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ネコジャRUSH!   作者: ジョン・道
第一章 転移と出会い〜フェリダエ武獣研鑽会まで
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第九集 エノの疑問


 サル達は謝罪の品を持ってまた来ると言い、エープに帰っていった。

 サル達が帰ると元々広い道場が一段と広く感じた。

 タマと二人、道場の隅で何となくゴロゴロしているとリバがやって来た。


「ところで、お前らダレ?

 ネコは分かるけど、もう一人は何だ?

 全身隠れるような服着て熱くねーのかよ?」


 相変わらずの女神の容姿と乱暴な言葉のギャップに萌……違う違う! 頭が混乱する。

 タマが答えようとすると、フーがやって来て代わりに答えてくれた。


「彼らは猫爪拳のタマ殿と、ヒトという種族のエノ殿。

 ここに向かう途中で偶然出合った勇士です。

 先の闘いでタマ殿は、黒猩拳のジーショウなる者を破ったのですよ」

 

 フーの説明を聞いて、リバがその大きな目を丸くした。


「へぇー!

 ちっこいのにやるじゃん!」

 助けてくれてありがとな、タマ! エノ!」


 サル達への対応でも思ったが、リバは何て清々しいチーターなんだろう。

 タマが恐縮して答える。


「とんでもないですニャ。

 神速のリバ様に褒められて光栄ニャ!」

 

 色々あって忘れていたが、リバも豹猟拳の主で有名な武獣家だった。

 本来なら、僕なんかが簡単に口を聞けるような相手じゃないかもしれない。

 フーもだけど。


「そんな堅くなるなよ〜。

 同じ武獣家だろ?

 気楽にやろうぜ」


 想像通りの返事に何だか凄い安心した。

 本当に気さくで素敵だ。

 リバがタマに掌を向ける。


「ありがたいニャ」 


 タマはそう言って、リバの肉球に自分の肉球を合わせた。

 かわいい挨拶だ。


「さっき、フーと偶然会ったって言ってたけど、タマ達はこの辺で何してたんだ?

 猫爪拳の道場ってよく知らねーけど、この辺じゃねーだろ?」


「修行の旅の途中だったニャ。

 エノともその途中で会ったニャ」


 タマが答えると、リバは尻尾を振って嬉しそうな顔をした。


「分かるよー!

 アタシも旅好きなんだ!

 他流派の道場にもよく行くんだ。

 今回も雷下咬拳って処に行ってて、それでいなかったのさ」


 そういえばルートがそんな事を言っていた気がする。


「面白い連中でさ、雷下咬拳って技がそのまま流派の名前になってるんだ。

 技もその一つしか使わないんだ。

 それを徹底的に磨くんだな」


「ほう。噂には聞いていたが、興味深いですね」


 フーが前のめりになって目を輝かせる。


「単純な技でさ、飛んで落ちて咬む。これだけ。

 でも、その落ちてくるのが速いのなんのって、ホントに雷並みなんだよ!

 神速なんて言われるアタシでもかわすのがやっとさ」


「リバさんがかわすのがやっとなんて、信じられないニャ!」


 タマも興奮気味に尻尾をパタパタと振っている。


「世の中広いって事だよなー。

 アタシももっといろんな流派の連中と闘いたいんだけど、道場の事もあるからね。

 あんまり遠出も出来ないのさ」


 道場主ともなれば、責任も重い。

 好き勝手ばかりやる訳にもいかないんだろう。


「リバは自由にやってる方だと思うが……」


「そうか〜?

 これでも我慢してるんだぞ」


 苦笑いするフーに、頬を膨らませて抗議するリバ。

 気心の知れた仲って感じだ。

 流派は違うけど、二人とも責任のある立場で共感するものがあるんだろう。

 リバの話を聞いていて、ふと疑問に思った事があったので聞いてみた。


「そういえば、何か各流派が集まってやる大会みたいなのって無いんですか?

 別に一番とか優勝とかを決めるものじゃなくても、一同に会しての技術交流会とか……」


 この世界に来て、タマを始めとする武獣家達に会って感じた事。

 それは名声とか名誉みたいなのに、全く執着が無い事だった。

 闘いに際しても勝ち負けより、闘いの中で自分がどう成長出来たかに意識が向いているという感じがした。

 だから負けても潔く、勝った方もあんな爽やかな感じでいられるんだろう。

 まだそんなに多くの武獣家に会った訳では無いけど、少なくてもタマやルート達、そして黒猩拳のサルもそうだった。


「……」


 タマ達を見ると、口をポカンと開けてその場に立ち尽くしていた。

 フーまでもそうしていて、いつも冷静で凛々しい姿ばかり見ていたのでとても新鮮だった。


「いま……」


「ニャン……」


「て……?」


 三人が息を合わせて聞いてきた。

 意外な反応に戸惑いながらも答える。


「い、いや……だから、色んな流派が一つの場所に集まって、皆で手合わせするみたいな機会って無いのかな〜?って……」

 

 そう言うと、三人は興奮して僕に詰め寄ってきた。

 とびっきりの美人に詰め寄られ(タマはどちらかといえばかわいい系)、思わず照れてしまう。

 多分顔は真っ赤になっているだろう。 


「エノ! 冴えてるニャ!

 いい考えニャ!」


「ホント! 

 いいよ、それ! 目から斑点が落ちたよ!」


 フーはすぐに落ち着きを取り戻し、腕組みをして唸っていた。


「うーむ……。

 それは思いつかなかったな。

 エノ殿は面白い事を考えつきますね」


 みんな褒めてくれたけど、別に突飛なアイデアって訳じゃないと思う。

 むしろ、何で今まで思いつかなかったのか不思議なくらいだ。


「フー、頼むよ!

 アンタが中心になってさ、何とか実現させてよ!

 もちろんアタシも協力するからさ」


 リバがガバっとフーに抱きついてお願いする。

 実に絵になる光景だ。


「うむ、これは忙しくなるな。

 虎皇拳の道場に戻って、アム様とも相談しなければ」


 フーは顎に手を当て、考え込む様な仕草をする。

 既に頭の中で計画を立て始めているみたいだった。

 すると不意に顔を上げてこちらを見た。


「エノ殿、色々と相談にも乗ってもらいたい。

 どうだろう?

 客人として虎皇拳まで来てはもらえないだろうか?

 タマ殿も是非一緒に」


 タマと顔を見合わせる。

 何か前にもあったなこんなの。

 そう思っているとタマがニコッと笑う。

 拳と掌を合わせ、今度は声を揃えて言った。

 

「喜んで!」


読んでいただきありがとうございます。


武獣の交流会は開催できるのでしょうか?


次話では意外な事実が判明します。


よろしくお願いします。

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