されてくる。それをそのまま口にする。

「最初はすごい香りとコクがあった。けれどすぐにそれが何処かへ飛んでいってしまって。あれって思った瞬間に、今度は全く違う香りとコクを感じたの。新しい味のほうが私の気持ちを高めてくれた…」

「ということは、おばちゃんは新しいものを望んでいるってこと?でも、何に対して新しいものなのかなぁ」

 のりちゃんの言うとおり、この点が私にはわからない。新しい家電製品でもないし、新しい洋服でもない。私はなんに対して新しいものを望んでいるのだろうか。

「一つお尋ねしてもいいですか?」

 マイさんがそう言ってくる。

「はい、なんでしょうか?」

「ひょっとしたらですけど、随分前から何か執着しているものってないですか?」

 随分前から執着しているもの。そう言われて思いつくのは一つだけ。死んでしまった息子のこと。でも、それを今のりちゃんの前で口にしたくない。

「まぁ、あるにはあるのですが…」

 すると、マイさんは私の様子を見てなのか、こんな提案をしてきた。

「もしよろしかったらですが。私、カラーセラピーというのをやっています。このお店が閉まる夜の七時から予約制なのですが。そこでお話するのはいかがでしょうか」

 以前、私は心の病にかかっていた時にカウンセリングには通っていた。あのとき、死んでしまった息子のことへの後悔の念を話すことで、少しは気が楽になったことを思い出した。

「そうですね、そうさせていただけるのであれば。ぜひ」

 セラピーは来週の月曜日の夜に受けることにした。のりちゃんは私がどんな執着を抱えているのか、それに興味があったようだ。けれど、マイさんがのりちゃん自身の願望を高めてくれたおかげで、そのことはどこかへ飛んでいってしまったようだ。

 自分の心の中を話すことができる場。こういったのは久しく体験していない。鬱になったときには病的な治療だったが、今は気持ちが違う。それに、私自身もっとマイさんと話をしてみたいという気持ちもあった。

 帰ってから夫に、カフェ・シェリーであったことを話した。

「へぇ、そんな喫茶店なんだ。オレもいつか行ってみたいな」

「うん、とてもいい雰囲気だったから。土日もやっているみたいだから、今度おやすみの時に一緒に行ってみない」

「育美、なんか変わったね」

「えっ、変わった?」

「うん、お前から何処かに行こうなんて誘いがくるなんて。今まではオレのほうがいろいろと誘っていたけど、なかなか乗り気になってくれなかったし」

 そう言えばそうかもしれない。私の心の中には、私だけが楽しんではいけないという思いがずっとはびこっていた。それが今日は、そんな気持ちがどこかへ飛んでしまっていた。なんだか不思議な気持ちだ。

 そうして約束の月曜の夜がやってきた。この日は幸いにも夫が残業だということで、どうせなら外で食事をしようということになった。セラピーは一時間ほどで終わるとのことなので、八時過ぎに夫と街中で待ち合わせることにした。

「ようこそ、さ、どうぞ」

 夜の街。この前とは違う感じのカフェ・シェリー。照明もちょっと違う感じで落ち着いた雰囲気だ。そして何より違うのは、マイさんの服装。昼間はジーンズで活発な雰囲気だったけれど、今は真っ白なドレスを着ている。妖艶な雰囲気を醸し出している。

 お店の真ん中にある丸テーブルの席へと案内され、カラーセラピーの説明を受ける。カウンターに置いてあるたくさんの二色のボトルの中から、気になるものを四つ選ぶとのこと。やることはこれだけ。

 私は早速、たくさんあるボトルを眺めて、どの色が気になるのかを選び出す。いや、選ぼうと思ったけれど、どれも捨てがたくてなかなか選べない。

「どうしよう…私、どれがいいのかわからない…」

 淡い色も気になる。濃い色も気になる。気になりすぎて頭がごちゃごちゃになってきた。もう、目をつぶってこれって選んだほうがいいのかな。

「マイさん、なかなか選べないです」

 すると、マイさんが私のそばに来て、後ろから両肩に手を添えてくれた。その手がとても温かい。

「まずは目をつぶって」

 言われたとおりに目をつぶる。

「そして、深呼吸して」

 深く、大きく深呼吸をする。

「うん、いいですよ。このあと、目を開けた時に最初に目に飛び込んだボトル。これを手にしてみて下さい」

 目をゆっくりと開ける。たくさんのボトルが目に入る。が、その中でなんとなく気になったボトルを手にする。

「そう、これが最初に選んだボトルですね。同じ要領で残りの三本を選んでみましょう」

 マイさんに言われたとおりにボトルを選ぶ。すると、不思議な事にさっきまでの迷いが何処かに飛んでいってしまったかのように、すっとボトルが選べる。

「これで四本のボトルが選べましたね。じゃぁ、こちらにお座り下さい」

 ここからマイさんのリーディングが始まる。説明によると、四本のボトルを選んだ順番と色に意味があるらしい。けれど、マイさんこんなことを言い出した。

「本来なら選んだ色から、育美さんの本質や今の状況、そして未来の可能性を見出すのですが。私が今感じていることをお伝えしてもよろしいですか?」

「はい、どうぞ」

 なんだろう。ドキドキするな。

「育美さん、何かにとても執着されている。これは先日シェリー・ブレンドを飲んだ時にわかったことですよね。そしてそれが手放せなくて前に進めない。そんな状況ではありませんか?」

 まさにその通りだ。私は黙って首を縦に振った。

「先ほど、色を選ぶ際にもそれが出ていました。自分の思いに執着しすぎて、次のことができなくなっている。もしよろしければ、どんなことに今執着しているのか、それをお話いただけないでしょうか」

 そうだった、今日はこのことをマイさんに話そうと思ってやっていたんだった。

「実は私、十五年前に息子を亡くしました。まだ二歳だったんです」

 そう話した時に、またあの光景が頭のなかに蘇ってきた。私が手を離した、その隙に息子は通りの向こう側にいた夫の方に向かって走り出した。そしてダンプカーに轢かれてしまった。

 思い出しながらそのことをぽつりぽつりと口にする。そして涙が出てくる。

「私は未だにあのときのことを後悔しています。どうして手を離してしまったのだろうか。私が手を離しさえしなければ、息子は今も元気なはずなのに。十五年間、ずっと後悔しています」

「そうだったのですね。それが執着されていたことだったのですね」

 マイさんに話をしたことで、心のなかが少しだけ軽くなった気がした。けれど、息子への思い、執着が消えることはない。

「私、思うんです。育美さんは息子さんへの思いを手放すことはできないかもしれない」

 確かに、マイさんの言うとおりだ。私が息子への思いを手放すと、息子はいなかったものになってしまう。

「けれど、それを思い出すのは一日の、ほんの僅かな時間でもいいんじゃないかって。一日中、ずっとその思いをひきずるために一生を過ごしてはいけない」

「ほんの僅かな時間って、どれだけなのですか?」

「ご自宅には仏壇はそなえてあるのですか?」

「はい。毎朝お線香を上げて、お茶とご飯を供えています」

「それなら、思い出すのはその時間だけで十分ですよ。あとは一日笑顔で過ごすこと。これが大切だと思います」

「でも、私は笑顔で過ごしていいんでしょうか?私は息子を亡くした責任があるから…だから、笑顔なんて…」

「だからこそ、笑顔で過ごすことが大切じゃないでしょうか。子どもというのは母親の笑顔を見ていたいものです。そうじゃないと、息子さんが育美さんを心配してしまって、あちらの世界へ旅立てなくなりますよ」

 マイさんの言葉でハッと気づいた。

「あの子はひょっとしたら、私のせいで成仏できていないのかもしれない…」

 私があの子に執着をして、あの子を手放そうとしないから、あの子は私のところから離れることができない。私の執着があの子を困らせている。苦しいのは私だけではない。あの子も苦しんでいるんだ。だから、早くあの子を開放してあげないと。

「私はこう思います。亡くなった息子さんは育美さんのことを恨んでいるわけではない。むしろ、自分のせいでお母さんが苦しんでいる。そんな息子さんの心を開放させてあげるのは、お母さんが笑顔で毎日を過ごすことじゃないかなって」

「そうですよね。私、もっと笑顔で過ごさないと。でも、息子のことは忘れない。ちゃんと毎朝、毎晩仏壇に向かって手を合わせます。そして息子に向かってにっこりと笑ってみます」

「ぜひそうしてあげてください。何かを得るためには何かを手放すことも必要です。今、息子さんへの執着を手放すことで、育美さんには笑顔で毎日を過ごすという新しい生活を得ることができるんじゃないかな」

 何かを得るためには何かを手放すことも必要。ここで思い出した。実は我が家にはまだ息子の使っていたおもちゃや洋服を捨てずにいたことを。

「マイさん、ありがとうございます。私、息子のためにももっと笑顔になります。大切なものをすべて捨てるのではなく、大切にするからこそ整理をしないといけないんですね」

「はい、私もそう思います。じゃあ、これからどんなことをしていけばいいのかを、先ほど選んだボトルから探っていきましょう」

 こうしてマイさんのカラーセラピーが本格的に始まった。

「そうか、そうだよな。オレも育美がやりたいことをやらせるっていうことに執着しすぎていたかもしれない。お前が捨てたくないと言えば捨てさせなかったし。決してあの子のことを忘れるわけじゃない。あの子のためにも、今の執着を捨てることが大事なんだな」

 終わってから夫と合流し、早速どんなことがあったのかを報告した。夫は黙って私の話を聞いてくれて、最後にそう言ってくれた。

「うん、だからあなたにも手伝ってほしいの。私だけが決めるのではなく、あなたも一緒になって整理をしてほしいの。じゃないと、私、いつまで経っても捨てるものを選べないから」

「わかった。今度の土曜日は何も入っていないから、それをやろう。でも、それまでにある程度は捨てるもののめどを付けておいてくれよ」

 夫は笑ってそう言ってくれた。

 この日を境に、私の生活スタイルが変わった。今まではどんなものを見ても、聞いても、息子が生きていたらという気持ちが強かったのだが。これを少しずつなくしていくように心がけてみた。

 心がけたからと言って、すぐに心の中からなくなるわけではない。だったらどうするのか?これはマイさんのセラピーで見つけたことだけど、私が夢中になれるものに意識を置くこと。そうしている間は息子のことは忘れられるから。

 じゃぁ、何に夢中になるのか?これもセラピーで、いや、その後に飲んだシェリー・ブレンドで見つけることができた。

「セラピーの結果から、何かに夢中になることが育美さんの未来を開くことがわかりました。じゃぁ、どんなものを見つけていくのかをシェリー・ブレンドに聞いてみましょう」

 あのとき、マイさんはそう言って私にコーヒーを差し出してくれた。そしてその一杯を口にする。

 すると、シェリー・ブレンドは私にいろいろな味を体験させてくれた。苦味、酸味、甘み、それも一種類ではない。沢山の種類の味。これら一つ一つを味わっていく中で、ふと思ったことがあった。私、今まで自分の周りしか見えていなかった。だからもっと多くの世界を知らないと。

「私、いろんな世界を見に行かないといけないんだ…」

 言葉のほうが先に出た。そうか、いろんな世界を見に行くことが必要なんだ。でも、どうやってそれを見に行くの?

「なるほど、いろんな世界を見に行く、ですね。具体的にはどのような行動を起こしますか?」

 マイさんの質問は、私の頭のなかでひらめいた質問と同じだった。どうすればそれを見に行けるのだろう。そう思った時に、これも口から先に答えが出てきた。

「旅行、そうですね、まずは旅行に行ってみます」

「旅行かぁ。私、お店をやっているから随分と行っていないなー」

 ここでマイさんは、カウンターにいるマスターの方をちらっと見た。どうやらマスターに訴えているようだ。なんだかほほえましいな。

「でも、旅行といっても我が家にはそんなに余裕はないし」

 ふと、我が家の台所事情が頭をよぎった。けれど、マイさんはこんな提案をしてくれた。

「そんなに遠くにいくのではなく、まずは近場から。それこそ日帰りで行けるところとか、今まで行ったことのないところへ行く程度からスタートしてはいかがですか?」

 そうか、旅行というと北海道や九州、沖縄など遠くにいくことをイメージしていたけれど。近場でもいいんだ。

「はい、そうしてみます。まずは近場からですね」

 そう考えると気が楽になってきた。それからというもの、私は日帰りで行けるスポットを探すためにこの地域の旅行誌やインターネット情報などを探すことに夢中になった。

 出かける先は、山の方にある温泉。夫の車でも行けるところではあるが、ここはあえて鉄道とバスを使うことにした。そのための時刻を調べたり、着いた先でどこで何を食べるのか、といったことも候補を探す。

 この過程で気づいたことがある。こういった下調べをするのは、意外にも私に向いているということ。旅行の計画を立てるのは苦にはならない。それどころかどんどんイメージが湧いてきて楽しくなってくる。

 幸いにも電気屋の店番は暇な時間が多い。そのため、調べる時間はたくさんある。ありがたいことだ。

 そしていよいよ、今度の日曜日に夫婦で日帰りの小旅行にでかけることとなった。その日の朝、私は仏壇に手を合わせてこうつぶやいた。

「今までお母さんがあなたの魂を縛ってしまって、ごめんなさい。お母さんやっと新しい一歩を踏み出せそう。あなたのことは決して忘れない。でも、お母さんも心から楽しんでくるから、あなたもあの世で楽しんでね」

 そうつぶやいたその瞬間、何かが私に微笑みかけてくれた気がした。直感的に、あの子が私の元から旅立ってくれた。そんな気がした。これで私も、あの子も笑顔で旅に出ることができる。そう感じることができた。

「さ、行きましょう!」

 夫に声をかけて、いざ出発。こうして私の新しい、ほんとうの意味の旅は始まった。人生という名の旅が。


「それで、どうなったの?」

 目の前にはのりちゃんが興味深そうな顔つきで私の話の続きを聞いてくる。

「それでね、その温泉で猿に遭遇しちゃって。もうびっくりよ。まさか野生動物と一緒にお風呂に入れるなんて思いもしなかったから」

「なんかちょっと怖い気もするけど。でも、おもしろそうだなぁ」

「のりちゃんも彼氏ができたら一緒に行ってみるといいわよ。あ、でも混浴はないからね」

「やだぁ、混浴なんてはずかしいじゃない。それよりも、おばちゃんと一緒に行ってみたいな」

「あら、私もまぜてよ」

 電気屋の奥さんも会話に加わる。私の旅行の話で盛り上がるひととき。今まで私が話題の中心になるなんてなかったこと。

 旅行から帰って早々、のりちゃんが旅行の話を聞きたいということで、こんな感じになってしまった。なんだか楽しいな。

「おばちゃん、また今度一緒にカフェ・シェリーに行こうよ。あそこ、落ち着くしマイさんともお話ししてみたいし」

「うん、私もマイさんにお礼を言いに行かないといけないしなぁ」

「あらぁ、そんなにいい喫茶店なの。私も連れて行ってよ」

 どうやら今度は電気屋の奥さんまで一緒になって、カフェ・シェリーへと足を運ぶことになりそう。そういえばうちの夫も行ってみたいって言ってたな。また別の機会に夫とも行ってみようかな。

「おい、どうしよう」

 そのとき、電気屋の旦那さんが飛び込んできた。

「あらあなた、どうしたの?」

「ちょっと困ったことが起きちまってよぉ。吉原さん家のエアコンの取り換え工事を請け負っただろう」

「それ、あんたが飲み屋でとってきた仕事でしょう?」

「こいつがな、実は吉原さんの家じゃなく、会社のエアコンだったんだよ」

「あらま。吉原さんの会社って確か自社ビルじゃなかったっけ?」

「そうなんだよ。しかも一台じゃなく会社全体のやつをやってくれだってよ。ウチは大型は扱ってねぇんだけど、どうしてもオレじゃないとダメだって言うんだよ」

 うれしいような困ったような出来事だ。こんな小さな電気屋では手に負えない仕事である。

 このとき、私の頭の中で一つの言葉が浮かんできた。

「旦那さん、今仕事で何か執着しているものってないですか?」

「執着?」

 旦那さん、いきなりそんなことを言われてポカンとしている。けれど、これについては奥さんのほうが答えを出してきた。

「あんた、いっつも言ってるじゃない。もっと大口の仕事が取れたら安泰だ、なんてこと。大型工事なんてオレにだってできるわ、なんてそれこそ大口叩いてるじゃない。それがいざとれたらうろたえるだなんて」

「そ、そんなこと言うなよ。まぁ、オレにも電気屋としてのプライドってもんがあらぁな」

 なるほど、旦那さんが執着しているのは電気屋としてのプライドなんだ。

「その執着を捨てたら、解決策が開けますよ」

「執着をしてたら解決策が開ける?それ、どういうことなんだい?」

 私は自分の体験をかいつまんで旦那さんに話した。

「でもよ、電気屋としてのプライドを捨てるって、具体的にどうすりゃいいんだよ?」

「なんてことはないよ。あんたが吉原さんにすいません、請け負えませんって頭を下げてくりゃいいんだよ」

「で、でもよ、それで仕事が一個なくなっちまうんだぜ」

 旦那さん、奥さんの言葉になんだかうろたえてる。

「大丈夫ですよ。執着しているものを捨てると、次の新しいものが必ず入ってきますから」

 私が自信を持ってそう言うものだから、旦那さんしぶしぶながら了承。その場で吉原さんに電話をかけた。

 最初は表情が暗かった旦那さんだけど、電話口での顔色が徐々に明るくなってきた。それどころか最後は笑いながらよろしくお願いしますなんてことを言い始めた。何が起こったのだろう?

「いやぁ、育美さんの言うとおりだったよ。こちらが素直に大型のエアコン工事はできないって言ったら、実はって話をされたよ」

「何があったのよ?」

 今度は奥さんが神妙な顔つきで聞いてくる。

「実はな、オレに頼みたかったのは今のビルのエアコンじゃなくて、新たにマンションをつくることになって。そのマンションに全部エアコンを入れるんだってよ。だからそれをウチにお願いしたいってことだったんだ」

 これは驚きである。さらに旦那さんの話は続く。

「しかもな、今オレが素直に大型はできないってことを謝っただろう。そうしたら吉原社長、オレのそういうところが信頼できるから頼んだんだって。オレだったら間違いない仕事をしてくれるって、そう言ってくれたんだよ。ありがたい話だなぁ」

 旦那さん、満足げな顔をしている。物事の悩みって、執着したものを手放した時に生まれるものなんだな。

 握っておくべきものは握っておかないといけない。けれど、手放すものは手放すことも大切。捨てるからこそ生まれてくるものもある。このことを教えてくれたマイさん、そしてシェリー・ブレンド。本当に感謝しかない。

「ねぇ、お父さんは今どんなことを願っているのかな?」

 のりちゃんが突然そんなことを言い出した。

「えっ、オレの願い?えっとだなぁ…って、どうしてそんなことを聞くんだよ?」

「お父さんも一緒に、カフェ・シェリーに連れて行ったほうがいいのかなって思って」

「なんだよ、そのカフェ・シェリーってのは。えらくシャレた名前だけど」

「そこに行けば、自分の望んだものがわかるんだよ。そして、望んだものが手に入るんだ」

 のりちゃんのその言い方。ひょっとしたら…

「のりちゃん、彼氏できたの?」

「えへへ、おばちゃん、わかる?」

 あ、やっぱり。

「おいおい、お前彼氏ができたのか!そいつ、一度連れてこい。おまえにふさわしいか、ちゃんと見てやるからよ!」

 旦那さん、急に興奮し始めた。のりちゃんに対しての執着も捨ててもらったほうがいいかもね。


<握る手、放す手 完>

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