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短編

暗い闇に溺れて

作者: 佐野義鷹

暗く何もない部屋の隅に一人の少年が蹲っている。彼はクラスでも人気があり、勉学でも常にテストで上位に入るほど優秀、恋人も居て、友人も沢山いて、親には大切にされていたそんな彼だが、ある日友達にも恋人にも、果ては家族にまで裏切られてしまい人を信じることを諦めてしまっていた。だが、信じようと努力はしていた。

裏切られた友人を、恋人を、家族を信じようとしたし、引きこもった後にお見舞いに来てくれた友人を信じようとした。しかし、彼は信じることが出来なかった。

結果、彼のまわりには壊れた人形が彼の回りに散乱していた、人形は裏切られる前に家族や友人や裏切られた後に慰めに来た他の友人に送られてきたものだった。


「ひろきクン?まだニゲルの?」

ひろきクン、ひろきクンと弾け飛んだ人形の頭が彼を嘲笑う、ひび割れた瞳が彼を見つめる。彼の心は壊れていくばかりでますます自分の殻へ入っていってしまっていた。


嘲笑われる度、見つめられる度、彼は髪を掻き毟り爪を噛み切っていた。心のみならず身体までもが傷つく日々が彼の精神をすり減らしといった。彼の部屋はその度に狭くなるように感じる。闇が少しずつ部屋を覆い隠していく、それはまるで夕陽が沈み夜が訪れるように少しずつ、されど確実に進んでいる。だが自分を守るのに必死な彼は気付かない、たまに彼に気付いて欲しいのか闇も光ろうとしても顔を上げることはない。



彼を照らす唯一の光も何時しか消えてしまった。彼は暗くなったことを知り、目を開けてみた。その目に映ったものは一寸先も見えない闇のなかに浮かぶ人形の欠片だけだった。

彼は遂に他の人との交流を諦めてしまった。もうこの暗闇から抜け出す手立ては失くなってしまった。心の底では救いを求めているのに身体は動かない、口では逆のことを言ってしまう、そんな彼に再び光が、希望が、信用が生まれることが有るのだろうか、光を求めるのか闇に留まるのか、その答えは彼が持っている。

その答えが出るまでは暗い闇のなかで孤独が続く……


心を闇が覆うとき、全てを失ってしまった彼に貴方はどんなエンディングを与えますか?

暗き闇のなか、先の見えない道を手探りで進んでいくしか残されていないそんな彼に……

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