第七十八集 超獣の誇り! まだまだ試練は終わらニャい!?
「タマー!!」
みんなでタマの元へ駆け寄ると、タマが目をグルグルに回して倒れていた。
その顔を見ていると、初めて会った時の事が思い出され自然と顔が綻んだ。
「ばか! エノ!
何を穏やかに微笑んでんだよ!
状況わかってんのか!」
リバに小突かれハッと我にかえる。
そのリバが寝ているタマを抱え起こした。
「おい、タマ!
大丈夫か? しっかりしろ!」
リバがタマの頬をぺちぺちと叩く。
「ニャ、ニャ……。
だ、大丈夫ニャ……」
「おお! 生きてたか!」
「当たり前です」
リバの言葉にフーが冷静に突っ込んだ事で、みんなから軽く笑い声が漏れた。
闘いが終わった事を予感させる様なやり取りに、改めてホッとした気持ちになった。
「まさか……、ジャパが破れるとは……」
だがそんな一時を、低く重厚な響きの声が破った。
みんなが驚いて振り返ると、そこにいたのはなんとファンだった。
「なっ!?」
「まだやる気でごわすか!」
慌てて臨戦体制を取る僕たちを、ファンは掌を前に差し出して制した。
「落ち着くがよい。
もはや闘う気はない」
「ごわすか……」
ファンの言葉に構えを解くワンフー。
それを見て他のみんなも同じく構えを解いた。
確かにファンからは、先程までの荒々しい雰囲気は既に失われていた。
「お主等がここまでやるとはな……
信じられんが儂自身も敗れた身。
認めるしかあるまい」
ファンが口元を緩め、フッと息を吹き出した。
そんなファンへフーが前へと進み出て問いかける。
「ファン殿、改めて聞かせていただきたい。
何故、我々は闘わなければならなかったのか」
フーの言葉を受け、ファンが腕を組み目をつぶる。
「そうじゃの……。
では改めて聞かせよう、我らの真意を……」
そう言ってファンはその場にドカッと座った。
「決して異なる武獣同士を関わらせてはならぬ。
それが我ら超獣拳の、古くから脈々と受け継がれてきた使命。
それは神より与えられたという」
「神より……」
あの猫カフェの店員の事を思い出し、なんとなく懐かしい気持ちになった。
そんな僕になど構わずにファンが続ける。
「武獣家の交流は禍の元。
嫉妬を生み、欲を生む。
それらは留まる事を知らず、破滅へと向かう。
それが超獣拳に昔から伝わる教え。
とはいえ、小規模のものは我々も目を瞑っていたがな……。
小さな火であれば自然と下火になるもの。
消火するのも容易い」
「嫉妬……に、欲ですか……」
ライが呟く。
みんなも梅花拳の話は伝え聞いてるので、ファンの言葉には思うところがあったようだ。
「だが、フェリダエ武獣研鑽会は些か大規模過ぎた。
我々としても見過ごす訳にはいかなかった。
それ故、お主たちの下へ現れたのだ」
「そうでしたか……。
最初に言っていた"前途を問う"というのは?」
フーが質問を重ねると、ファンがニヤリと笑って答えた。
「草の根の部分で欲望が芽吹いたとしても、その上に立つ指導者が正しき道を示せば大火には至らん。
そのためフェリダエを統率するお主らの力、そして心を試したという事じゃ」
「正しき道、心でごわすか……」
「で、答えはどうなんだよ?」
リバがそう言ってファンへ詰め寄る。
ファンはそんなリバを見て再びフッと笑った。
「言うまでも無かろう。
儂らは拳で語るしかないのだからな」
「ファン殿……」
フーがファンへ抱拳礼をする。
みんながそれに倣った。
その時だった。
「まだだ!!」
そう叫びながら姿を現したのは首長の男。
キリンの武獣家ジラだった。
「ファン様! この者らを認めるのは早計というもの!
まだ闘いは終わってないぞ!」
そう言い放ったジラは宙へと飛び上がる。
するとその首の長い独特の体が輝き、一つの光る玉へと変化した。
「なっ! ジラ殿!」
ハクが驚きの声を上げる。
余りにも突然の出来事に、他のみんなは言葉を失っていた。
「ジラの言う通り!
まだだ!」
「マルコさん!」
続いて現れた巻き角のマルコも、ジラと同じように飛び上がり光の玉へと変化した。
二つの玉は一つになり、更に大きな光る玉となった。
「一体なにが起きてるでごわすー!!」
困惑するワンフーに巨大な影が声をかけた。
「最後の試練だよ〜
これを突破出来れば、超獣拳は君たちを認めるよ〜」
「ファカマバ殿!」
ファカマバがその巨体を揺らし宙へと飛び、前の二人と合体した。
かなりの大きさとなった光る玉は、恐ろしい程のエネルギーを発して宙に浮かんでいた。
ファンがそれを見つめつつ口を開いた。
「若輩といえど、こやつらも超獣拳としての誇りをしかと持ち合わせていたか……。
儂が遅れを取るわけにはいかんの……」
そう言うとファンは満足気に頷き、そのまま黙って光る玉を見つめた。
「ファン殿、これは……」
「"超獣玉"よ!」
突然、大地を揺るがす大声が戦場に響き渡った。
慌てて声がした方を向くと、そこにいたのは黄色と黒の毛皮を纏った巨大な武獣家だった。
「ア、アム様ー!!」
「大陸最強の麗しき武獣家、アムでーす!!」
読んでいただきありがとうございます。
超獣拳、未だ死なず。
更にアム登場。
一体どうなるのか?
よろしくお願いします。
評価も何卒よろしくお願いします。




