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043 なんだか色々状況が変わっているようです?


 オーガロードを倒してギルドマスターとお話した後、冒険者達を助けた街道まで戻ってそこからハルーラを目指して北上を再開した。

 でも、MPを使いすぎてふらふらする。ちょっと休憩した方がいいかも……


 途中で討伐隊の緊急時の集合場所と思しき所が遠くに見えた。さっき助けた冒険者二人もいるから、多分間違いない。それにしても、結構な人数がいるね。あと、怪我してる人も結構居るみたい?

 あ、こっちに気付いて手を振ってる。軽く会釈して通り過ぎておこう。面倒事は基本的に回避する方向で。



 ふらふらしながらも昼過ぎにはなんとかハルーラの門が見える所まで帰って来られた。辺りには薬草採取してる子供達がちらほら見える。うん、でももう無理。

 少し座って休憩。私は基本的に体力があんまり無いから、正直きつい。


 街道脇に座り込んで水を飲んで一息ついていると、オーガの討伐隊っぽい人やギルド職員っぽい人達が乗った馬車が何度も通り過ぎていく。多分オーガの死体運搬の為の人足だろう。

 はー、みんな大変だねえ。

 なんて考えながら眺めていたら、ギルドマスターが乗った馬車がやって来た。


「……こんな所でなにやってるんだ?」


「疲れたので休憩してました。あまり体力が無いもので」


「街はもう直ぐそこなのにか?」


「はい」


「……そうか。もう少しだ、頑張れよ」


「頑張ります」


 すっごい微妙な顔をされたけど、気にしない。私まだEランクだし、まだ子供だ。所詮こんなものですよ?


 そのまま座り込んでいると、多分Cランクっぽいパーティーが目の前を通り掛って、こっちを指差して笑っていた。私を馬鹿にする会話も聞こえる。


 ああ、うん。へぼいよね。でもそのへぼいのに助けられたんだよ、貴方達。


 でも面倒な事になるのでそんな事は言わない。私は中身は大人だからね。見逃して進ぜよう。

 と言うか、私の側に居るノルンを見ても何も気付かないのかな? 洞察力皆無? まあCランクって言ってもピンキリって事なんだろうなあ。この、ガッカリCランクめ!


 その後、更に暫くしてやって来たのは、私が助けた冒険者の二人だ。


「こんな所で何してるんだ?」


「疲れたので休んでます。あまり体力が無いもので」


「……そうなのか」


 また微妙な顔された。いや、わからないでもないけどね。


「ああ、そうだ。改めて礼を言わせてくれ。本当に助かった、ありがとう」


「いえ、気になさらずに」


「そうは言うがな……そうだな、この後はまた暫くはハルーラにいるんだろう? なら、何か困った事や分からない事なんかがあったら声を掛けてくれ。俺達に出来る範囲でだが、力を貸そう」


「おう、あくまで俺らに出来る範囲でだけどな」


「親切の押し売りになってもなんだしな、覚えてたらでいい」


「わかりました、何かあった時はお願いします」


 うん、感じがいい人達だね。誰かさんと違って。


「な、なんだよ、それ! 俺の時と全然違うじゃないか!」


 わあ、その誰かさんがいた。何でこういつもタイミング良く居るかなあ?


「俺だって助けるぞ! 何でも言ってくれ!」


「いえ、結構です」


「何でだよ!」


「貴方からのお礼はもうお野菜を受けとってますし、森を出た事には別に貴方は関係ありません。それに森からはその内出る予定だったので、多少遅いか早いかの違いでしかないです」


「それは……でも……」


「ニール! なんでその子にそんなに構うのよ!」


「テス……」


「ほら! 早く帰るわよ!」


「ああ……」


 テスに引き摺られるようにニールが連れて行かれる。私の心の平穏の為にも、もっとしっかりと手綱を握ってくださいね?

 その様子を眺めているとコリーがこちらに軽く手を振った後、二人を追いかけていった。あれ? 常識人のベックさんが居ない? 別行動でもしてるのかな? ……まあ、どうでもいいか。

 さて、気分も楽になってきたし、そろそろ街に入ろう。



 と言う訳で街に入ると、もう既に大騒ぎになっていた。オーガの群れが実は統率者付きの厄介な連中で、しかもそれの討伐に成功したのだから当然と言えば当然なんだけど。

 でも討伐隊に参加した冒険者達の大半は微妙な顔をしてるようだった。まあ、オーガロードも自分達で倒した訳じゃないし、群れの半分も私が倒してる訳だからね……それでも我が物顔で威張ってる連中も居て、凄いね、ある意味尊敬する。


 でもまあ私は分け前が貰えて、且つ、自分の平穏が守られればそれでいい。


 と言う事で騒ぎを尻目に宿を目指す。以前泊まっていた高級宿だ。いや、あのコックさんには辟易なんだけど、実は他にノルン達が泊まれる所、無いんだよね。


 宿に着いて早速中に。


「あの、泊ま」


「なんで泊まれないんだ! ここに泊まる為に態々王都から来たんだぞ!」


「申し訳ございません、ただいま満室でして」


「クソ! 噂の料理が食いたくて来たってのに……」


 大声を上げていた男がぶつぶつ言いながら宿から出て行く。


 ……え、なに?


「あ、レンさん!」


「リリーさん」


「戻って来られたんですね! 南の村までって言ってたのに一ヶ月経っても戻って来ないから、何かあったのかと……」


「ちょっと色々ありまして……寧ろこちらの方は何かあったんですか? お客さんの数が凄いみたいですけど」


「ええ、そうなんです。その……以前レンさんが作った料理を、うちのコックが真似して作った出来損ないの料理があったじゃないですか。あれが領都や王都で噂になってるらしくて……それを食べる為に態々ハルーラまで来る人が結構居るみたいで」


「……あれを食べる為に?」


 ……ちょっと理解できない。私はもう食べたくない。お腹壊すから。


「ええ、私もちょっと、とは思いますけど。でも、お陰で商売繁盛! 嬉しい悲鳴と言う奴ですね」


「それはそれは……でも、ちょっと困りました。満室では泊まれませんよね? ノルン達が一緒に泊まれる所は他には無いし……」


「あ!」


「え?」


 リリーさんが声を上げたかと思えば、こちらに近寄ってきて小声で話し出した。


「それなんですが、大丈夫です」


「……?」


「ええとうちのオーナーがですね、レンさんの為に以前泊まってた時に使われてた部屋を空けて置く様にと」


「え?」


「その、今のこの繁盛はレンさんのお陰ですし、そのレンさんがまた戻って来ると言っていたと私が伝えた所、帰ってきた時にまた泊まって貰える様にと」


「その、ありがたいんですが、いいんですか? さっきのお客さんとか……」


「いいんですよ! 経営者の方針ですから!」


 ……本当に良いんだろうか。でもここに泊まれるのはありがたいので、お言葉に甘えよう。

 宿泊の為の手続きを済ませると、リリーさんの案内で部屋まで移動する。ちなみに今回も連泊するつもりなのでまとめて払っておいた。


「あ、レンさん。私この後、晩御飯の時間に休憩なんですけど……もし良かったらご一緒してもいいですか?」


「はい、大丈夫ですよ」


「ありがとうございます!」


 うん、いい笑顔です。相変わらず反応が可愛い。


 部屋に入って一息。晩御飯の時間まではまだ時間があるけど、【創造魔法】の修練をするにもMPがないし、ちょっと仮眠でも取ろうかな。


 流石に今日は疲れた……


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