第二章 二つの真実 話の集い場
「はっきりとは言い切れないけど、多くの職業傭兵や賞金稼ぎが探し回っているはずよ。当然よね。賞金金額が途方も無いぐらい掛かっているもの。それに、セフィーリアからも幾つかの犬を放っているわ。ギルドにも契約の話が来ているみたい」
真剣な眼差し。
そこには、真実のみを伝えて下手な期待感を感じさせないよう配慮が見られる。
命を掛けた戦いにおいて、間違った情報に安堵したときほど危険なときはない。
「これから、とても辛い道程になるでしょう。もしかしたら進み行く先に終わりはないのかもしれない。このまま、貴方はこの子とともに逃げ回る日々を続けなければならない。でも、いつまでも貴方一人で護りきれるものじゃない……」
厳しいが、キリア自身もその事は考えていた。
この人が、いくら無罪を訴え続けても王国はそれを認めないだろう。
だからと言って、エディーネを守り抜くにも限界がある。
「しかし、なぜ王国は彼女の命をそこまで狙う? 不敬罪とはいえ、王国から離れて王女という地位も奪い取っておいて」
もはや、王国にとってなんの脅威にも感じないはずのエディーネをさらに刺客まで送り込む理由が分からなかった。
「なにか、知ってはならない事を知ってしまったから……」
深い沈黙が、室内に広がった。