■ 役立つ社員?
※ 連載小説となっていますが「嘘と真実」は一話ごとに完結しています。
本編では物語が進行し、後書きで真実が暴かれます。
どうぞ最後までご一読いただき、お楽しみください。
「高橋くん、また来月2日から違う企業
に社外勤務いってほしいんだが、
どうかね?」
「オレすか? 了解っす」
「う、うん。
S社で開発するシステムで、
ずいぶん難しいプロジェクトに
なりそうなんだ。
高橋くんなら力になると思ってね」
「うぃーす、任せてください」
「き、期待してるよ、高橋くん!」
「ところで残業代は支給されるんすか?」
「え……いや、それはちょっと。
まだ未確認なもので」
「オレ、もうイヤっすよ。
残業代出ない会社なんて」
「は、はは。そうか」
「まえ外勤ったY社とか超最悪なんすよ。
一銭も残業代出さないで、
ひどくないすか?」
「ま、まあ……そういう企業も
中にはあるようだね」
「二度とあそこには行きたくないっすね」
「わ、わかったよ。
S社に残業代の件も確認しておくから」
「あざーす、お願いしまっす!」
高橋は部長室から席を外す。
デスクに戻る。
「おお、高橋!
また来月から外勤だって? 頑張れよ!」
「うぃーす」
「あら、高橋くん。また外勤なの?
すごいわね。
能力がみとめられている証拠ね!」
「いや、そんなことないっすよ」
「このままいけば
すぐに昇格できるかもしれないわね!」
「あざーす!」
高橋は、会社のエースだった。
「今日高橋くんは?」
「高橋? 外勤だよ」
「え、また?」
「仕事できても常識がないとね、
厄介払いですよ」
「怖いね」
「俺にはなんで高橋があんなに
仕事できるかが謎だよ」