第二章 二つの真実 ローレンス神殿
「なっ! それだけの理由でエディーネさまを疑うのか?」
「以外には、誰も毒物を持ち込むことは不可能なのです」
「毒?」
今の今まで、国王は原因不明の病で療養されていたはずだった。
「極秘裏に調べていた我々は、陛下のご容態は病ではなく、徐々に体力を奪い去る毒物だということを解析しています。そして、その毒物を室内に持ち込めたのは現在王女以外にはありえません」
その口調は、曲げることの出来ない証拠を掴んでいるような雰囲気がある。
「ふざけるな! 女王は、誰よりもユーリ陛下のことを気に掛けていらっしゃった。そのような行いをするはずがあるまい」
息を切らせながら抗議する侯爵。
「どうやら、このまま話し続けても平行線のままのようです。この者たちを拘束しろ!」
その後、聖堂内はその神聖な場にも関わらず、悲鳴と怒号が飛び交う地獄の様な光景へと姿を変えた。
「エディーネ王女を捕らえろ!」
素早い動きで、取り囲もうとする近衛騎士たち。
「女王陛下をお守りしろ」
激しい争いは、列席者の中に多くの怪我人を生み出し、多くの者がその場で捕えられた。
しかし、捕らえられた者たちの中にエディーネの姿は無い。
元老院議員の者たちが身を挺してエディーネを大聖堂から脱出させたのだ。
その後、放浪中に耳にした噂で、元老院の者たちの多くが捕らえられ投獄されたと聞く。