表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
TREASON PRINCESS  作者: KUROKO A
33/92

第二章 二つの真実  もう一つの真実


当時の宰相は、一族ともども捕まり処刑されたと聞く。


確か、そのときの宰相の名前はソシル……ディオン。


「そう、あの時の汚職の汚名を着せられて処刑されたのは俺の父だ。父は、国民のためにあらゆる改革を断行した。税金の減額や、貿易行路の整備。数え上げればきりがない。しかし、そんな父の改革を快く思わない一部の反対派が領収書を偽造し、あろう事か一国の宰相を排斥したんだ」


キリアの瞳には赤々と燃え上がるような怒りの炎が灯る。


「すまない」


燃え上がる感情を抑えるように、少し呼吸を落ち着けて話を続ける。


「父に横領など出来るはずもない。私財を投げ打ってでも、国民のために改革を進めていく人だったから」


思い起こせば、そのために幼い頃は食事も切り詰めた倹約の生活を送っていた。


贅沢など経験したこともなく、服は全て五つ上の兄のお下がりばかり着ていた。


「キリア殿は、今でもレガリオンに対して復讐したいと願っているのですか?」


不安そうにエディーネが訊ねる。


キリアは静かに首を振った。


「もう、十年以上も前の話だ。今は、国王も変わり王国の財政も傾き始めている。王国が手を出さない限り、俺は傭兵として生きていく」


そこには、過去との決別を誓った精悍な男の顔があった。


「それに、俺には貴女との契約がある……もう、俺と同じ思いは誰にもさせない」


「……」


思わず、その表情に見とれる。顔が熱く鼓動が高鳴る。


胸が締め付けられる思い。


キリアの顔が直視できない自分に気付く。


そんなエディーネをよそに、キリアは突然に席を立った。


「古い話をしたせいか、気分が高鳴って眠れそうもない。少し、夜風に当たってくる」


優しい笑顔を残して、二人に背を向けて屋外へと姿を消した。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ