第八十二集 キラキラギュッギュッ! みんなで力を合わせるニャ!
「"アレ"をやるわよ!」
「"アレ"って、"アレ"ゴリか!?」
アムの言葉にゴウリが息を呑む。
「確かに"アレ"ならいけるかもしれない」
リオンもそう言って頷く。
三巨頭のそんな様子に、ライが痺れを切らして問いかけた。
「すみません……、"アレ"って一体何なのでしょうか?」
ライに問われたアムはニヤリとしながら答えた。
「その名も"キラキラギュッギュッ!
手と手を仲良し取り合い拳"よ!」
「キラキラギュッギュッー!!」
「仲良し取り合い拳ー!!」
余りにも奇抜なその名前に、空いた口が塞がらない僕ら。
ゴウリとリオンは呆れ顔でため息をついた。
「アム! この状況で何をふざけているゴリか!
"超獣絆結拳"ゴリ!」
「そうとも言うわね」
「そうとしか言わないわ」
リオンの冷静なツッコミが入るが、アムは腕を組んでどこ吹く風だった。
「リオン様、超獣絆結拳とは一体……?」
フーがリオンに問うと、リオンはゆっくりと頷いて口を開いた。
「皆で手を繋ぎ、隣の者に獣力を次々と送っていく。
そしてその獣力を、先頭の者が受け取り一気に放つ拳。
手を繋ぐ者が多ければ多い程その力は増す。
ただ隣り合った者同士、信頼関係が無ければ上手くいかないわ」
「さぁもう時間が無いゴリ!
とにかく先頭をアムにして、みんなで手を繋ぐゴリ!
順番は後で調整するゴリ!」
ゴウリの号令の下、みんなが手を繋いで一直線に並んだ。
並び方はフーやリオンが上手く調整してくれた。
僕は獣力というか、持っている力が一番少ないということでアムとは真逆、つまり始まりの位置となった。
正直、獣力を隣に送るなんてどうすれば良いのかわからなかった。
ただそこは、隣のウー大師が引き出してくれるらしいので、僕は大師と手を繋いでいればよいとの事だった。
「それじゃ、送って頂戴ませませー!」
アムの独特な掛け声が木霊する。
それを聞いて、ウー大師が僕に声をかけた。
「ではエノ君、行きますよ」
「お願いします」
大師の手を強く握ってそう言うと、体からフッと力が抜けて思わず膝をついてしまった。
ウー大師も隣のレサに獣力を渡したのか、僕に続いてガクッと膝をついた。
その流れが次々と続く。
レサからタマ、リュンピョウ、ワンフー、ハク、シュエ、ライ、リバ、フー、リオン、そしてアムへ。
受け取ったアムの体を、青白い気が燃えるように包んでいた。
「これは……、流石猛者たちの獣力ね。
信じられない力だわ。
これならいける!
ゴウリちゃん!!」
「ゴリ!!」
アムの呼びかけに、ゴウリが飛び上がる。
そして宙に浮く超獣玉を、両手でガシッと掴み着地した。
「行くゴリ! 準備はいいゴリか!」
「アム様……」
フーがフラフラとしながらアムの側へ歩み寄る。
フーに続いて、みんなもアムの下へと集まってきた。
「アムねーちゃん!」
「オネーサン!」
「アム様、死んではダメでごわす!」
アムはそれを見てニヤリと笑った。
「安心なさい。
アナタ達の獣力は思ったよりスゴかったわ。
これなら全てを使わなくても、超獣玉を爆発させられそう。
つまりアタシの身を守る力も残りそうって事よ」
「おお!」
みんなの顔に笑顔が戻る。
ただリオン一人だけは浮かない表情のままだった。
「アム……」
アムはそんなリオンに向かって、パチッとウインクをしてみせた。
「アムよ! いくゴリ!」
「おうよ!!」
ゴウリが超獣玉をその大きな掌に乗せて、グルグルと回り出す。
そしてそのままの勢いで、超獣玉を宙に向かって投げ飛ばした。
「ゴリゴリゴー!!」
超獣玉が一直線に空へと向かう。
巨大だったその姿も、一瞬で豆粒のような大きさとなってすぐにほとんど見えなくなった。
「うぉぉおぉー!!」
そして青白く輝くアムが、大地を揺るがす咆哮と共に、超獣玉を追いかけて宙へと飛び上がった。
「行くニャー! オネーサン!!」
みんなから歓声が上がる。
その中でただ一人リオンは、その大きな瞳から滝のように涙を流していた。
「リオン様?」
ライが問いかけると、リオンは涙を流したまま語り始めた。
「超獣玉を外部からの力で爆発させるのは膨大な力が必要。
さっきアムはああ言っていたけど、多分ギリギリだわ。
アムは初めから死ぬ気だった」
「そんニャ……」
「くっ! アム様……」
もはやほとんど姿の見えないアムを見上げ、みんなの目からも涙が流れた。
「!? いかんゴリ!」
僕らが無言で空を見上げる中、その静寂をゴウリの大声が破った。
「ゴウリさん、なにが?」
僕がそう言うと、珍しくゴウリが追い込まれた表情で口を開いた。
「マズいゴリ! 超獣玉からでかい角が生えてアムを狙っているゴリ!
皆の獣力をぶち込む前に、あの角を撃たれたらおしまいゴリ!
アムにはあれを防ぐ力は残ってないゴリ!」
「ニャンと!」
「ど、ど、どうすれば!?」
何とかアムを助ける方法をと考える僕だったが、慌てるばかりで一向に良い策は出てこなかった。
そんな僕らのもとに、聞き覚えのある声が響いた。
「くっ! 闘いは既に終わってしまったか!」
「一歩遅かったようだね」
「ニャ、ニャんで? ま、まさか……」
タマが驚いて、声がした方を見る。
声の主を見たタマは、目をまん丸にして叫んだ。
「ミケ兄さんニャ!?」
「それにクーニャンの婆ちゃん!!」
そこに立っていたのは、紛れもなくタマの兄ミケ。
そして猫爪拳の主クーニャンだった。
読んでいただきありがとうございます。
大ピンチに助っ人登場です。
果たしてどうなる?
次話もよろしくお願いします。




