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第五章 揺らぐ王国 新たな王女
しかし、セロンをはじめとする元老議員達も素直に受け入れられた訳ではない。
いかに、陛下の御子としても。
陛下が、戯れに手をつけた素性も分からぬ村娘が産み落とした子。
直系といえども非嫡出子に過ぎない。
どのように国民に説明するのか。
そして、諸外国に国王を認めさせるか。
深夜に至るまで議論は続けられた。
だが、その思いはその姿を目にした瞬間に消し飛ぶ事となる。
「エディーネ……様……」
フードの奥から出てきたその顔。
あまりの驚きに言葉を失った。
黒々とした髪こそ違えども、そこには幼き日のエディーネの面影を感じざるをえない。
「そうです。この御顔はエディーネ様と瓜二つ。つまり王座の正統なる継承者である何よりの証拠となりましょう」
ホーキンは、晴れやかな表情で元老議員たちを見渡した。