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ネコジャRUSH!   作者: ジョン・道
第二章 VS超獣拳〜
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第五十七集 華麗ニャる死闘! ライ対マルコ!

 

「獅子獣力衝!」


 ライが拳に獣力の獅子を纏わせる。

 研鑽会でも見せた得意技だ。


「獣力を纏わせた技か。

 む!」


 ライの拳の獅子は、研鑽会で見たより遥かに大きかった。

 その大きさには流石のマルコも面食らったようだ。

 ライがマルコへと迫る。


「はっ!」


「ぐっ!」


 鋭く放たれた獅子の拳を、マルコは躱しきることは出来なかった。

 細かい刺繍が施された道着の肩の部分が弾け飛び、更にその下に生えていた体毛も抉った。

 マルコは反撃の蹴りを繰り出し、一旦間合いを取った。

 火傷を負ったような肩を見て、マルコは顔を歪ませた。


「おのれ……!」


「いいニャー! ライさん!」


 ライの先制パンチに僕らも思わず歓声を上げる。


「その程度では済みませんよ。

 獅子獣力衝!」


 ライが再び間合いを詰める。

 するとマルコは、獅子の拳に対し巻き角をぶつけてきた。


「穿孔巻角!」


 回転する巻き角によって弾き飛ばされるライの右腕。

 それによってがら空きになった脇腹に、マルコが拳を放つ。


偶蹄打ぐうていだ!」


 蹄による一撃を、ライはまるで予測していたかのように体を回転させて躱す。

 そしてその勢いのまま、廻し蹴りでマルコの背中を蹴りつけた。


「がはっ!」


 地面へと転がるマルコ。

 

「くっ…」


 転がった時に土が口に入ったのか、唾を吐きつつ立ち上がるマルコ。

 ライは優雅な立ち姿でその様子を眺めていた。

 そんなライの闘いぶりに、感嘆の声が自然と漏れた。


「す、すごい……。

 攻撃を全て読んでるみたいだ……」


「ティグの闘いをちゃんと活かしてる……」


「流石、研鑽会の優勝者ですね」

 

 マルコが激しい怒りに満ちた目をライへと向ける。

 

「ナメるなぁ!」


 絶叫と共に宙へと跳び上がるマルコ。


獅子頭弾ししとうだん!」


 ライは獅子の頭型の小さな獣力破を放つ。

 空中にいるマルコは格好の的だった。

 しかし、なんとマルコは何も無い空中で、まるで地面を蹴ったかのように方向転換してみせた。


「な、な、何ニャ!?

 足場でもあるみたいニャ!」


「ど、どうなってるの?」


 信じられないといった様子のタマ。

 きっと僕も同じ様な表情をしているのだろう。


「なっ!?」


 ライも驚きの表情を見せる。

 それでも怯まずに何度も獣力破を放った。


「無駄だ!

 偶蹄天翔ぐうていてんしょう!」


 マルコは空中を自在に動き、それらを躱しつつライへと近づく。

 そして両手足の蹄を、ライの体へと打ち下ろした。


「流星偶蹄打!」


「くっ!」


 頭上からの連続攻撃も慌てず捌くライ。

 

「流石ライさん! 防御も上手い!」


「いや、何発か貰ったニャ」


 僕には見えなかったが、全ては防ぎきれなかったみたいだ。


「ただ、食らったのは影響の少ない場所です。

 あれなら大丈夫でしょう。

 流石です」


 一旦間合いを取る戦場の両者。


「宙を翔ける我の動きに、翻弄されているようだな」


 そう言ってマルコはニヤリと笑う。

 一方のライは、そんなマルコを見てフッと鼻で笑った。


「強がりはよせ!

 偶蹄天翔!」


 再びマルコが自在に宙を飛び跳ね、ライとの距離を縮めてくる。

 

「またニャ!」


 タマが叫ぶが、当のライは構えもしていなかった。


「お手上げか?

 ならばさっさと楽にしてやろう!」


 マルコが挑発するように言い、蹄を振り上げる。

 その時だった。

 ライは軽く体を沈めると、空へと飛び上がった。

 その高さは、優にマルコのいる場所を超えた。


「よし! 頭上を取ったニャ!」


 拳を握るタマ。


獅子頭連弾ししとうれんだん!」


 ライの両手が青白く光る。

 しかしマルコはその時を待っていたかの様に、両の巻き角をライへと向けた。


「掛かったな!

 射突巻角しゃとつけんかく


 なんとマルコの頭から、巻き角が矢の如く発射された。

 それは正確にライの体の中心へと向かっていた。


「わかっていました」


 だがライは体を後ろへと反らし、空中で後転して巻き角を躱した。


「すごいニャ! 流石ライさんニャ!」


 秘技とも呼べそうな技を躱されたマルコだったが、その表情にはまだ余裕があった。


「甘い」


 マルコがそう呟くと、躱されて明後日の方向へ飛んでいた巻き角が、反転して再びライへと向かった。


「あっ……、自動追尾……」


 反転した巻き角を見た時、これは勝ったと思った。

 記憶を無くしてはいるが、脳の片隅にこびりついた自動追尾の末路は鮮明だった。


「それもわかっていました」


 ライはそう言うと、獣力破を巻き角へ向って放った。

 それでも巻き角の勢いは衰える事はなかったが、ライはその反動を使い、追いかけてくる巻き角と共にマルコへと突進した。


「ば、馬鹿者! こ、こっちへ来るな!」


 この言葉も聞いた事がある気がする。

 ライはマルコの間近まで行くと、再び獣力破の反動を使い、直角に右へと方向転換した。


「逃さん!

 顎髭蔓!」


 しかしマルコは顎髭をスルスルと伸ばし、ライの首へと巻き付けた。

 そしてライの体を引き寄せ、自身の前で巻き角からの盾にした。

 巻き角がライの体に迫る。

 その時、何とライの頭に急に鬣が生えた。

 生えた鬣は回転をし始め、まるでカッターの様にマルコの髭を切断した。


「なっ……」


「獅子爪牙拳奥義 獅子鬣刃ししようじん


 そう言うとライは後方に体を翻し、マルコの肩で逆立ちした。

 肩をがっしりと固定されたマルコは、迫りくる巻き角から逃げる事が出来なかった。


「がはっ……」


「ティグさんの痛み、その体で思い知ってください」


 巻き角と共に、ライの突き刺さる視線も受けながら、マルコは地面へと落下していった。


「やったニャー!」


「ライさん、強い!」


 地面にふわりと降り立つライ。

 地面で横たわるマルコが、途切れ途切れライに声をかける。


「な、なぜ……、射突……巻角を……」


 ライは穏やかな微笑みをたたえて答えた。


「回転するなら飛ぶ可能性だって考えます。

 飛んできたなら追いかけてくる事も。

 あらゆる事を想定しながら闘うのは当たり前です。

 といっても、ティグさんとの闘いを見たからというのもあります。

 初見ならやられていたかもしれませんね」


「なんと……」


 口から血を流しながら、マルコがため息を漏らした。


「いや、何れにせよ我が負けていただろう。

 流石、王の右腕と……!!」


 話しの途中、マルコの体に何かが巻き付いた。

 

「マルコよ……、超獣拳に敗北は許されぬ。

 死を持ってその罪を償え!!

 パオーン!!」


 巻き付いたのはファンの鼻だった。

 ファンは鼻を振り回し、マルコの体を近くにあった巨岩へと放り投げた。

 猛スピードで岩へと向かうマルコ。

 このまま岩にぶつかれば、マルコの全身の骨が砕け散ってしまう。

 ライも必死で追いかけようとするが流石に無理だった。

 

「マルコさん!」


 ライが叫ぶ。

 だがマルコが岩に激突する直前、何者かがマルコの体を受け止めた。

 それは超獣拳の一人で、頭からマントを被った者だった。


「……」


 マントの者は何も言わず、気を失ったマルコの体を地面へ横たえると手当をし始めた。

 それを見たファンは、苦虫を噛み潰したような顔をした。


「ジャパよ!

 何の真似だ……」


「……」

 

 超獣拳が見せた一連の流れに圧倒される僕らだったが、ライが戻ってきた事で一気に明るい雰囲気となった。


「ライさん! 素晴らしい闘いだったニャ!」


「タマさんの言う通りです。

 流石の強さでした」


「ありがとうございます」


 互いに抱拳礼を交わす僕ら。

 だがライは勝利の余韻に浸ることなく、道場の方へ心配そうな目を向けた。

 そんな僕らの下に、ワンフーの大地を揺るがすような大声が届いた。


「大変でごわすーー!

 ティグが、ティグがー!!」


 フーが顔色を失い駆け出す。

 それを見たハクが、僕とタマそしてレサに声をかけた。


「ここは我々に任せ、早くティグ殿の下へ!」


 見るとシュエ、そしてライも頷いていた。

 それを受け、僕らはすぐに道場へと駆け出した。


「ティグー! 死んだらダメニャー!!」


読んでいただきありがとうございます。


ライは流石の強さでした。


次回、ティグが危篤に!


よろしくお願いします。



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ライの勝利のお祝いに、評価も頂けたら嬉しいです。

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