第五十三集 よく見りゃ銀色! 新たなる師ニャ!
「行くニャ! ワンフー!」
「ごわーす!」
煙を上げ終わり、レサと道場へ戻るとタマとワンフーが熱のこもった手合わせをしていた。
タマの動きは少し前に比べたら、まさに雲泥の差だった。
肉球の壁もさらに精度を増していた。
ワンフーの重い一撃さえも、吸収したり跳ね返したりと、その使い分けも上手くなっていた。
「効かんでごわす!」
「ニャにくそー!」
ただ課題は攻撃力で、特にワンフーのような大きくて体力のある相手には、大きなダメージを中々与えられないって感じだった。
その課題はタマも自覚している様で、色々試行錯誤していた。
「やっぱり猫爪破かニャ……」
タマが自分の鋭い爪を見つめて言った。
猫爪破……、タマはそれを何度か放った事があるが、それは"獣総栄食"の力を借りてだった。
自力で放つには、まだ何か足りないのだろうか。
「おお! ハク殿、シュエ殿!」
そこへ雪尾拳の二人、ハクとシュエが揃ってやって来た。
全身白いその姿は、まるで雪の妖精の様だった。
「何やら気合の入った声が聞こえたもので、吊られて来てしまいました」
ハクはそう言ってタマ達に抱拳礼をした。
するとタマが目の前まで行って、ハクとシュエに訴えた。
「ハクさん、シュエさん!
ぜひ、手合わせをお願いしたいニャ!」
二人はタマの熱意に驚いて顔を見合わせたが、すぐに穏やかに微笑んだ。
「こちらこそ是非お願いします。
来たる超獣拳との闘いに備えて、お二人以上の存在はそうはいませんから」
「おお! 有り難いでごわす!」
「ニャったー!」
飛び上がって喜びを表現するタマとワンフー。
まるで子供の様な二人だった。
「ハク殿、研鑽会の続きをするでごわす!」
「望むところです」
ワンフーとハクが対峙する。
そうなると必然的にタマはシュエと手合わせする事になった。
シュエが、肩口で揃えた白い髪をなびかせタマを見た。
近くで見るとその髪はキラキラと光っていて、白というより銀色といった方が正確かもしれなかった。
「タマさん、よろしくお願いしますね。
研鑽会でのタマさんの闘い、素晴らしかったです。
興味深く見させてもらいました。
何でも猫爪拳の門下でありながら、エープのゴウリ様にも師事されたとか」
シュエに褒められて、タマは素直に喜び頭を撫でた。
「ニャ〜、結果的にそうなっただけニャんだけど……。
シュエさんこそ、ライさんとの闘いで見せた吹雪、スゴかったニャ!」
そういえば、シュエはそんな技を使っていたな。
あれってもしかしたら、猫爪破と同じで、所謂"飛び道具"ってやつじゃないのか?
「タマ! シュエさんにコツを教わったらいいんだよ!
獣力を形にして飛ばすのは、猫爪破も一緒じゃない?」
「ニャニャ!
確かにそうニャ!」
僕らの会話を聞いて、シュエは何が何だかというような不思議そうな顔をしていた。
そんなシュエに改めてタマが抱拳礼をして言った。
「シュエさん! 吹雪を起こす技の、コツみたいのがあれば教えてほしいニャ!
ワタシも"飛び道具"系の技を使いたいのニャ!」
タマの訴えにシュエは眉をひそめた。
「"風雪尾扇"は雪尾拳の秘中の秘とも言える技。
決して他流派に軽々しく教えられる物ではありません」
「やっぱりそうニャか……」
がっくりと肩を落とすタマ。
そんなタマにシュエは優しく微笑みかけた。
「しかしその前段階、単純に獣力を体から切り離して放つ。
この部分であれば教える事は可能です。
そこはどの流派でも共通する部分でしょうから」
「ニャニャ! ニャんと!」
タマが目を丸くし、それを見てシュエがニコリと笑う。
「今度の闘いはフェリダエの闘い。
あまり細かく、自流だ他流だの言っている場合では無いですからね」
「ありがたニャ」
改めて抱拳礼するタマ。
「では、時間も無いですからね。
早速やっていきましょう。
早く出来る様になって、私の修行にも付き合ってもらわなくては」
そう言うとシュエは肉球をタマに向けた。
向けられた肉球に、タマも自身の肉球を重ね合わせた。
「もちろんニャ!」
読んでいただきありがとうございます。
短めのお話でした。
猫爪破は使える様になるのか。
よろしくお願いします。
『ブックマーク』と『いいね』、よかったらお願いします。
評価もしていただけたら嬉しいですニャ。




