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6 クラッシャー

 奇っ怪な叫び声? と共に侍女と見られるお仕着せを着た女性と共に現れたのは、ピンクの色味の強いダークブロンドをツインテールにしてクルクルとソフトクリームのように縦ロールに巻いた、ピーチピンクのプリンセスドレスを着た女性。


 隣国の末王女、フロイライン嬢である。


 大きな二重はタレ目気味で睫毛がクルンとカールしている為更に大きく見える。

 瞳はアクアマリンの様に薄いブルーをしていてキラキラしており、オフィーリアに完敗はしない程度にはまあまあそこそこの美少女ではある――が。如何せん服装の趣味が乙女チック過ぎるため頭が弱そう・・・ゲフンゲフン、子供っぽく見えるのが玉に(キズ)である・・・タブン。


 今日もイメージカラー? のピーチピンクのドレスにぎょっとする・・・ゴホン、個性的な七色のパッションカラーのネックレスを付け、指には有閑マダムもおったまげるような大きさの宝石がついたファッションリングを装着している。


 勿論おしゃれの基本なのでネックレスとお揃いの七色である・・・


 誰がコーディネートしたのか怖いもの見たさ・・・いやいや、聞きたさがムクムクと頭の片隅に芽生えるが、それを極力無視するオフィーリアとアンドリュー王子の二人。


 すこ〜しだけ離れた所に控えている侍女や警備の近衛騎士も一瞬だけ目が泳いだので、多分皆が気にはなっているのだろう。


 その後真面目くさった顔に戻った護衛達が闖入者である七色に彩られたピーチピンクの塊と、中庭でデート中の婚約者達との間にズイッと入ってきた。



「恐れ入ります王女殿下。この本宮の中庭は王妃様の許可のない方の入場は制限されております」



 職務に忠実な騎士は眉根を寄せるのをぐっと堪えて笑顔で対応した模様である。



「あらぁ、ワタクシ知らなかったのですわぁ〜 ごめんなさぁいませぇ」



 妙にシナを作り二の腕で胸の膨らみを強調して目をパチパチさせているのを見て若干ドン引きになりそうな近衛に同情する二人。



 彼女を追いかけて早足でやって来たであろう隣国の侍女が頭をペコペコと下げている辺り、多分王女の自分勝手な暴走なのだろう。


 アンドリューとオフィーリアは思わず溜息を吐いた。



「王女殿下。この中庭はこの国の王妃の許可が無ければ何人たりとも入ってはいけない場所です。お引取りを」



 アンドリュー王子がそう説明すると、



「知らなかったのですぅ」



 と大きな目にウルウルと涙をためて両手を胸の前で組み合わせる。



「離宮にお連れしろ」



 バラ園の入口付近に現れた侍従にそう指示するとくるりと背を向けてガラス張りの温室に向けてオフィーリアをエスコートする為に左肘を差し出すアンドリュー王子と、ソレに従うように右手を載せて微笑みを返すオフィーリア。



「せっかくの薔薇が枯れてしまいそうだよ」



 思わず呟いた彼の言葉にオフィーリアは笑うのを堪えるのに苦労した。



 後ろで王女が何かを喚いていたような気がするが、世の恋人同士に特許付きスルー機能が常備されているのは全国共通なので彼らにはその声は聞こえなかった。




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