第七十集 ワンフーのヒ・ミ・ツ!
ガッチリと組み合った力比べ。
押していたのはワンフーだった。
「ご……わ……す……」
ファンに比べ、体格では多少見劣りするワンフーだったが、力では互角以上だった。
「ほう……。
中々の力よ。
だが、儂のこれを忘れとるぞ」
そう言うと、ファンは組み合ったままその長い鼻をワンフーの胴体へと巻き付けた。
「パオーン!!」
「ごわっ!」
ファンがワンフーを持ち上げる。
そのままワンフーの体を空中に留めた。
必死で逃れようとするワンフーだったが、がっちりと胴に巻き付いた鼻は、簡単には外れなかった。
「無駄だ。
今までどんな力自慢も逃れた者ない。
このまま絞め殺してもよいが、それでは面白くないわ。
パオ!」
ファンが巻き付けたワンフーごと、鼻をブンブンと空中で振り回す。
「鼻旋風車!」
「ごわーす!!」
段々と鼻を回す速度を上げるファン。
「あんなに振り回されたら馬鹿になるニャ!」
「マズイですね……」
僕らの心配をよそに、ファンの鼻は更に早くなる。
余りにも早すぎて、先端にいるワンフーの姿が確認できない程だった。
「砕け散るがよい!」
そう言うとファンは、近くにあった岩山に向かってワンフーを投げ飛ばした。
岩山へ一直線に頭から飛んでいくワンフー。
「ワンフーさん!」
仲間の窮地に騒然となる僕たち。
その中でただ一人、ワンフーの実姉フーだけは全く表情を変えていなかった。
「ワンフー!」
「ごわす! 姉上!」
フーの声に、気絶してると思われたワンフーが反応する。
ワンフーは両腕を伸ばして、自身の巨体が岩に激突するのを防いだ。
「何!」
岩山をバク転を繰り返し駆け上るワンフー。
そしてそのまま岩山の頂上で胡座をかいてみせた。
「甘いでごわす!
あれしきの回転では目さえ回らんでごわす!」
鼻息をフンと吹き出し、腕を組むワンフー。
対するファンは眉間に皺を寄せた。
「すごいニャー! ワンフー!」
「しかし、なぜワンフー殿は平気だったのでしょう?」
シュエが腑に落ちないといった表情で戦場を見つめる。
それを聞いたフーがフフッと笑い声を漏らした。
「子供の頃からワンフーは既に巨体でしたが、手足が短い割に胴は横に大きく、その姿はまさに玉のようでした」
「通りでタマと気が合う訳だ」
「ワタシは名前だけニャ」
フーが続ける。
「その為、アム様を初めとした周りの大人たちにおもちゃにされ、いつもコロコロと転がされていたのです。
その結果、ワンフーの三半規管は異常に発達したのです!」
目を見開くフー。
呼応するように戦場のワンフーも岩山から飛び降りた。
「なんですか、その理由……」
「アムのオネーサンならやりかねないニャ……」
まさかの理由に唖然とする僕ら。
戦場のファンも、信じられないといった顔でワンフーを見ていた。
「儂の鼻旋風車を受けて平然としていられる者がいようとは……。
お主、相当な修行を積んだようだな」
「修行でごわすか……?」
ワンフーが目を上に向け、昔を思いだすような仕草を見せた。
すると、次第にその顔が青くなっていった。
「アム様の悪魔のような笑顔を思い出したでごわす……」
「なるほど……。
虎皇拳の主、アム自らの修行か。
どおりで」
ワンフーが悪夢を振り払うかのように、頭を横にフルフルと振る。
そして、体を半身にし腰を落として構えた。
「今度はこちらの番でごわす!」
読んでいただきありがとうございます。
また短いお話になってしまった。
子供の頃のワンフーは、ドラ◯エのフーセンドラゴンみたいな感じです。
ワンフー対ファンは次回で決着するのか!?
よろしくお願いします。
評価なども是非お願いします。




