130 準備完了、さあ出発だ! ……なんてね
と言う訳で念願のゴーレムアーマー(仮)が完成したぞ!
いやあ、途中で興が乗りすぎて、ノリノリどころか多少悪ノリした感は否めない。だがそれが良い! 反省はする、反省はするが後悔はしない!
と、そんなこんなで出来上がったのがこちら、全長2.5m程の乗り込み型ゴーレムアーマーとなります。名称は、うーん……『魔導甲冑』とか? 一応鎧だし、全身鎧だと考えれば『甲冑』だし、魔法技術の固まりだし、まあそんな感じ?
ちなみに見た目は某帝国のカゲキな団の方々が乗ってるような、カプセルに手足が生えてる風な外見だったりする。つまり、頭部は無い。
胴体部でもあるカプセル部分が搭乗部と言うかコックピットと言うか操縦席になっていて、前面部がガバッと上に開いて乗り込む構造になっている。
因みに脚は結構ごっつい脚が四脚。二脚で試験稼動させたところ、森の中を歩かせた時に転んで起き上がれなくなりましてね……悪路での安定歩行を優先した結果、このようになりました。
ただし、足首には無限軌道を取り付けたので、開けた場所ではローラーダッシュも可能だったりする。キャタピラは浪漫だよ!
腕は普通に二本。ただしこちらも結構ごつい。あと、細かい作業用に股間の辺りに折りたたみ式のサブアームを取り付けてみた。取り付け場所がちょっとアレかなーとは思ったんだけど、他に適当な場所が無かったので已む無し。
全長2.5mと小型にしたのも一応ちゃんとした理由が有って、閉所と言うかそれなりに狭い場所でも使える様にする為だったりする。ほら、いずれはダンジョンとか行きたいしね? まあ、私が小柄だからそれにあわせたと言う事も有るんだけど。
将来的には大型の機体も作ったりするつもりだけど、今回は試作型というのも有るので、先ずは小型で実用性重視。どうせチマチマと改造するつもりだし、運用データを集める目的もあるから、その辺りは割と適当だったりもする。
搭乗部はかなり狭い為、居住性はあんまり良くはない。とは言え操縦席の座席シート自体はクッションが効いてるので座り心地は凄く良いけどね。こういうところは妥協しては駄目なんだよ、長時間の行軍とかで影響が出てくるから。操縦席にはベルトが着いていて、腰周りで固定する。その関係上、搭乗時にはマントは外さないといけない。
操縦席には備え付けのバイザー付きヘッドギアが付いていて、それを装着する事で魔導甲冑の視界と同期する。機体の前面装甲にモノアイ的な物がついていて、それにシンクロする形だ。ヘッドギアのバイザーは跳ね上げる事も出来る。全天周囲モニターにしても良かったんだけど、どうやらまだスキルが足りない模様……毎度の事ながら基本になる【錬金術】スキルがないのが地味に痛い。
技術的、構造的、システム的な部分の詳細は省くけど、この座席周りが魔導甲冑の最重要部分。この座席周りに機体そのものとの同期機構が備わってるのだ。具体的には【ゴーレム制御】と【ゴーレム同期】を付与してあるのである。
操縦桿とフットペダルはほぼ飾り。一応補助的に機体を動かす事も出来るけど、メイン制御はスキルによるシンクロ操縦。パイロット自身がスキルを持っていなくてもコックピット周りが一種の魔道具になっているので、なんら問題なく動かせる。ただしパイロットがスキルを所持してる場合はスキルの相乗効果でより高度な操縦も可能になる。
動力はパイロット自身の魔力。つまりMP。座席から直結で供給する。ただし現状では燃費は劣悪の極みなので事実上私にしか動かせない。この辺りも要改善だ。まあ、私以外でも私と同じように大魔力持ちの天人だとか、或いは強力な魔導師なら動かせるとは思うけど。
とは言え非常時への備えは大事なので、機体背面にバックパック型の大型魔力バッテリーを装着してある。取り外し可能。今まで溜め込んだ大量の魔石を【創造魔法】を使って合成して、それなりに高品質の魔石を作る事が出来たので、それを使って作ってみた。補助動力として使う事も出来るので、運用面では多少の融通が利く、と思う。
武装は大盾と斧槍。大盾にはパイルバンカーが付いていて、地面に打ち付ける事で固定する事もできる。当然敵に打ち込んで攻撃に転用も可能だ。浪漫武器、大事!
斧槍は、リーチや汎用性を重視して選択した。剣とかよりもそれっぽいかなーって言うのと、あとは割と趣味。先端部をドリルにしようか迷ったのはここだけの話。
とは言えドリルも浪漫なので、別途ドリルランスなんてのも作ってあったりする。武装の換装は【ストレージ】使って一瞬で終わるので、暇な時に他の武器を色々作ってみても面白いかも知れないね。
機体素材は、搭乗部であり操縦席でもある胴体部は総ミスリル製。防御重視である。重要なのはシェルターとしても機能することであって、戦闘力はおまけでしかないのだ。
同様の理由により、手足は魔鋼製だったりする。破損や故障も多いだろうから、ある程度は消耗品という前提で換装しやすい様に、との理由も有る。尚、手足の換装も【ストレージ】を使う事で一瞬で終わる。【ストレージ】マジチート。
ちなみに分類はちゃんと『鎧』らしい。お陰で色々付与するとちゃんと恩恵が得られる。しかも当然ながら私自身の魔法も普通に行使可能なので、魔法を併用すれば単騎で面制圧だって出来そうな気がする。ヤバイ。
なお、移動音に関しては風系の付与で消音が可能だったので、がっしょんがっしょんと目立つ音を立てながら移動する、等と言う事は無い。
付与で色々出来るっぽいし、組み合わせ次第では色々面白いことも出来そうなので、この辺りも要研究、と。ほら、光学迷彩とか……
とは言え欠点が無い訳ではなく、全力で戦闘機動を行なった場合、バッテリーも含めて5分程で全MPを使い果たして魔力切れ状態に陥る。ぶっちゃけ、気絶する。
うん、魔導甲冑の運用は慎重に行なわないと駄目だね……ちなみにバッテリー併用の省エネエコ運用だと5時間位は余裕っぽいみたいだったけど、基本的には私のシェルターとしての運用が基本になりそう?
一応私専用の鎧が完成した、という事でリリーさん達にお披露目した所、いつもの如くリリーさんは虚ろな目になってしまった。解せぬ。
逆にアリサさんは大喜び。私の守りが磐石になれば攻撃に集中出来るという事らしく、立ち回りの最中にあまり頭を使わないで済む、と言う理由らしい。いや、ちゃんと頭使おうよ……
で、アリサさんやノルン達相手に戦闘試験してみたんだけど、ここで思わぬ利点が判明。
なんと、魔導甲冑を使えば私にも近接戦闘が可能になることが分かったのだ!
そもそも、ゴーレムの遠隔操作はイメージが重要だったりするのだ。そして、現代日本のオタクの妄想力は無限大なのだ。ロボットアニメも見てるしね!
そう言った諸々の理由により、魔導甲冑使用時の私の近接戦闘力はなんとアリサさんやノルンと比肩するレベルだったりするのである。魔法や【操剣魔法】を併用すれば文字通りに圧倒出来そうな予感すらする。
翌日は全員で軽い連携確認。魔導甲冑に乗った上でノルンの護衛付きなので私の守りは万全だ。前衛チームがピンチの時はノルンにヘルプに行ってもらう事も出来るので、安定性が一気に跳ね上がった。リリーさんはやることが無いと嘆いているけど、私の方がもっとやることが無いのでそこは我慢して頂く。
と、そんなこんなで一通り準備が完了したので次の日にはここから出発する事になった。
しかし、うーん、結局魔導甲冑の作成に時間使いすぎて、3日しか日課に使わなかったなあ……いや、別に日課中毒って訳でもないから何も問題は無いんだけど。
日課は嫌いじゃない、寧ろ趣味と言っても良い。でも物作りするのも料理するのも美味しいご飯食べるのも趣味だ。あと寝る事も好き。
つまり、その何れかをやってればストレス発散になるのだ。それは即ち好きなようにやりたい事やってるだけと言う事である。なんと言うストレスフリー! 素晴らしい!
気を取り直して翌日、朝早くに家を出ようとしたところで、なにやら武装した集団が近づいてくるのが見えた。
なにか厄介事か!? と構えていた所、どうやらその集団は騎士が率いた衛兵の部隊だった
何でこんな所に騎士? と首を捻っていた所、原因は私の作った家。
うん、この森、一応国有だったらしい。それを私が勝手に切り開いて広場を作り、更に家まで建てて勝手に住み着いた訳で、そんな事をすれば当然ながら問題にならない訳がなかったのだ。まずい、早速やらかした!
これは捕まっちゃったりするのかしらん? と恐々としていた所、別に捕まえに来たという訳ではなく、条件付で見逃してもいいという示談のお話だった。
そもそも野営地の開発や維持管理は国の事業だったりするんだけど、何をするにもお金が掛かる。インフラ整備にお金を使うのは経済を回す意味でも大切なんだけど、それはそれとしても開発計画とか開発規模とか、決める事が多くて中々手が回らない、とかなんとか。
そんな事情のお陰か、今回は私の建てた家をそのまま国の管理にする事と、追加でもう2軒同じ家を建てる事を条件に、見逃してもらえるらしい。助かった?
一応騎士様に家の中を見てもらったところ、風呂まで有ることに驚いていた。ちなみに排水溝は森の方まで引っ張ってあって、垂れ流し。ただ、使いやすさも考えて追加で台所に井戸を掘ってあげた所、大喜びだった。井戸に設置するポンプはあとで国側で用意するらしい。
また、私は馬車を寄せて停めて使っていたけど、屋根が無い馬車が使う場合の事も考えて馬車を停めていた辺りに屋根を増設。
そして追加で建てる2軒も同じ間取りで作成。
色々とサービスした所騎士様は大層な喜びようで、なんと別途報酬を頂ける事になった。冒険者ギルドに話を通して、公営事業の依頼をこなした扱いにしてくれるらしい。報酬はギルドカードに振り込んでおいてもらえるそうなので、王都まで受け取りに戻る必要も無い。良い事尽くめだ。
なにか裏でもあるのかとも思ったけど、やってきた騎士様は人がよさそうな顔つきの、薄幸そうな雰囲気の人だったので、そんなに警戒する必要は無い気もする。なんかだかブツブツと上司の無茶振りで困ってるような事呟いてたし。
うん、この話は受けても問題なさそうかな?
街道から森の中の広場までは馬車が1台通れる程度の横幅の道しか作ってなかったので、2台通れる程度に拡張工事をして作業は終了。
後で街道沿いの方の元々の野営地を拡張してこちらまで繋げる工事を行なう予定らしい。何でもこの森、魔物の強さ的には中堅どころの訓練等で使うのに丁度良いとかで、地味に野営地の使用率が高いらしい。なので、私が作った宿泊設備があると、それこそクラン所属の中堅や駆け出しのメンバーの強化合宿に使えるようになるのでありがたいのだとか……
そうだったのか……2週間近く滞在してたけど、特に他の冒険者に会う事も無かったから気付かなかったわ。そんな事をリリーさんに言った所、リリーさん達は森の中で何度も出くわしていたらしい。
ご飯の時にそんな事言ってなかったじゃん、ちゃんと情報共有しようよ……
と、しっかり情報共有していなかったと言う問題点も出てきたので、今後は色々しっかりと話し合いをする事にしよう、といった新しい方針も決定。
そういった諸々が終わる頃にはもう昼を過ぎていて、仕方なくもう一晩ここに泊まって出発は次の日にずらす事になったのだった。予定は未定とは言うけど……まあ別に急ぎの旅じゃないからいいんだけどね?







































