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ネコジャRUSH!   作者: ジョン・道
第一章 転移と出会い〜フェリダエ武獣研鑽会まで
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第七集 決着ニャ!


「バカな……」


 背中を切り裂かれ、地面に倒れるジーショウ。

 その姿を見てサル達はパニック状態だ。

 首領のサルも信じられないといった表情をしている。


「ジーショウがあんな小娘に……」

 

 タマは"回転ネコ波无智"なる技を放った際、着地に失敗して地面に転がっていた。

 小娘と呼ばれたタマが、フラフラながらに立ち上がろうとする。

 慌てて駆け寄り、肩を貸す。


「タマー! 大丈夫?

 凄かった!

 めちゃくちゃカッコよかったよ!」

 

 タマの頑張りに感動し、涙が溢れてくる。

 それを見たタマが土にまみれた顔でニコリと笑う。


「ありがとニャー、エノ……。

 猫爪波はやっぱり無理だったニャ。

 でも、爪の硬化は出来たニャ。

 なんとか勝てて良かったニャ……」


 タマは本当に全身全霊を尽くしたようで、体に力が入らないみたいだ。

 なんとか踏ん張ってタマの体を支えていたが、堪えきれず二人して転びそうになる。

 そんな僕らの体を誰かがガシッと受け止めてくれた。

 

「タマ殿、素晴らしい闘いでした」


 見ると、それはなんとゲパだった。


「え、ゲパさん?!

 あれ、ゲパさんも闘って……」


 驚いてゲパが闘っていた方を見ると、一匹のサルが地面に突っ伏していた。

 目が点になっている僕を見て、ゲパが笑う。


「まだまだ未熟ですが、正面切っての闘いならサルなどに遅れは取りません」


「凄いニャ〜、ゲパさん。

 ほとんど無傷ニャ……」


 ボロボロのタマはそう言うとそのまま気を失った。

 そんなタマをゲパはひょいと持ち上げ背中に乗せた。

 下がって戦況を見つめていたトラ達の元へ戻ると、皆がゲパとタマを労った。

 

「むむむ……。

 まだ勝負は終わっておらん!」


 そう言って黒猩拳の首領が飛び上がり、闘いの場へとおどり出てきた。

 それを見たフーが、ツカツカとゆっくりと歩いて前に出て、首領と対峙した。


「黒猩拳首領チンショウ!

 参る!」


「私は先ほど名乗り上げましたね。

 では、いきます。

 虎気砲ふうきほう!」


 勝負はあっという間だった。

 フーは声を発すると共に、掌を前に突き出した。

 するとその掌から青白く光る虎の頭が飛び出し、チンショウを襲った。

 舞った砂埃が収まると、そこにはチンショウが仰向けに倒れていた。


 ■


「悪かった……」


 黒猩拳のサル達が膝を折って、僕らの前にズラリと並んでいる。

 遅猿拳と呼ばれた毒のサルも一緒だ。

 武獣家らしく潔く負けを認め、事の顛末を語り始めた。


「ご存知かも知れないが、エープのサル達は争いを嫌う。

 生来の気質ゆえ闘いを好む我らは例外なのだ。

 だから、エープ内の他流派に手合わせを申し込んでも一向に相手にされないのだ」


「ふむ……。

 サルが基本的に温和なのは我々も存じている」


 ゲパがチンショウの言葉に相槌を打つ。


「武獣家としては我らの方が普通だと思わないか?

 他流派と武を競う事が出来ないと想像してみてくれ」


「確かにそれは歯がゆいな」


 言いながらルートがうんうんと頷いた。


「それで我らの本気度を示すため、他国の道場にまで押しかけたのだ。

 他国にまで仕掛けたとあらば、他流に興味が無いとはいえ同じサル同士、流石に捨て置きはしないだろうと」


 ふと疑問に思った事があったので、部外者かも知れないが思い切って訊ねてみる。


「エープ内の他流の道場へ、無理矢理押しかければよかったのでは?」


「エープの流派は基本道場を持たない。

 同門で同じ森に暮らすが、鍛錬は各々でするのだ。

 その森はとても広大だ。

 我らの気配に気が付き身を隠せば、土地勘の無いものが見つけるなど不可能なのだ」


 僕の疑問にはジーショウが答えてくれた。

 タマに敗れたジーショウだったが、致命傷というわけでは無かったようだ。

 既に手当ても終え、チンショウやパンショウと肩を並べていた。

 ちなみにその闘いに勝利したタマはまだ夢の中だ。


「俺たちもあんた達みたいに、他の武獣家と切磋琢磨したかったんだよー」


 パンショウが地面に突っ伏し泣きながら訴える。


「他のサルって、そんなに闘いが嫌いなんですか?」


 隣にいたルートに訊ねてみた。


「嫌いというよりかは、武への考え方が違うといった感じかな?

 ひたすら自己と向き合い高めるもので、他者と競いあって高めるものでは無いって考えてるみたいだよ」


「なるほど。

 ありがとうございます」


 ここまで黙って話を聞いていたフーがようやく口を開いた。


「同情の余地はあるようだが……。

 とはいえ流石に、他国の道場に奇襲をかけたのは暴走というもの。

 だが、あなた方の処遇はしばらく保留だ。

 私の名でゴウリ殿に使いを出しておきました。

 いくら腰の重いゴウリ殿でも流石に出向いて来るでしょう。

 それにもうすぐ豹猟拳の主リバも帰ってくるはず。

 それからですね」


 フーがそう告げると、サル達は一斉に頭を下げた。

 サル達は先程見せられたフーの別格の強さに、深い敬意を持ったみたいだった。


 

読んでいただきありがとうございます。


サル達も悪い奴らではありませんでした。


次回はボスが二人、登場します。


よろしくお願いします。

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