表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
TREASON PRINCESS  作者: KUROKO A
15/92

第二章 二つの真実  二人の戦士


焚き火の炎が闇夜に踊る。


ウルグナの森に入って二日目。


彼女と行動をともにして、一週間の時が流れた。


相変わらず、人目を避けるように地元の人間からも忘れ去られたような古びた街道を進む。


何か目的があるわけでもない。


ただ、同じ場所に長くいると、刺客に襲われる可能性が高くなるからだ。


そのために、彼女は動き回っている。


ローブを纏い、表情を読み取れないほど大きなフードを被り、見た目には聖地を巡回する巡礼者のように見える。


「貴女は、長い間このような生活をしているのか?」


静かに燃える炎の中に、灌木を投げ入れながら向かい側の女性に問いかける。


「……もう、一年になります」


両膝を胸に抱え、頬を埋めながら炎を見つめる。


揺らめく炎に照らし出された、美しい顔に表情は無い。


「辛かったのは、最初の二、三日だけ。あとは、いつ襲い掛かってくるとも知れない追っ手から逃れるために、必死でしたから」


ゆっくりと顔を上げて、満天の星空を見上げて呟く。


不意に、笑みがこぼれる。


「それにしても、キリア殿は酔狂な人ですね」


再び、視線は炎に注がれる。


「私のような者と、行動をともにしても何も得なことなど無いのに」


どこか、しんみりとした口調だった。


そこには、孤立無援のなかで奮闘してきた自分にはじめて出来た協力者に対する感謝の言葉が隠れていた。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ