第六十七集 大師たる所以と大きなお尻
「"神速のリバ"が来たニャー!!」
「リバさーん!」
「ごわーす!」
突然のリバの登場に僕らはお祭り騒ぎだった。
僕らといっても、僕とタマとワンフーだけだったけど。
てもフーはもちろん、ライも嬉しそうな顔をしていた。
「あれは豹猟拳のリバ様……」
ふと後ろから聞こえてきた呟きに振り返ると、そこにいたのは医務室で治療中の筈のハクとシュエだった。
「ニャニャ?? ハクさんにシュエさん!」
「寝てなくて大丈夫なんですか?」
僕らが側によると、ハクとシュエは穏やかに微笑んだ。
「ええ、もう大丈夫です。
闘うのは厳しいですけどね」
「私も大丈夫。
あの方のお陰です」
ハクとシュエが道を開けるように左右に分かれる。
その先に居たのはラオ=タン=ウー大師、その人だった。
その後ろには、何故か大いに胸を張るレサもいた。
「ウー大師のお陰?
大師、何かやったんですか?」
「何かやったとは随分な物言いですね」
不満そうに眉間に皺を寄せる大師。
そういえば、高みの見物とか言っていたのに姿が見えなかった。
「大師を医務室に案内した。
大師の軟獣力でみんなを治療してもらった」
レサがピースサインをして言う。
姿が見えなかったのはレサの仕業だったのか。
「軟獣力?
え? 大師、軟獣力を使えるんですか?」
僕が驚きながら言うと、大師は呆れたような顔をして言った。
「そもそも私が"大師"等と呼ばれるのは軟獣力の扱いによるもの。
棒術に取り組んでいるのはここ最近の話です」
「ええ!」
「全然知らニャかった!」
改めて知った事実に目を丸くする僕ら。
そんな僕らに、ハクが声を掛けた。
「ラオ=タン=ウー大師の治療を受けると、傷の痛みがスッと引きました。
ティグさんも、既に会話が出来るまで回復しています」
「ごわ!」
ワンフーはハクの話を聞いて、両膝を地面につけ大師に向かって抱拳礼をした。
「ラオ=タン=ウー大師!
我が朋友、ティグを助けてくださり感謝するでごわす!」
ワンフーが涙ながらにそう言うと、大師は首を横に振り、ワンフーに立ち上がるようにと促した。
「大した事はしていません。
彼は既に持ち直していました」
ワンフーへとそう声を掛けた大師は、続いてこちらへと向き直った。
「そう。そのティグさんの事、レサさんから聞きましたよ。
エノ君、後で君が持ってるという得体の知れない物を見せてもらいましょう」
大師が言うと、レサが補足するように続けた。
「"獣総栄食"を交換条件に、大師には治療してもらった」
レサがピースサインをする。
「そういうことか……。
武獣家嫌いの大師にしては随分と大盤振る舞いだなーと思いましたよ。
ても"獣総栄食"は危険ですよ……」
一応声を潜めて、大師の耳もとで言うと大師が頷いた。
「もちろん食べたりなどはしません。
ちょっと調べるだけです」
大師も同じく声を潜めた。
「まぁそれも、この闘いが終わってからで構いません。
今はこの闘いに集中すると良いでしょう」
「僕も見てるだけですけど……」
戦場へと目を向ける僕たち。
そこではファカマバが、リバに向かって何か言っていた。
「なんだ〜、君は?
おサルさんと選手交代か〜?」
「おうよ!
豹猟拳のリバだ!」
早速構えるリバ。
リバの闘志あふれる姿に、ジーショウは自ずから後ろへと下がった。
「リバ様、後は頼むでごザル」
「任せろ」
リバは前を向いたまま答える。
リバとジーショウの会話を聞いて、ファカマバはその大きな口でフガフガと笑った。
「へぇ~、君、おサルさんより強いみたいだね〜
楽しませてちょうだいね〜」
ファカマバが挑発したように言う。
血気盛んなリバはそれに乗るかと思われたが、努めて冷静だった。
「楽しむってのは相手に委ねるもんじゃねーぞ。
ケツデカさんよ」
「ヒドイな〜、気にしてるのに〜」
そう言って、自身の巨大な尻をさするファカマバ。
言葉とは裏腹に、その顔は何処か誇らしげだった。
「嘘つけ!
だったらあんな技使ってんじゃねーよ!」
「それとこれとは話が別なんだよ〜」
言い終わると同時にファカマバが宙へと飛び上がる。
そして先程と同様に体を丸め、尻を下にしてリバに向かって落下した。
「圧殺巨尻弾〜」
「リバ様! そやつの汗に気をつけてくだされ!」
「分かってるよ! ジーショウ!
心配すんな!」
頭上からファカマバの巨体が迫り来るが、リバはその場から逃げようとしなかった。
読んでいただきありがとうございます。
大師の高名は軟獣力の使い手としてでした。
本格的なリバ対ファカマバは次話になっちゃいました。
すみません。
よろしくお願いします。




