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ネコジャRUSH!   作者: ジョン・道
第一章 転移と出会い〜フェリダエ武獣研鑽会まで
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第八集 ゴウリとリバ


 腰が重いとの事だったが、大猩拳のトップでエープ国の国主でもあるゴウリはすぐにやって来た。

 ゴウリへの第一印象は"とにかく大きい"だった。

 大袈裟かもしれないけど、ちょっとした山と言っていい位の大きさだった。

 それが草原を猛スピードで突っ切ってくる姿は衝撃だった。


「迷惑かけて悪かったゴリ。

 すまなかったゴリ」


 ゴウリは一国の主とは思えない程、偉ぶった所が全く無い気さくなゴリラだった。

 僕みたいな一介の旅人にもちゃんと頭を下げてくれた。

 ちなみにこの世界では国といってもアバウトで、同じ様な種族が大体同じ地域で暮らしている、といった感じのものらしい。

 大抵の事は各地に点在する道場とそれに付随する里の自治に任されていて、よっぽどの事が無い限り国主の出番はないのだとか。

 特にエープでは各流派の自由度が高く、ゴウリも多分一番強いので国主と呼ばれているだけで、何をするものなのかよく分かっていないと笑っていた。

 ただ、めちゃくちゃ強いらしい。

 あのフーでさえ闘ったら「絶対勝てない」との事だった。

 

「ゴウリ様、申し訳ありませんでした」


 チンショウ達は到着したゴウリに土下座をして謝っていた。

 

「全くゴリ! げんこつゴリ!」


 ゴウリはチンパンジー三兄弟にげんこつをお見舞いした。

 とりあえずの軽いお仕置きといった感じだったが、チンショウ達は地面にめり込んでいた。


「まぁ儂も悪かったゴリ。

 もう少しお前たちの話も聞いてやるべきだったゴリ」


「すみません……」


 改めて黒猩拳の連中が頭を下げる。

 ゴウリがそれを眺めて言う。


「そんなに闘いたかったゴリか?

 儂がやってやると言ったら、断わったではないゴリか!」


「それは闘いならないかと……」


 フーが苦笑いしながらその場を取りなしていた。

 すると、誰かが道場の中へ飛び込んできた。

 信じられないくらい綺麗な女の人だった。

 見た目はヒト型で処々が豹柄の毛皮で覆われている。

 スラリとした長身で髪は長かった。

 思わず「女神……」と呟いてしまい、隣で聞いていたタマの頭にハテナが浮かんでいた。

 タマはすっかり元気になっていた。


「お前らか!

 アタシの道場に殴り込みをかけたサルってのは!」


 女神は入ってくるなりサル達に怒鳴り散らした。

 飛び掛からんばかりの勢いで、ゲパが必死で止めている。

 そんな見た目とは裏腹な感じに面を喰らう。

 ただ、この世界では容姿を気にする事は全く無いみたいで、驚いていたのは僕だけだった。


「リバ! 戻りましたか!」


「おお! フー!

 あんたが来てくれてたのか!

 それで既に騒ぎが収まってたって訳か」


 リバがフーに抱きつく。

 フーもかなり綺麗な見た目なので、美人二人が寄り添ってるのを見てドキドキしていると、またしてもタマが不思議そうに僕を見ていた。


「おお、リバ。

 すまなかったゴリ」


「げっ! ゴウリ!

 あんたまで来てたのかよ!」


 ゴウリが二人の前に出て謝罪をすると、リバはフーの後ろに隠れた。

 何でもリバはゴウリが苦手らしい。

 流派の特徴的に相性が悪いみたいだ。

 そもそもゴウリの大猩拳は相性など関係ない程強いが、豹猟拳は特になのだとか。


「ゴウリまで来てんなら仕方ねーなー。

 ルート、何があったか詳しく説明してくれ」


 リバが冷静になったのでルートが事の顛末を話した。

 最初は怒り心頭といった感じで聞いていたリバだったが、闘う相手が欲しかったという黒猩拳の思いを聞いて号泣した。


「分かる! 分かるよ、その気持ち!

 他流と手合わせが出来ないなんて、武獣家としてこんな苦しい事は無いよ!」


 ゲパがそっと小さい布を差し出すと、リバは涙を拭いて、鼻水を豪快にかんだ。

 リバは感激屋さんなのだろう。

 ゲパの対応は慣れたものだった。


「事情はわかったよ。

 まぁ幸い、こっちには大怪我した奴もいないみたいだし、もう良いよ。

 あとはゴウリに任せる。

 だね? みんな!」


 リバが言うと、豹猟拳一同揃って頷いた。


「寛大な措置に感謝する」


 チンショウが深々と礼をすると、黒猩拳、遅猿拳の連中もそれに倣った。


「てゆーか、そもそも何で奇襲なんて事したんだ?

 普通に手合わせを申し込んでくれりゃあ、こんな面倒な事にならなかったのにさ」


「エープの他流派を驚かせる目的もあったのだが、普通に行ってもどうせ断られるとヤケになっていたというか……」

 

 チンショウがばつの悪そうな顔で答えた。


「仕方ねーなー、全く。

 これからはちゃんと言ってくれよ。

 いつでも相手するからよ!」


 リバがシュッと拳を突き出した。

 サル達は「なんと、ありがたい!」と涙ながらに再び頭を下げた。

 それを見た豹猟拳の連中は、膝を折っているサル達に駆け寄り、顔を上げろと抱え起こした。

 そこかしこでチーターとサルによる交流が始まっていた。

 その姿を見て、武獣家っていいなと思った。

 別に武獣家になりたいって訳では無いけど、なんて素敵な人達なんだろう。


「これにて一件落着ゴリ!」


「あんたが言うんかい……」


 ゴウリには誰も敵わないみたいだった。


読んでいただきありがとうございます。


武獣家は清々しいです。


次のお話では、エノのちょっとした疑問から物語が動き出します。


よろしくお願いします。

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