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第五章 揺らぐ王国 混乱の序章
深い沈黙が部屋の中を支配していた。
「これは、リリアから届いた書状なのだが……」
内容を確認してキリアは言葉を失った。
「なぜ、このような事に?」
困惑の色を隠せない。
「これでは国として機能していない」
そこには、内政の混乱がまざまざと書き記してあった。
異常ともいえる税の上昇。
抑止力の無くなった貴族たちの領民に対する横暴。
それらに対して、なんら有効な対策を打つ事のできない王宮への不満。
数え上げたらきりが無い。
もはや、大陸にその名が轟く王国セフィーリアも砂上の楼閣と成り果てていた。
どれほど、セフィーリアの国民たちが憤怒しているかが容易に想像できる。
このまま、何の手も打たずに放置しておけば最悪の事態に陥りかねない。
「このままでは、セフィーリア王国は内乱を起こしてしまうぞ」