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イカシコロス  作者: 小雨
第一章 逸脱した彼の話
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新人研修 1

登場人物紹介

平次…主人公。高校生。現在研修中。

奈月…平次の研修に付き添い中。

黒…平次の研修を実施中。

「一つずつ知っていこうか。最初はコロスモノについてかな。まずは敵を知らないことには、ね。あ、質問は随時受け付けるよー」

黒が黒板に大きく『コロスモノ』と書いた。

字面の印象から、あまりよくないものだろうなぁとの想像は容易にすることができる。

「コロスモノは、殺意の塊だ。生命を奪う事を生きがいとし、それ以外のことには価値を見出すことはない。へーじ君が一昨日遭遇したあれだね」

思い出す。自分に向けられた、圧倒的且つ理不尽な殺意。迫り来る死の恐怖。

「彼らも元は人間なんだけどね、何かのきっかけで変異するんだ。より強力な、生命を奪うに特化した存在へ。そして一度変異してしまった者は、もう後戻りはできない。圧倒的な憎しみに囚われ、それが生命を奪う原動力となる。殺す事だけを考える存在なんて、生物として終わっていると思わないかい?…まぁそれはいいや。彼らの身体的特徴として、眼球の紅化だ。へーじ君もこの前見たよね?」

思い出す。僕を見下ろす、真っ赤な視線。

プレッシャーだけで押しつぶされてしまいそうなほどだった。

「やつらがその力を発現させている時、その目は真紅に染まるんだ」

黒はインデントを下げ、『赤眼』と書いた。

「さあ次だ。コロスモノの特徴その二。やつらは徒党を組まない」

赤眼と書かれた下に、単独行動と書き込む。

「やつらは集団で行動しないんだ。基本的にやつらは命を奪うことしか考えていないバーサーカーだ。これは私たちにとって非常に都合がよろしい」

なるほど。より本能に忠実に行動しているというイメージだろうか。

「最も、中にはそうでもない奴もいる。奴らの中には、自我を持つ者も存在するんだ。数は少ないがね。我々は、そんな奴らを『セカンド』と呼んでいる。どういうことかわかるかな?」

「より高レベルな力を持っているということですか?」

「ご名答だね。コロスモノに変異する前と同程度の判断能力に加えて、各個体毎に特殊な能力を身につけているケースが非常に多い。多少歯切れの悪い言い方になってしまうのは、幸いなことにセカンド以上のコロスモノはそれほど個体数が多いわけではないからなんだ。分析するに十分なサンプルが足りないのさ」

「セカンド以上の…ということは、さらに上の存在がいるということですか?」

「中々鋭いね、その通りだよ。コロスモノには、三人の王がいる」

「王?」

「厳密に言えば、二人かな。別に下位のコロスモノを束ねているというわけではない。やつら好き勝手に行動してる…ように見える。王の目的はよくわかっていないんだ…。厳密には二人、と言ったのは、かつて王の一人と大規模な衝突があったんだ。こちらもかなりの犠牲を払ってしまったが、なんとかぶち殺す事に成功した」

黒が言葉を切った。見ると、遠い目をしている。しばしの沈黙があったが、すぐに口を開いた。

「…まぁそういう感じかな。という事で、我々の目的はただ一つ。コロスモノの殲滅だ。これだけ強力な力を持っているコロスモノをどうやって倒すかなんだけど、それは休憩を挟んで次の時間にしようか」


授業の終わりを告げるチャイムが鳴った。

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