ずっと一緒
僕と織は付き合って二年と七ヶ月と二十七日になる。
最初はお互いが親友のようなもので、移動教室や普通ならいやいやになるはずの男女ペアなどで行動をともにしていた。いつからか、僕たちの関係は友達以上恋人未満、いやむしろ恋人以上のような感じであった。一度だけ一緒に学校から帰ったこともある。それも文化祭の帰りに、だ。
織は決して可愛い、といえるような容姿ではなかった。どちらかというと普通。けれども、彼女は感受性豊かで見ていて可愛い、という意味の可愛いがつかわれる人間だった。事実、彼女のクラスの方々におもちゃ扱いされていたようだ。クラスが違ったので、会えるのは休み時間だけだったのだが、それでも見ていて面白かった。
そんなのもどうかと思うが、彼女は拘束されるのがとても好きだった。束縛は苦手らしいが。他にも彼女が好きなものは、拘束、拉致監禁、軟禁、手錠、絞首などどうみてもMだと捉えざるを負えないものばかりなのもこれまた事実であった。
彼女は精神的に脆い人だった。
いつかは思い出せないが、彼女は一度精神安定剤を多量摂取したことがあった。それを彼女は笑顔で話した。
「僕はね、きっと生きていてはいけない人間なんだ。人に迷惑を何回もかけて、自分を嫌いになって、被害妄想がとても強いやつだからどうしても他人が敵に見えてしまうんだ。理解して欲しいとは思っていない。けれど君には知っておいて欲しいんだ。僕は逃げてる。分かってるんだ。けれど心の片隅にたった一つ消せない思いがあるんだ。…僕は死んでしまいたいんだ。だから、だから精神安定剤をたくさん飲んだ。悲しんでくれる人がいるなんて思ってはいないけど、死ねたら死にたいとおもった。死ねなかったら、生きてみようとしていたんだ。ごめんね、君がいるってことがこんなにも大切だなんて気づくことができなかったんだ。ありがとう。愛してるよ」
彼女はこの台詞を言うのに二ヶ月掛かったらしい。ということは多量摂取をしたのは三ヶ月前だ。僕はとても後悔した。それまで彼女の気持ちに気づくことが出来なかったのだから。
僕は今、石の建物の前にいる。その建物は僕の腹までしかない。
そして僕は今後悔をしている。彼女をそれに閉じ込めてしまったからだ。
彼女の色黒の腕は、今は真っ白になっている。そこに刻まれた無数の赤い線は消えることはない。それは僕の胸にも刻まれ、永遠のものになった。
最後に、君に贈る言葉を持ってきた。
「僕は、ずっと、君の恋人でいる。織、愛してるよ」
後に、在来の石の建物の横に、もうひとつのそれが並べられた。
「ふたりはずっと、一緒だよ」
□あとがき□
ワードの練習として書きました。
病んでる表現をもう少ししたかった。