■ 夢 それとも 現実
※ 連載小説となっていますが「嘘と真実」は一話ごとに完結しています。
本編では物語が進行し、後書きで真実が暴かれます。
どうぞ最後までご一読いただき、お楽しみください。
「きみ、本当にこの世が
現実の世界だとでも思ってるの?」
「どういう意味ですか?」
「では死んだらそこできみの人生は
おわり?」
俺の質問に質問で返してきやがった。
なんだこのへんなおっさん。
葉巻吸ってイギリス帽みたいなの被って、
探偵きどりか?
「まあ、そうなんじゃないですか。
死んだらどこいくとか知らないし」
「かわいそうな坊やだ。
全て最後には壊れ行くこの世が
本当の世界だと思って生きているなんて」
「何が言いたいんですか?」
「きみは今、夢をみているんだよ。
この世界で生きることは幻、ただの夢さ」
「はい?」
「だってそうだろう?
壊れてしまうものを
いくら本物だと思い込んで保とうと
したってしょせん無理」
危ない、危ないよこのおっさん!
ヤクとかやってるだろ絶対。
早く離れたい!!
「きみが生きている世界はただの
幻なんだよ。
死んだあとが、本当の人生の
スタートだと忘れてはいけない」
「あの、ぼくそろそろ行くんで!」
「ちょっと、きみ!!」
――ガシッ
おっさんが俺の肩をつかんでくる。
ひい! 助けて!!
「あれ……夢見てたのか?
なんだ、やっぱりあのおっさんは
夢だったのか。
変なのみて気分悪いな、朝から。
でも、俺は今こうして呼吸しているのに
これが本当は幻なのか……」