第二章 二つの真実 二人の戦士
「どういうつもりだって? 何を言っているの」
わざと、少し呆れたような表情を浮かべる。
「ギルド本部以外で戦士同士が出会う事象は二つに一つ。一つは、同じ契約者のもとで共闘すること。もう一つは……」
希薄な笑みを浮かべながら、ハイネは素早い動きでキリアとの間合いを破った。
激しく剣がぶつかり合う音が響く。
「異なる契約者のもとで、互いが利害関係にあるときしかないじゃないか」
歯を食い縛りながら、巨剣で防ぐキリアの表情は険しい。
「さすが! ギルドで唯一、このボクが尊敬するだけのことはある」
ニヤリと笑みを浮かべると、キリアと間合いを取るように後方へと跳んだ。
「今日はただの挨拶だよキリア君。それに、ボクの標的はそちらのお姫さまなんだから」
相変わらず、不敵な笑みを浮かべた顔で女性をみる。
鞘に剣を収めると、恭しく頭を下げた。
「お初にお目に掛かりますよ。セフィーリア王国、元王女エディーネさま!」
どこか、馬鹿にしたような口調で女性を嘲笑する。
対して、キリアは僅かに驚きの表情を表したが言葉にはしない。
しかし、その僅かの表情の変化を見逃さないのは、流れる空気や相手の気配を読むことに優れた戦士だからだろう。
「おや、キリア君は知らなかったのかい? まあ、最近ようやく契約を完了して帰ってきたことだし、知らなくても仕方が無いね」
面白そうに話し出すハイネ。