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168 まだだ! まだおわらんよ!

体調崩して少し遅れました……


 という訳で色々作ってみた。

 まずはこちら、魔導炊飯器!

 これでもう土鍋でお米を炊かなくてもいいのはちょっと楽。自動だから火の管理も必要ないので、その分他の事に集中できるようになる点もいい感じ。

 それでも一応最初にお米を研がないといけないんだけど、それさえやれば後はお米を入れてボタン一発。水は自動で適量が給水されるという優れもの。炊き加減も、柔らかめ・普通・硬めと選択可能。尚、硬さ具合の分別は私の好みによる。あとは一応お気に入りの硬さも登録できるようにしておいた。この辺りは個人の好みがあるからね。ちなみに私は少し硬めが好き。

 ちなみに何でこんなものを作ったのかというと、爺さんの分もご飯を用意していたら言われたんだよね、『嬢ちゃんは米を炊くのが上手いな、俺はどうにも下手でな……毎回出来上がりがまちまちになる』って。それを聞いて自動炊飯器でも作ろうかなーと思いましてね? 私自身も毎回土鍋で炊くのが面倒になってきていたのもあって作ってみました。

 次に作ったのは爺さんに譲渡するつもりで作った清酒、大樽で五つ。

 お陰様でお米の在庫がかなり減りましたよ、ええ。次に街に行ったら大麦同様にお米も仕入れておかないと……うん、全部あげるのもなんか癪だから、樽二つは手元に残そう、そうしよう。

 そしてお次は清酒を作った時の副産物の米粉油。

 清酒を仕込む時は白米を更に削るんだけど、その関係で発生した米粉から絞って作製。というか米粉油は米糠からも絞れるんだけど、糠は色々使っていた関係で中々貯まらなかったので、今まで作るのを見送ってたんだよ。糠漬けとか堆肥とか、色々ね……でもこれで揚げ物がカラっと美味しく揚げられるようになる、美味しいは大正義。 

 最後は私とリリーさん達の防具類。

 と言っても私の防具は実質ミスリル装備なんだけど擬装用に表面に革素材を貼ったものなので、その表面の革素材部分をワイバーンの物に取り換えた感じだ。

 リリーさん達の防具は見た目は今使ってる物と同じデザインで作製、これは一応当人達にも確認済み。余りに大幅にデザインを変え過ぎてしまうと、動作への習熟具合とかで違和感が出て戦闘で支障が出て困るとの事でした。でも耐久力強化や防御力向上、魔法耐性辺りを若干付与してあるので防御力はかなり上がっている。後はクロ用の腰ポーチタイプのマジックバッグ。こちらは収納量はかなり控え目にしておいた。

 そしてここまで作ったところでもう夜だったのでご飯の準備。時間が経つのは早いなあ……でもまだ初日だし、取り敢えずはこんな所でしょ。


 なお、夕食はリリーさんとクロが作ってくれてました。折角作業を切り上げたのに……。リリーさん曰く、色々作ってお疲れでしょうから、との事。ん-、そういう事なら、うん。

 アリサさん? アリサさんはずっと爺さんと訓練してたよ。うーん、相変わらずのバトルジャンキーっぷりだよね。

 夕食後に今日作ったものをみんなに渡す。全員大喜び、作った甲斐があるというものだよ。


「これがあればいつもいい感じに炊けた飯が食えるようになるのか……ありがたい……」


 うん、私達が居なくなった後も好きなだけ食べておくれ。

 アリサさんとクロも防御力が上がって嬉しそうだったけど、リリーさんは少し複雑な顔。ほぼ最高峰レベルの防具が手に入ったのは確かに嬉しいしありがたいんだけど、払う代金を考えるとなかなか反応に困ってしまうとの事。

 ああ、そういえば前に2人の装備作ってあげた後に三人で話し合って、今後の装備に関しては代金は支払うって事になったんだった。つまり今回のワイバーン装備で2人は私に借金が出来たという事に……。よし、パーティーメンバーなので一応身内値引き価格にしておこう。ワイバーン装備の相場がどのくらいなのかかわからないけど。


「ワイバーンの革防具? それは出来次第だからピンキリだが、そうだな……その嬢ちゃんが作った奴なら、素材代と加工代込みでそれぞれの一式が金貨2000から3000ってところか?」


 思ったよりも高かったでござる。でも付与もしてるし、そのくらいが妥当なのかな? ……うん、わからん!


「……頑張ってお支払いしますね」


「私も頑張るよー……」


「むいー?」


 クロはよくわかってないっぽいけど、2人の顔色は微妙な感じに……。えーと、一応諸々値引きして金貨1500枚でいいから、ね?

 爺さんには値引きしすぎって笑われたけど、正直言えば2人には色々お世話になってるからタダでもいいと思う。でもそれはあんまり良くないからね。

 リリーさん達から色々聞かされたクロもある程度理解したらしく、『レンちゃ、わたしも頑張って返す!』ってフンスフンスと鼻息を荒くしながら宣言してきた。うん、気長に待ってるからみんな頑張ってね。

 ……でもそのうちまた武器の更新とかあると思うんだけどなあ。減った傍から借金が増えていくのでは……?

 いいタイミングなので2人に貸し出ししていたマジックバッグもそのまま買い取ってもらう事にした。こっちも適当に金貨1500枚にしたので、2人の借金は合計で金貨3000枚に……。ちなみにクロの分は無償。いやほら、この間トリエラにもあげたし。ついでにリリーさん達の奴よりも収納量は大分少ないからね。

 尚、爺さん曰くこの容量のマジックバッグだと金貨5万枚出しても買えないとかなんとか……。いや、私はいくらでも量産できるから。うん、だからこの値段でいいのだ! ……仲間だしね。


 翌日は午前中から物作り。

 うーん、大物の魔導甲冑は後回しにするとして、ネタ装備の火器でも作ってみるかな。という訳で作ってみたのが拳銃、小銃、狙撃銃。

 拳銃は片手で扱えるハンドガンね。両手でしっかり構えて撃った方が当てやすいけど。銃自体は前世の記憶を基に回転式と自動式で数種類作製、各種アタッチメントも用意した。リボルバーで早撃ちは浪漫だよね。

 小銃は、まあライフル銃だね。こちらは全自動のアサルトライフル的な物からボルトアクション式、火縄(マッチロック)式や燧発(フリントロック)式も用意してみた。流石に世界観にそぐわない気がするのでアサルトライフルの出番は無さそうな気がするけど。

 最後に狙撃銃。うん、狙撃銃っていうか対物(アンチマテリアル)ライフルです。試射はしてないものの、これって多分だけどワイバーンにも効くのでは……? という訳でこれも死蔵決定☆

 ネタ武器としては有りだとは思うんだけどなー、でも使ったら色々問題になりそうな感じだよね、流石に。

 ちなみに後でジョージ爺さんに聞いた話だとマスケットは既に開発されているらしい。でもこの世界、普通に攻撃魔法とかあるし、同じ品質で銃の数を揃えたり火薬を安定的に確保するのも難しいしで、全く普及していないとの事。

 でも銃は弓よりも習熟は楽だから、銃の数を揃えて部隊編成出来るなら、作戦や運用次第では使い道はあると思うんだけどね。

 しかし調子に乗ってノリノリで色々と作ってみたものの、この中で実際に使われるものってどれだけあるの……? いや、考えてはいけない、あくまでも趣味で作っただけだし。あ、手榴弾も作ってみるか。魔法で十分な気もするけど。

 そうして色々な火器を作り終わってみると、まだ午後の三時過ぎという微妙な時間だった。

 なんというか、ここから何をするにしても半端な時間……よし、エリクサーでも試作してみるか。そうと決まれば材料を用意してホホイのホイ! そして結果は……うん、なんか失敗。それっぽいのすら出来なかった。

 んー、でもこのまま何回か試していけば出来そうな気はするなあ。よし、気長に頑張ろう。ちなみに二つ目以降のエリクサーの失敗作は最上級ポーションになってました。……まあ、これはこれで?

 そうしていい時間になったので晩ご飯。今日もリリーさんとクロが作ってくれました。

 実はリリーさん、もう暇を持て余して朝から料理の研究を始めていたり……。当面は私が過去に作ったメニューの再現を目指すとの事。いや、聞いてくれればレシピは教えるよ? と提案はしたものの、なんか悔しいから当面は自力で頑張るそうです。

 そんな訳で今日の晩ご飯はなんちゃって和食。……うん、『なんちゃって和食』としか言いようがない感じの味付けなんだよ……。

 いやまあ、これはこれで美味しいと思うんだけど、なんかコレジャナイ感が凄い。爺さんも変な顔してるし。なんていうのかな、こう……この見た目ならこういう味だろうと予想してたところに、予想してなかった味が来るというか? ……なんというか説明しづらい感じの味。

 なんとも形容しがたい消化不良感を残しつつお風呂に浸かり、今日も就寝。明日からのご飯は一体どうなってしまうんだ……?

 そういえば最近のクロは夜、居間のラグの上で丸くなって寝てるので私は一人寝になってしまった。1人、か……。

 ……まあいいや、寝よう。


 物作り三日目。

 今日は遂に大物の魔導甲冑の改修作業である。

 まずは最初に本体の中核部、コアユニットの制御系に使ってる魔石をワイバーンの魔石に交換。これで反応速度が一気に向上、更に燃費も軽減された。たしかこれ、元々はホワイトファングの魔石を使ってたんだっけ……? まあいいや、これも後で何かに流用しよう。

 次に当初の予定通りにバックパックのバッテリーに使っている魔石も交換、稼働時間の延長と基礎出力が向上。こっちは適当な魔石が無くてゴブリンの魔石を圧縮して作ったんだっけなあ。質が悪すぎて燃費が悪かったんだよね……。

 そしてそれら二つを合わせて機動性が一気に上がり過ぎた為、扱いやすくする意味でもリミッター機能を取り付ける。これによって『リミッター解除! 高機動(ハイマニューバ)モード!』とかやって遊べるようになった。間違った、遊びじゃなくて奥の手だね、うん。

 あとついでに通常時の燃費もかなり軽減された為、省エネエコ運用時の稼働時間が以前の五倍近くまで伸びて最大24時間まで稼働可能になった。……とは言ってもリミッター解除した場合の最大出力時はやっぱり5分程度で活動限界になるのは変わらないままなんだけど。

 そして次に魔導甲冑用の遠距離武器。火薬を使っていないので火器ではなく魔法式の銃器。

 作製したのは中距離用のハンドガンタイプ、中~遠距離用のライフルタイプ、広域殲滅用のガトリングガンタイプ、最後に多目的用のバズーカタイプ。バズーカは目的に応じて弾頭を使い分けで使う。取り敢えず榴弾、焼夷弾、閃光弾、ガス弾辺りは用意してみた。

 ……最初の二つは兎も角、バズーカとガトリングガンは素材採取には向かないよなあ……特にガトリングガンは穴だらけになるし。使うとしたらゴブリンの群れとか、そういう相手の時くらいしか出番が無さそうな気がする。

 でも手段を選ばずに倒せればいいって時には有力候補だよね。数を用意するのが大変だろうけど、弾種次第ではドラゴンにも効くかも? んー、これはそのうち考えよう。

 あー、ここまでやったらついでだから魔導甲冑本体も一旦ばらしてオーバーホールしてしまうか。大亀の時には結構無茶させたしなあ……うーん、予想通り結構あちこちの部品が摩耗してる。全部新品というか、新型に取り換えよう。ついでに装甲周りも改修して……手足も運用データを反映させて新造して……うん、いい感じ。見た目はほぼ変わってないけど。

 そんなこんなであれこれ弄っていたら、結局翌日の四日目も改修作業をする羽目になった。でも後悔はしていない。

 そうして魔導甲冑の改修作業が完了し、最新型へとアップデート! かかって来やがれ大型魔獣! ぶっ飛ばしてやる! ……すみません、冗談です。

 そのうち飛行能力も付け加えたいところだけど……ちなみに【操剣魔法】やその応用では飛ばせませんでした。重すぎる所為か、浮きもしなかった。んー、先に自分自身が生身で飛べるような【飛行魔法】の習得が先かなー? やる事リストがなかなか減らないなあ。

 五日目はこの数日色々と作ってきた勢いのままにエリクサー試作の続き。ところがこれがなかなか上手くいかない。失敗作として上級や最上級の各種ポーションが量産されていく……。うん、この品質のポーションなら在庫はいくつあっても無駄にはならないからいいんだけど、なんかもやもやする。

 そして六日目もエリクサー試作、されども成功せず。七日目も同様。

 ……これは、一旦切り上げて別の物を作った方がいいかも?

 例えば、前世で作りたかったもの『その2』と『その3』とか……。あー、魔導甲冑に光学迷彩機能を取り付けるのでもよかったかも? 光学迷彩、まずは個人携帯用の魔道具を開発してみるかな……?

 と、意識が散漫になって余計な事を考えるようになり始めた辺りで、不意にエリクサーの試作に成功した。【鑑定】の結果は最低品質、つまり最下級のエリクサーという結果。

 やったああああああ! 一本だけだけど成功した! その後はまた失敗しまくったけど! ……恐る恐るステータスを確認したところ、そこには【霊薬調合】LV1の文字がしっかりと!

 うおおおおお! 成し遂げた! 成し遂げたぞー!

 最終的にその日は合計三本の最下級エリクサーを完成させて終了。でもエリクサー試作はもうあかん……! つらい……! 成功率が低すぎてつらい……! 明日からは別の物を作ろう……!


 そしてそんな感じで私が過ごしている間中、ずっとジョージ爺さんと摸擬戦を続けていたアリサさんも劇的にパワーアップしていた。具体的には、遂に【闘気】のレベルが1になった。

 【闘気】は武器や防具に『気』を流す事で攻撃力や防御力を向上させたり、武器に纏わせた闘気を飛ばして遠距離攻撃が出来るようになるスキルだ。あと【身体強化】には私も覚えている【身体強化:魔力】とは別に闘気で使えるタイプのものがあり、そちらは【闘気】スキルを習得していないと覚える事が出来ないらしい。

 兎に角、アリサさんはこのスキルを実戦で使えるようになったという事だ。爺さんが言うには闘気を飛ばすのはLV3以上にならないと難しいとの事だったけど、それでもLV1になってしまえば後は繰り返し使い続けるだけ。強くなる事に貪欲なアリサさんならそう遠い日の事ではないだろう。更には【闘気】の他にもちらほらとスキルレベルが上がっているらしく、ジョージ爺さんもびっくりの脅威の成長速度らしい。

 ああ、だからリリーさんも焦って料理研究なんて始めたのか……。魔法制御の鍛錬の方は地道に続けてるみたいだけど、なかなか結果が出てこなくて結構落ち込んでたからなあ。置いて行かれない様に必死なんだろうけど、魔法が上手くいかないから料理してみるって言うのもなかなか迷走してる気がする。

 でも行き詰ってる時にまったく関係ない別の事をやってみるって言うのも結構馬鹿にならないから、私的には意外と有りなんじゃないかなと思ってたり。で、そんなリリーさんを見ていて、エリクサー試作で行き詰ってる私もちょっと気分転換をする事にしました。

 ええ、2~3日ほどお籠りして、久しぶりに日課でもしようかな、と思いましてね……。

 最近はクロが居間で寝てるから、私、一人寝ですし? とはいっても今使わせて貰ってる客室を使う訳じゃなくて、そこで『魔法の扉』を出してですね? ほら、私って基本的には自室でしかしない主義ですし? と言うか実際自室以外でした事ないですし?

 後はいつもの通り『ちょっと作業に集中したいから数日籠ります、ご飯も不要です』と言付けて、自宅の自室へレッツゴーってなもんですよ。


 ……予定していた2~3日を大幅に超過してしまったのは、ちょっとしたお茶目という事で一つ。


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― 新着の感想 ―
コミックの方楽しかったけど、小説の方も一気読みしてしまった!続き楽しみにしてます!
続きが早く読みたいです。
次は自動精米・自動研ぎ機もセットですね。 わかります。
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