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148 どこでも〇〇〇〇


 えー、ラッドさんに魔剣を譲渡して帰ってきて現在、説教中であります。また説教されてるのかって? いやいや、私がする側。される側じゃないです。

 何がどうしてこうなったのかと申しますと、まあ私が帰ってきたのはもう夕方も近い時間だったりしたわけなんですが、居間にですね、残ってたわけですよ。

 何がって? 私が朝作っておいたご飯が、丸々そのまま全部。一切手つかずで。

 いやー、またしても色々察しましたね。

 まあね、分からないでもないわけですよ? ほら、私も人の事言えないからね? でも流石にこれは、ちょっとね?

 という訳で部屋の扉をガンガン叩いて二人を叩き起こして、お説教と相成ったわけであります。


「……まあ、お二人も年頃ですし、冒険者をしていれば色々と溜まってしまうのも理解はします。時には発散も必要でしょう。それがたまたま気分が乗ってしまってついつい長引いてしまったのも仕方ないと思います。ですが流石にご飯も食べずにというのは、いかがなものかと」


「はい、すみません……」


「ごめんなさいー……」


「せめて水分補給はするように気を付けてください。脱水症状とか、かなり危険ですから」


「はい……」


「申し訳ないー……」


 いやもう、本当に何を説教してるんだろう、私……。


「……今回はいきなり当日の予定がキャンセルになりましたし、今後はある程度活動した後は休養期間を設けるようにしましょう」


「そうですね……そうしましょう……」


 っていうかさあ! なんでよりにもよって私がこんな事説教してるの!? 偉そうに人の事言えないよ、私は!

 ……いや、私は一応ポーションで栄養補給してたし、他の人に迷惑が掛からないようにタイミングとか色々気を付けてはいたけどね……? でもこうも過去の自分の行いを客観視させられるような状況に遭遇すると、流石の私も今後はもっと気を付けようと身につまされる思いだよ。……どうしてこうなった。

 ちなみに説教中の二人は、肌は妙につやつやてかてかなのに変にやつれて疲労困憊という実にちぐはぐな様子でしたとさ。


 そして説教が終わった後は二人が晩ご飯の用意をする事に。一応の懲罰的な感じ? まあ私の作ったスープとパンも残ってたから、そんなに時間はかからなかったけどね。

 晩ご飯の後はまたしても今後の方針とかについて話し合う事になった。その結果、私への過保護も解除される事となった。

 いや、ぶっちゃけ自己管理出来ずにパーティーメンバーに迷惑をかけてしまった二人からの申し出だったりするんだけどね。この体たらくでは私の事をとやかく言う資格はない、という事らしい。

 でも一応ちゃんとした理由もあって、もっとちゃんと戦闘経験を積もう、という事になったのだ。特にアリサさんと私。

 私は経験を積まないで過保護にされ続けたら逆に警戒心とか対応能力が育たないだろう、という理由。

 現状、私達はパーティーも組んでるし、経験を積む上で多少の危険は仕方ない、という判断だ。そもそも私には常にノルンとベル、あるいはそのどちらかが付き添っているので、必要以上に単独行動を認めないのも流石にどうかとも思ってはいたらしい。

 そしてアリサさんはもっと強くなりたい、との理由。

 アリサさん、実は出来れば剣士として大成したいと思ってたらしい。なので先日のゴブリンロードの時のように、格上の相手と戦える機会は逃したくない、との事だった。

 もっと強くなる為に極限の戦闘経験を積みたいと思ってるんだけど、あの時はラッドさん達も居たので我を通さずに引いたんだって。なるほどなー。


「……わたし、ソードマスターになりたいんだよねー」


 ソードマスター。英雄譚でも語られる剣の英雄達。

 私も詳しくはないんだけどアリサさんの説明によると、いつの頃からか存在する剣士の頂点とされる13人の剣士達の事だそうな。

 剣神を頂点に剣帝と剣王がそれぞれ一人ずつ、そしてその下に最大10人の剣聖が存在するんだとか。

 剣聖になるには剣士としての実力を付けて、剣神・剣帝・剣王のいずれかに認められるか、他の剣聖を倒すかしないといけないらしい。剣王や剣帝になるのも同じ入れ替わり制だとかで、倒せば新しくその称号を得る事ができるとの事。

 なお、剣聖は入れ替わりがそれなりにあったり死亡したりなどで常に10人いるわけではないとかなんとか。

 そんな至高の剣士達は体のどこかに剣の形の痣があるのが目印だとか……。その痣の位置は大抵の場合は手の甲とか手のひらとか、分かりやすいところなんだそうな。

 ちなみにこの痣、称号を得ると勝手に浮き出てくるんだって。なにそれこわっ。

 それと、剣を使って戦う戦士、つまり剣士であれば大なり小なりみんなソードマスターになりたいと思ってるそうなので、アリサさんが特別上昇志向という訳でもないんだってさ。ただ、大声で吹聴して回るような事じゃないし、堂々と言うにはちょっと気恥ずかしいらしい。……うん、まあ、なんとなくその気持ちはわかる。


 とまあそんな訳で私への過保護の解除によって自由行動も認められ、そして私から二人への過保護ももっと加減するという方針に切り替わったのであった。ただし状況や相手によっては私の搦め手をガンガン使っていくというのは今までと変わらない。有用な戦術は活用して然るべきであるからして!


 そして翌日。

 今日こそはギルドへ行ってお仕事を! とはならず、またしても休養日に充てる事に。いや、二人の体調を鑑みましてね……。

 昨日の二人はオールナイトどころか昼過ぎまでフィーバーしてたっぽいので、今日はしっかりご飯食べて家でゆっくり休養を取らせる事にしたのだ。

 一応、安心と実績のある私謹製のポーションを飲ませたから大丈夫だとは思うんだけどね。

 そんな訳で私は今日も自由時間となったのであります。まあ、何もする事ないんだけどさ。

 うーん……二人がハッスルしまくってたのを見ると、私もちょっとハッスルしたくなってきたような気がする……いや、しないんだけど。ほら、私って自宅の自室でしかしない主義だから。

 でもなぁ……自宅を出さなくてもこう、なんとかならないものかな? 今借りてるこの家の自室を自宅の自室と入れ替えたり……いや、部屋の大きさが合わないか。私の部屋、かなり広いし。

 となると、どこにいても自室に移動できるように、とか? それこそ自宅を【ストレージ】に入れたまま、その中に行けるような感じで。

 んー……時間と空間を捻じ曲げるような現象を起こさないと無理っぽいぞ、これ。そもそも【ストレージ】とか【アイテムボックス】って基本的には生き物は入れられないんだよね。

 ……いや、ちょっと待った。それって【アイテムボックス】だけなのでは? 意外と【ストレージ】はいけたりするんじゃないのか? というか、昨日買った小亀魔獣、生きたまま入れられてるし……。

 試しに小亀魔獣を【ストレージ】から取り出してマジックバッグに入れようとしてみる……うん、入らない。やはり【ストレージ】の方が多機能で高性能っぽい。では次にもっと大きな生き物は入れられるのか? ぶっちゃけ、人は? とはいえ人体実験は色々問題が多いので、適当な魔物で試してみる事にする。

 こっそりと家を抜け出し、ノルンに乗って森の奥へ移動。適当に見つけたゴブリンを【ストレージ】に入れようとしてみる……入らない。

 うーん? この差はなんだ? 知性の差? ……うん、なんかそれっぽい。

 家に戻ってからもうちょっと検証。他人を使うのは怖いので自分が【ストレージ】に入ろうとしてみる、というか入れようとしてみる……いや、いきなり最後までは入れないで、入りそうかどうか試すだけね? で、結果。なんかいけそうでいけない感じ。

 んー……、なんか条件を満たせば行けそうな気がしてきた。

 よし、こうなったら得意のゴリ押しだ。MP回復ポーションがぶ飲みしながら【創造魔法】でドン!

 その結果完成したのがこちらの魔法の扉。枠と扉だけのこちらを開けますと、なんと【ストレージ】内の自宅にある同じ形状の扉と繋がっております。

 ……マジで出来ちゃったよ、魔力枯渇でちょっと死にかけたけど。

 色々仕様を確認したところ、この扉で【ストレージ】内の自宅へはいれるのは私だけっぽい。ノルンとベルにも試してもらったけど、2匹はそのまま通り抜けるだけだった。で、【ストレージ】内の自宅から外には出られなかった。というか窓の外は真っ暗。

 更に不思議な事に私がいる間は一部、時間が経過するっぽい。一部だけというか私だけというか。自宅内のその辺に置いておいたものは時間経過はしてないっぽい?

 例えば温かい飲み物はずっと温かいままだった。こわっ。でも都合よく時計とかは動くというご都合主義。どういう絡繰りなのやら。

 そして【ストレージ】内にいる時、外では普通に時間が経過してる模様。緊急時のシェルター代わりにも使えそう? 私しか使えないけど。

 しかしなんかというか……色々と私に都合が良すぎて、逆に非常に怪しい……。

 いやまあ、使うんだけどね! そりゃ使いますともさ! もう一月近く日課してないからね! 日課じゃないじゃん! もう日課詐欺だよ!

 いやでもタイミングが難しいかな? あの二人がああなっちゃうような素材で作ったポーションだし、私も酷い事になりそう……。

 ……いやいや、なんでアレを使う前提なの、私! 別に使わなくてもいいじゃん! ……よし、ポーションは無しで!

 と、そんな事をやっていたらあっという間に夜になってました。楽しい時間は過ぎるの早い……。

 工作の後片付けをして部屋から出ると、二人がご飯を作ってる最中だった。今日の当番はアリサさんだけど、暇だからリリーさんも手伝ってるらしい。

 居間の椅子に座って料理の完成を待ちながら、二人が調理する様子をぼーっと眺める。

 ……この二人が、一昨日の晩から昨日の昼頃まで激しくハッスルしていたのか。一体どんな……って、変な想像はやめよう、変な気分になる。

 晩ご飯を食べた後は明日の予定確認。

 とは言っても何も難しい事はなく、ギルドに行って適当に依頼を物色して受ける、程度のものだけど。

 ただ、ゴブリン退治以外に目ぼしいものがなかった場合は諦めてゴブリン退治を受けよう、という事にはなった。一昨日も碌なのなかったし、そうそう珍しくて新しい依頼なんてないだろうからね……。

 話し合いの後は順番にお風呂に入ると各自部屋へ戻って就寝。まあ、私は早速今日作った魔法の扉を使うんだけどね! 約一ヵ月ぶりだからね! もう辛抱たまらん!


 という訳で、行ってきます!


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[一言] アリサさんのソードマスターのアザは絶対下腹部に出る…そして興奮するとピンクに光る…ただでさえ淫紋なのに剣聖からランクアップするたびに複雑な形になって「これ完全にアレ」って感じに…
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