第六十一集 三回戦は誰がでるニャ!? 戦場を走る光!
「タマ! ハクさんとシュエさんは……」
雪尾拳の二人を医務室へと運んだタマとワンフーが戻ってきた。
その顔は決して穏やかではなかったが、最悪の事態を想像させるような感じでもなかった。
「サンゲイ先生は、何とか命は助かるだろうって言ってたニャ。
でも予断を許さない状態らしいニャ」
タマが言うと、ワンフーもうんうんと首を縦に大きく振った。
「パド殿も二人に付き添っているでごわす。
パド殿は治癒獣力の心得があるそうでごわす」
「治癒獣力?」
聞き慣れない言葉に首を傾げると、フーが説明してくれた。
「治癒獣力は病気や怪我の治療に使う獣力です。
軟獣力なんて呼ぶ者もいます」
という事は、サンゲイがティグを治療したのも治癒獣力を使ってだったのか。
タマが前に薬草を使って傷の手当をしていたので、てっきりサンゲイもそうなのかと思い込んでいた。
「軟獣力……、そんなものがあったのですね」
あんな大怪我をどうやって? とは思っていたけど、獣力で治療していたのか。
予断を許さないとはいえ、ハクとシュエがとりあえず大丈夫そうな事にホッとする。
一方の超獣拳ではファンが眉間にシワを寄せていた。
「ジラがやられるとは……。
二人がかりとはいえ信じられん」
ちなみに倒れたジラは、マルコと同じ様にマントの者が介抱していた。
それについてファンは何も言わなかった。
「マルコとジラが倒れた。
さて次は誰が出る?
フカマァバ、お主が行くか?」
ファンが問いかけたのは灰色の大きな頭を持った、カバのケモノ型の武獣だった。
ずんぐりとした樽のような体型はたるんだ皮膚に覆われて、口と尻の大きさが特に目立った。
「オイラはまだいいや〜。
ミコア、君が行けば〜?」
フカマァバと呼ばれたカバが、後ろを振り返り言った。
そこにはジラ達を介抱するマントの者とはまた違う、もう一名のマントの者がいた。
「仕方ないな……」
マントの者が飛び上がり、闘い場へとおどり出てきた。
そしてそのままの勢いで着ていたマントを脱ぎ捨てる。
現れたのはレサよりは大きいが、僕やタマの腰くらいの背丈のケモノ型の武獣だった。
「超獣拳ミコアがお相手する。
誰ぞ出会え」
そう言って抱拳礼をするミコア。
白っぽい毛が全身に生えていたが、胴体は斜め下半分が黒く、まるで斜め掛けのタイツを着ているかの様だった。
細長く前に出た口と、長い鉤爪も目を引いた。
見覚えはあるが、なんという動物だったか名前は思い出せなかった。
「ワタシが行くニャ!
やってニャるぜ!」
そう宣言して前へと進み出るタマ。
その時だった。
僕らの後方で何かが光った。
「ひニャぶ!」
そしてその光はタマの頭を踏み台にすると、ミコアが待つ戦場へと降り立った。
「あ、あれは……」
「リュ……」
戸惑う僕らの目に映ったのは、雲形の斑点を背負った見覚えのある武獣家の後ろ姿だった。
「リュンピョウー!!」
「雷下咬拳リュンピョウがお相手しましょう」
読んでいただきありがとうございます。
リュンピョウの登場で切りたかったので、短めのお話になってしまいました。
ちなみにミコアはミナミコアリクイです。
次回はその二人の闘いになります。
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