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TREASON PRINCESS  作者: KUROKO A
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第七章 揺るがない思い  憤怒の渦


あの人は、気高く、美しく、そして強かった事を覚えている。


常に、先陣を切り戦場を駆け巡り、携えた巨剣はあの人を神々しく見せた。


憧れと誇り。


キリアにとって、最も尊敬した人だった。




激しく乱れた呼吸。


肩から下が、鉛のように重い。


片膝が地面に落ち、視界が暗い。


全身が麻痺したかのように感覚がない。


柄を握り締める掌は、真紅に染まり、生温かい滴が零れる。


「さすがに、そんな超重量の剣を振るい続けたら……」


言葉を遮るように、剣を薙ぐ。


疲弊しきった体に鞭打ち、再び剣を構えた。


「あのとき、あの騎士団長は一人で複数の敵と戦っていたよ」


ハイネも、さすがに疲労の色は隠せない。


しかし、肩で息をしながらもまだ余裕がある。


「確かに、今の君と同じような印象だった」


降り注ぐ雨のように、間隙のない剣閃が襲い掛かる。


それを、剣の腹で凌ぐのが精一杯だ。


「悔やまれるよ。あの時の僕がもう少し年齢を重ねていたら、もっとちゃんと殺していたのに」


唇の端から血が滲み出るほどかみ締めながら、吐き捨てた。


「ハイネ。お前がマリッサを……姉上を殺したのだろうが!」


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