決別の帰り道
最寄り駅からの帰り道、秋と冬の交差点のような風に吹かれて足下の素っ気ないアスファルトに目を落とした。
これでよかったのだ、そう繰り返し自分に言い聞かせる。
言い聞かせなければ、このどうしょうもない孤独感に任せて、取り返しのつかない道を進みそうだった。
このまま何食わぬ顔をして自宅に辿り着き、誰もいない部屋で泣こう。
明日は何も予定のない休日だから、人目を憚らず泣いて、泣いて、泣き疲れて眠りについてもなんの問題もない。
頭ではそれが最善だと分かっているし、生まれてこの方情に流された行動などしたことのない自分にはそれしか出来ないだろう。
そんな自分を今までは誇りに思っていた、いや、今でも誇りに思っている。ただ、少し腹立たしくもある。
自分への苛立ちと反抗心が自宅の少し前、小さな川に架かる橋の途中で歩みを止めさせた。
このまま引き返して、そして⸺⸺。
そんな衝動ともなんとも言えない感情のまま、俯いていた顔を上げた。
引き返そう、と踵を返す途中で視界に入ってきた小さな光に身体の動きが止まる。
水面に映るは頼りなく揺れる満月。
そのまま目線を上に移せば、澄んだ空気の中、凛と藍色の夜空に君臨する月。
しっかり、しなければ。
そう、他でもない自分が決めたことなのだから、最後まで貫くのだ。
再び自宅に向けて、歩き始める。
足下のアスファルトの柔らかな月明かりに励まされながら、先程より心持ち足取りは軽くなった気がした。
未練を断ち切るような、冷たい風が吹き抜けた。
どうも!はじめまして!
秋から冬への季節の変わり目に感じる、なんとも言えない寂寥感を表現したくて、失恋ソングらしきものをリピートして浮かび上がってきた心象風景を文字にしてみました。
元となる楽曲が分かったら教えてください。
自分でもあの曲からこの文章がアウトプットされるのが不思議な心持ちです。
二次創作含め、こうして小説の形として仕上げるのが本当に久しぶりで勝手がよく分かっていないので何か不手際等ありましたら教えていただけると助かります。
ここまで読んでくださりありがとうございました。
また機会がありましたら、よろしくお願いします。