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016 ひきこもり生活とその後


 あっという間に十二月。

 あれから面倒な来客は一人も居なかった。雪がちらつき始めたのもあると思うけれど。私は雪が降ってない日にたまに採集に出る程度で後はずっと自宅に閉じこもったまま。その間自宅でする事は基本的にポーション作りや鉄の作成。鉄の素材になる砂鉄は冬になる前までに川で大量に集めておいたので問題なし。これを鍛鉄にする事が出来れば武器素材としてはまずまず及第点なんだけど、それにはかなり時間が掛かった。でもまあ、冬の間はする事も無いのでじっくりと。ちなみに長剣はまだ作れなかったり。でもナイフは作れるようになった。あと、包丁。料理がはかどるよ!

 鍛鉄の量がある程度溜まったとき、一度日本刀を作ろうとしたら昏倒した。刀身は小太刀程度の予定だったんだけど……スキルレベル、MP、ともに足りていないみたい。高度な鍛冶技術が必要な分、要求コストが大きいのかもしれない。


 そして、家に篭りっぱなしの所為か、やはり、その……日課一回あたりの所要時間が増えまして。ええ、まあ、そういう訳です。LV6が本気で直ぐ側に来てるような気が……

 あと、そっち用途のポーションが幾つか増えました。いいじゃない、別に! 誰にも迷惑かけてないよ!

 ちなみに月のものが来ると寝込みます。この身体、症状が重すぎやしませんか……痛み止め飲んでもだるくて働きたくないでござる……


 冬になってからもノルン達は外で暮してたり。たまに家の中で寝るときもあるけど、基本的に外暮らし。そのほうが強くなれるんだろうけど、ちょっと心配。



 一月。


 この世界にも新年を祝うと言う考えは存在する。

 大きな街であればお祭り騒ぎになるところもあるらしい。私が居た孤児院がある街ではそんなことは無かったが、教会で多少の炊き出しとかがあった。田舎の村とかでもそれなりに祝ったりするとは聞いたことがある。


 ……ココの村でもやってるのかな? 行くつもりはまったくないけど。


 一月に入って2週ほど経った頃、大雪が降った。完全に家が埋まってる。家が潰れないように雪かき代わりに周辺の雪を【ストレージ】に収納して回ったりしてみたりした。

 しかしこの降雪量、普通に死人が出そうな気がする。


 でも私には関係ないね! なぜなら、剣が、とうとう剣が作れそうだから!

 と言うわけで数日後にやっと剣が完成した。スキルレベルも上がった。【創造魔法】LV4。長かった……但し、作れたのは短剣。刀身部分だけで40cmほどなので、一般的な正しい意味でのショートソードよりもかなり短い。私はまだ子供で小柄だからこの方が扱い易いだろう。腕力もないし。鍛鉄製で、炭素配合も強度と硬度を調整して、高品質。【鑑定】してみる。



【鋼の短剣】

鍛鉄製。高品質。



 ……なんの捻りもなかった。

 気を取り直して漸く完成した短剣を、振り回、さない。室内ではちょっと危ない。外は出たくない。寒いの嫌い。

 そして完成のお祝いとして自分へのご褒美に今日の日課をちょっと多めにした。



 ……次の日ステータスを見たら例のアレがLV6になってた。神は死んだ! もう居ない!



 二月。


 今年は二月も雪が多い。例年ならこんなに沢山降らない。

 そして、実は誕生月だ。今月で11歳になった。

 ただし、正確な誕生日ではない。本当の誕生日がいつなのかはわからない。私が孤児院に捨てられていたのが二月だった、それだけだ。だから私が拾われたその日を誕生日にした。そしてその時1歳位に見えたのでその時点で一歳という事にした。たったそれだけの話。

 名前に関しても、その時に着ていた服に刺繍してあった文字列から取って付けたそうだ。解れていて一部しか読めなかったのだと教えてもらった。


 ところで、胸がまた大きくなってるんですが。どういうことなの……

 身長? 据え置きですよ! どういうことなの!? ちゃんとご飯食べてるよ! なんでさ!



 三月。


 雪が解けて漸く外に出られた。

 春の山菜でも摘もうかと、散策に出る。飢えた獣が沢山居た。狙撃狙撃狙撃。山菜摘みに出かけたはずが、肉が沢山獲れた。意味がわからないよ。


 剣の練習もしてみた。

 ……どうやら私にはそっちの才能はなさそうだ。咄嗟の時にうまく動けない。考えながらだとそれなりにちゃんと動けるんだけど、なんだろう、これ?

 ブーストポーションでステータスを底上げすれば、非常時の近接戦闘は何とか誤魔化せるかもしれないけど、んー。何か対策が必要かもしれない。


 ノルン達のステータスも上がってた。全体的に満遍なく。更にスキルも増えてる。実に頼もしい。



 暖かくなってきたので以前と同じように狩りに採集に畑に、と日々を過ごしていると、来客が。フードを深く被る。


「……どちら様?」


「お前が魔女か?」


 またそれか!


「違います」


「パーカーのところに色々薬をやったのお前じゃないのか?」


 パーカーって誰?

 話を聞いてみると、パーカーと言うのはココやニールの父親のことらしい。そして、以前ココにあげた薬、と言うか栄養ドリンク代わりにあげたポーションが問題だったようだ。あの時、私はココにポーションを三本与えた。ところが、ココの母親は一本しか飲まず、残りの二本を商人に売ったのだそうだ。しかもかなりの値段で。ところがそのポーション、そのぼったくり値段で買っても尚、その値段以上の効果が発揮された。その話を聞きつけた他の村人、つまり今目の前に居るこの中年男性がそれをよこせとやってきた、という訳だ。


「お前、あれをタダでココにやったんだってな。なら俺にもくれよ」


「あの薬はもうありません。材料もありませんし」


「おいおい、嘘つくなよ。あるんだろ? いいからよこせ!」



 ノルンさん無双。



 それから数日置きにやってくる中年。しかも一人ではなく複数。それがさらに複数グループ。何でも他の村からやってきた人も居るとのこと。金を払うと言う人もいたがお断りした。迷惑な訪問客達のお陰で最近一度も狩りにも採集にも行ってない。


 更に困ったことに、この周辺を治める領主にも私の噂が届いたらしい。私を召し上げる為に兵の準備をしてるとか何とか。隣村から来たと言う人が教えてくれた。重要な情報、感謝! でもポーションは売らないよ。


 ……もう、ここに居るのも限界かな。



 私は森を出る事にした。


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― 新着の感想 ―
[良い点] レンの”語り”が迚も軽妙で楽しいです♪。 そのためスゴく読み易いですし、何度でも読みたくなる!、何度読んでも面白い!、作品になっています。 [気になる点] >名前に関しても、その時に着てい…
[一言] >ただし、正確な誕生日ではない。本当の誕生日がいつなのかはわからない。私が孤児院に捨てられていたのが二月だった、それだけだ。だから私が拾われたその日を誕生日にした。そしてその時1歳位に見えた…
[一言] まあ、迂闊に人なんて助けるものじゃないな。 絶対に後に尾を引かない時だけ干渉すればいいと思われ。
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