第八十一集 アムの秘策! アレって一体なんニャのニャ!?
「皆さん、お困りのようですね」
「ウ、ウー大師ー!!」
超獣玉をどうするかと、悩む僕らの下に現れたのはラオ=タン=ウー大師だった。
「大師! ジーショウさんは大丈夫なんですか?」
僕の問いかけに、ウー大師はにっこりと笑う。
その大師の陰からレサがひょっこりと顔をだした。
「大丈夫。
ジーショウさんは頑丈だから。
今頃、お友達のトラくんと仲良くやってる」
「ニャ!」
「ごわ!」
ウー大師とレサの登場に、地面に突っ伏していたタマとワンフーも復活した。
ただ、その頭には見事なたんこぶが一つ出来ていた。
「ウー大師! 何か良い考えがあるゴリか?
あの超獣玉は中々厄介ゴリよ」
ゴウリの言葉を受け、ウー大師は指を一本ピンと立て、空を差した。
「この果てしなく広がる空を見て下さい。
その空の果てで爆発させれば良いのです」
「空の果てか……。
なるほど」
「さすが噂に聞く、ラオ=タン=ウー大師ね」
感心するリオンとアム。
反してゴウリは首を横に振った。
「空の果てってゴリ……。
どうやってそこまでアレを持っていくゴリか?」
「そニャー、師匠がぶん投げるニャ」
「ゴリ!」
ゴウリがそんな馬鹿なという顔をするが、ウー大師たちをここまで投げた実績があるのだから、タマが言うのも最もだった。
「投げるのは良いけどよー、それからはどうすんだよ。
そのままにしてたら落ちてくるぞ」
「うーん……」
リバが腕を組みながら言うと、他のみんなもそれに倣うかのように、腕を組んで眉間に皺を寄せた。
そんな重い空気を吹き飛ばしたのは、いつもにも増して明るいアムの声だった。
「仕方ないわね!。
アタシが一緒に飛んで、ありったけの獣力を叩き込んでやるわよ!」
「なっ!」
アムの言葉に、いつも冷静なフーが取り乱して声を荒らげた。
「そんな事をすればアム様も爆発に巻き込まれてしまいます!
そんな危険なマネは絶対にダメです!」
「フーの言う通り。
私も認めないわ」
フーに続いて、リオンも一際厳しい表情でそうアムに告げた。
そんな二人とは対象的に、アムはニコニコと笑って答えた。
「あら〜! 何よ二人して。
アタシの心配をしてくれるわけ?
いつもは冷たいくせに〜」
アムがウインクして戯けて見せるが、フーとリオンの顔は厳しいままだった。
「アム様、冗談もほどほどにしてください。
何か別の方法があるはずです」
「あら?
フー、何か考えがあるのかしら?」
「それは……」
フーが悔しそうに顔を顰める。
それを見たアムは優しく微笑んだ。
「こうしてる間にも、超獣玉はどんどん大きくなっているわ。
もう迷っている暇は無いの」
「私がやるわ。
アム、貴方は残りなさい」
リオンがアムを押しのけるようにしてズイッと前に出た。
アムは驚いた顔を見せたが、すぐに真面目な顔をしてリオンを見た。
「リオンはダメよ。
アナタはフェリダエの国主としてやるべき事があるでしょう?
それに獅子爪牙拳にはまだアナタが必要よ。
ライちゃんもシズもとっても可愛いけどまだ若いわ」
ライが複雑そうな表情を浮かべる。
リオンの表情も曇り、葛藤がその顔にありありと浮かんでいた。
それを見たアムは、その場の緊張をほぐすかのように高笑いをしてみせた。
「オーホッホッ!
それに比べて虎皇拳はフーとワンフー、それにティグにリースと、ワタシが居なくても全く問題ないわ!
言っとくけど、ワタシの教育の賜物よ!」
「アム様……」
「アム……」
改めてアムがニコッと笑ってみせる。
「アム……、儂が行くゴリ」
今度はゴウリが神妙な面持ちで言うが、アムは即座にふーっと息を吐いて首を横に振った。
「ゴウリちゃん、分かってるでしょ?
アナタが投げてアタシが飛ぶ。
これが最上の形。
これしかないのよ」
「むむむゴリ……」
返す言葉が無いゴウリは、唸るのが精一杯だった。
僕も、他のみんなも同じくで、くちびるを噛んで棒立ちするばかりだった。
「なによ! みんなして暗いわよ!
もしかしてアナタたち、アタシが死ぬとでも思ってるの?
止めてよ〜!
アタシがそう簡単に死ぬ訳ないでしょ!」
「いくらアムねーちゃんでもアレはヤバすぎるって!」
「そうニャ! いくらオネーサンでも、アレの爆発を間近で受けたら……」
リバとタマがアムにすがりつくようにして言うが、アムはどこ吹く風といった感じだった。
「愛・アム・最強!
アタシの美しさを信じなさい!」
「強さなら信じられるけどよ……」
「口の減らない子ね」
アムがリバを小突く。
いつもならぶっ飛ばすはずなので、それが今の差し迫った状況を如実に表していた。
「でも、オネーサンに全てを任せて、指をくわえて見てるだけニャンて……」
「あら! 何を言ってるのよ、タマちゃん!
アタシは飛ぶのに精一杯なんだから!
超獣玉をぶち割る力なんて残ってないわよ!
あの玉に叩き込むのは、みんなから集めた獣力よ!」
「えっ!」
「ごわ!」
「ニャンと!」
みんなから驚きの声が上がる。
リオンとゴウリはハッとして目を見開いた。
「そうか……。
アレをやるのね、アム」
「そう! アレよ!」
アムがそう言ってニヤリと笑った。
読んでいただきありがとうございます。
いよいよ終わりが近づいてきました。
アムの言うアレとは何なのか……。
次話もよろしくお願いします。




