表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

拝啓リリアベル様。シャーロット様は今日もお元気です。

作者: 黒羽曜

「シャーロット様。ベルモンド様が応接間にいらっしゃるようにとの事です。」


「例の件かしら?」


「そのようです。」


シャーロット様、幼少期より美少女と言われたお顔が残念な事になっておりますよ。





「お父様、お呼びと伺いましたが」


「あぁ!シャーロット!紹介するね!

新しい母のイヴリンと妹のローラだよ!」

とても嬉しそうな父に若干イラっとする。



・・・・・・母が亡くなってまだ1ヶ月しか経っていないというのに、父は何を考えているのかしら?

いや、この父だから何も考えてはいないわね。




「お父様。もしかしてもう籍はお入れになったのかしら?」


「そうだよ!新しい家族が増えたんだよ!素敵だろう?」



ニコニコと話す父に、家令のグレイや侍女長のメラニーがものすごく冷めた目で見てることに気づかないのかしら?




父の横にいる2人のことは以前から把握している。

街でたまたま知り合ったというイヴリンに惚れ込み、父はあっという間に囲い込んだらしい。

そして母に隠れるように過ごしていくうちにローラが誕生したわけだが、私と年齢が同じだというからタチが悪い。




母には気づかれていないとでも思っていたのだろうか?

母は非常に儚げな雰囲気の人で、夫の不貞を知ったら倒れてしまうのでは?という見た目の人だった。

実際は「公爵家の害にならないのであれば特に気にしないわ」と放置していたのだけど。



3人とも目をキラキラさせて今後の生活を夢見ているようだけど、少し現実に戻っていただきましょう。




「お父様。入籍されたとの事。おめでとうございます。」


「ありが「入籍されたとの事ですので、今、これより、貴方は平民となり公爵家とは何ら関わりがなくなりました。今日限りでこの家から去っていただきます。」


「なっ!!!何を言うんだ!平民だなんて!!!

それに去れだなんて!!!」


「そうよ!お父様は公爵なのよ!何で結婚したからって平民になるのよ!!!」



あら。可愛いお顔が台無しね。

母親の方もこれでもかっていうほど睨んでいるけど、勘違いは正してあげないと。



「何か勘違いをされているようですが、わたくしがフローレス公爵です。父は公爵ではなく、公爵代理です。

また、父は入婿の為、再婚した時点で公爵家からは籍が抜けるのです。公爵代理として任命された時にもその説明はありましたよ」



と《訳がわからないわぁ〜?》と口元に指をあて純真無垢な感じで首をコテッと傾げれば

ヒュッ ・・・・・と息を呑む父




思い出したかしら?

あらあら、3人とも急に静かになって顔色が真っ青よ。



「でっ!でも!わたしがいなければシャーロットは大変だろう!?」


「いえ、別に?特に困る事は何もありませんわね」


「・・・は?いや、そんな」


「ふふっ でも急に再婚したから去れだなんて言われても困りますわよね。」


「そっ そうだよ。シャーロット。私は父親だよ?そんな急に追い出すような事」


「安心してくださいませ、お父様。お父様のご実家であるシュナイダー侯爵家が今後の事は引き受けてくださるそうですよ」


「・・・兄上が?」


「そうです。優しいお兄様がいらして良かったですわね」

と、にっこり微笑めば父は微妙な顔をする。


失礼ね。せっかく道を繋いであげているのに。




「それではこの方達をシュナイダー侯爵家までお連れしてあげて」




何もできず呆然としただ立ちすくんでいるだけの父の前に立つ。


「『お父様』とお呼びするのはこれが最後ですわ。どうか、新しい奥様とお嬢様と楽しくお過ごしくださいね」



それはそれはとても清々しい笑顔だったと、後に家令と侍女長から褒め称えられた。






「お疲れ様でした。シャーロット様」


「やっと無能な父を追い出せたわ。グレイとメラニーにも苦労をかけたわね」


「それほどでもございませんでしたよ」


グレイったら無能だというのは否定しないのね。


「それにしても本当におめでたい頭をしていたのね。お母様が前もって公爵代理になる際の取り決めを契約書にしてくださってて良かったわ。」


「リリアベル様はお顔だけで伴侶を選ばれましたからね。『公爵としての仕事は大変な事が多いから、癒しが欲しいのよ!!!』と豪語しておられましたから。それ以外上手くあしらわれておりましたよ」


お母様ったら、それはそれでどうなのかしら?


「メラニー、疲れたからお茶にしたいわ。

そうね。たまには3人で一緒にお茶をしましょう。」


「ではすぐに準備を致しましょう」

そう言って部屋を出るメラニーを見ながら、先程のことを思い出す。


どちらにしろ父達の事は、伯父である侯爵にお願いしてあるから問題はない。


無意識に伯父にマウントを取っていた父がどうなるかなんて、どうなろうとも・・・



あら?とても楽しそうね。

父との仲はあまり良くはなかったけれど、わたくしの事はとても可愛がってくださっていたもの。

ふふ、お手紙よりも久しぶりにお会いしに行こうかしら。






シャーロット様がとても良いお顔をされておられますな。

リリアベル様、シャーロット様は今日もお元気ですよ。

*執事長から家令へと一部言葉を変更しております。

申し訳ありません。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ