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003 おにぎりが食べたいです


 あれから五日ほど歩き続けた。

 水も食料も一昨日には無くなっている。


「お腹空いた……」


 ぐうううううううう。お腹がなる。


「……足痛い」


 足の捻挫が悪化してずきずきと痛む。『応急処置』を使うが、気休めにもならない。


 歩きながらこれまでに摘んだ薬草を噛む。苦い。唾液も出ない。咽る。水が欲しい。

 今噛んでる薬草は一昨日から摘み始めたものだ。多少は可食な山菜の知識はあるものの、それ以外の物の判別が付かなくて困っている時に閃いたのだ。


【鑑定】で判別できるんじゃない? と。


 結果から言えばこれは大正解。

 食用になる野草やら傷薬やポーションの材料になる薬草の類の区別が付いた。

 でも問題がひとつあった。灰汁抜きをしないと苦くて食べられたものじゃなかったのだ。それでもいくつかの野草はそのままでも食べられた。

 更に次の問題は水だ。喉が渇いていては折角の食料も飲み込むのが一苦労だった。

 【鑑定】のお陰で野草や薬草の荷物は増えたけど、食べても飲み込む事が出来ず、今ではそれすら口に運ばなくなっていた。


 それでもゾンビみたいにゆっくりと歩き続けていたけれど、とうとうその場に倒れこんだ。


「水……」


 水。水が欲しい。水。


「……水」


 水! 喉が! 水!


 このままだとやがて脱水を起こして死ぬ。そう思った時だった。


 ばしゃっ!


「……え?」


 目の前に水が降ってきた。顔を上げると目の前の草叢が濡れている。見上げてみても何も無いし、誰も居ない。


「水!」


 濡れた草叢に手を伸ばすとまたも水が降ってくる。

 運良く掌に少しの水が溜まり、慌てて口に運ぶ。良く分からないが、水を求めると水が降ってくる。

 何故そんな事が起きるのか分らないまま、慌てて腰の皮袋を手繰り寄せ、そこに水を溜めては飲んだ。



「……生き返った」


 時間をかけて何度も水を飲み、何とか喉の渇きは癒えた。でも。


「お腹空いた……」


 倒れた拍子に摘み集めた薬草の入った別の皮袋はどこかに放り出してしまったらしい。探しに行こうにも動く元気も無い。


「……おにぎりたべたい」


 水って言ったら水が降ってきたんだから、これも出て来ないかなー、なんて現実逃避染みた馬鹿馬鹿しい事を考えながらつぶやいたら。


「……は?」


 本当に出てきた。おにぎりが。


 え? 幻覚? どういうこと?


「……おにぎり」


 もう一度念じながら呟くと、空いていたもう一つの手の中にもおにぎりが現れた。

 ……両手にそれぞれおにぎりがある。手をわきわきと動かしてみるが、間違いなくそこにある。


「食べ物……」


 もう、なんで今それがそこにあるのかとか、どうでもいい。

 一心不乱に食べる。うん、おにぎりだ。塩むすび。海苔も何も無い、具も入ってない。でも、美味しい。訳が分からないまま、涙が出てきた。




 いきなり現れたおにぎりを食べ終えて、仰向けになったままでぼんやりと空を見上げる。


 お腹が膨れて多少冷静になった。満腹感はしっかりとある……幻覚じゃない。

 じゃあなぜおにぎりは現れた? そもそも、この世界で生きてきた10年間の記憶を振り返っても米を余り見た事が無い。仮に近くに米があったとして、誰が私におにぎりを与えた? 周囲を見回しても誰も居ないし、居る気配も無い。おにぎりは魔法のように現れたのだ。


 ……魔法?


 そうだ、この世界には魔法があった。となれば魔法でおにぎりは現れた。そう考えるのが妥当だ……いや、妥当か? おにぎりを出す魔法? 聞いた事も無い。でも実際、おにぎりは現れた。であれば確認だ。


「ステータス」


 念じながら呟くと、視界の中に自身のステータスが表示された。




【名前】レン


【種族】天人族


【職業】孤児


【年齢】10歳


HP 20/50

MP 30/50


STR 3

VIT 3

DEX 5

AGI 3

INT 500

MGC 300

CHA 12

LUK 4


【スキル】


創造魔法  LV1


ストレージ LV-

生活魔法  LV5

鑑定    LV3


耐性:空腹 LV1

耐性:疲労 LV1

耐性:痛覚 LV3


魔法属性適性:全属性




 ……うん、なんだか色々おかしい事になってる。


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― 新着の感想 ―
[良い点] オニギリ。大袈裟かもしれないが、 日本人にとって、「命」そのもの。 この島国に二千年、イヤ一万数千年過ごして来た、 我らにとってなくてはならんもの。 主人公「・・・帰りたいです。」…
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