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ネコジャRUSH!   作者: ジョン・道
第二章 VS超獣拳〜
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第五十一集 そんな方法ありなのニャ!? 爆食のレサ!


「あった! これだ!」


 取り出したのは一冊の本。

 『武獣流派大全』だった。


「随分と古い本のようですね。

 武獣流派大全……。

 これは凄い!」


 フーが興味津々いった様子で、僕の手元を覗き込む。


「何処で手に入れたのか覚えていないのですが、前からずっとカバンに入ってたんです。

 といっても今の今まで存在を忘れてたんですけど……」


 神様が入れてくれた物だけど、流石にそれを正直に言うわけにもいかなかった。


「確かこれに"超獣拳"の頁が……。

 あれ? なんか頁が増えてるな?

 前は白紙が多かったのに。

 あった!

 えーと……」


 本を一頁一頁捲っていくと、半ば辺りで超獣拳の文字を見つけた。

 

『超獣拳

 超獣拳は他に類を見ない、身体の特徴を活かして闘う流派です。

 ◯△△□◎✕◯◇!?』


「あれ? 何だこれ?

 読めないぞ……」


 初めの部分の記述は、以前にも読んだ事を覚えている。

 その時には続きは書かれていなかった筈だ。

 いつの間にか続きの記述が増えていたが、見たことのない文字で書かれていて全く読めなかった。


「ちょっと宜しいですか?

 む? これは私も見た事が無い文字ですね。

 なんでしょうか、これは……」


 フーが『武獣流派大全』を膝に乗せて、うーんと唸る。

 そこに小さな影が、目を怪しく光らせながらゆっくりと近づいてきた。


「ニャ! レサ、起きたニャ?」


 タマが声をかけても、レサの目線はフーの膝から離れなかった。


「それ……、見せて……」


「え? ええ、どうぞ……」


 妙なレサの迫力に戸惑いながら、フーがレサへ『武獣流派大全』を渡す。

 『武獣流派大全』はそれなりの大きさだ。

 レサの小さな体では持つのが大変かと思ったが、レサは軽々と持ち上げそれを床へと置いた。


「レサ? もしかして読めるの?」


 レサの迫力に押されて、恐る恐る声をかける。

 でもレサは、超獣拳の頁を見つめたまま微動だにしなかった。

 

「!」


 突然レサの目がキラリと光る

 するとレサはなんと、『武獣流派大全』の頁を破って次々と口の中へ入れていった。


「レ、レサー!!」

 

「ニャ、ニャんとーー!!」


 一同騒然とする中、レサは止まることなくドンドンと頁を食べ進めた。


「ダ、ダメニャ! レサ!

 そんなもの食べたらお腹壊すニャー!」


「そういう問題!?」


 タマがレサの腕を引っ張って、必死で止めようとするがレサは止まらなかった。

 そしてあっという間に全頁食べ切ってしまった。

 『武獣流派大全』は、表紙だけを残して空っぽの本になってしまった。


「ふぅ〜」


 膨れ上がったお腹をポンポンと叩くレサ。

 僕らはその様子を見て、開いた口が塞がらなかった。

 『武獣流派大全』を食べ切ったレサは、いつもの眠そうな目に戻っていた。


「レ、レサ?

 大丈夫ニャ?」


「え? 何が……?」


 タマの心配をよそに、レサはピンときていないようだった。

 

「ニャにがって!

 これを見るニャ!」


 タマが表紙だけになった『武獣流派大全』を、レサの目の前でヒラヒラと振った。


「なにそれ……?

 変な本……」


 レサがキョトンとしてそれを見た。

 どうやら何も覚えていないようだった。


「レサがこの本の中身を食べたニャ!

 その腹が証拠ニャ!」


 タマがレサの膨れた腹をビシッと指差す。

 

「本を食べた……?

 何を馬鹿な……、ええー!!」


 レサが自分の腹と、空になった本を交互に見る。

 こんなに動揺しているレサは初めてだった。


「本? 本を食べた?

 な、なんじゃそりゃ……」

 

「ほんとに覚えてニャいのニャ……」


 タマが呆れたように苦笑いをした。

 レサは頭を抱えて床に突っ伏していた。


「レサ、体は大丈夫?

 何処か変な所はない?」


「お腹が苦しい……」


「そりゃあんだけ食べれば当たり前ニャ……」


 レサは本当に何も覚えていないようだった。

 という事は、あれは誰かに操られていた?

 となるとあの猫カフェの店員、つまり神様の仕業!?

 『武獣流派大全』は神様がくれた物だし、何か細工がしてあったのかもしれない。


「本って、私、何の本を食べた……?」


「何って……、『武獣流派大全』っていうエノが持っていた本ニャ」


「『武獣流派大全』……」


 ぽっこりお腹のレサが、床に座って何か考え込んでいる。

 その愛くるしい様子は、一家に一つ置物として飾っておきたい感じだ。


「食べた分、全部暗記してたら面白いでごわすな!」


 ワンフーが冗談の様に笑いながら言う。

 それを聞いたフーの目がパッと輝いた。


「ワンフー! それです!

 レサさん、超獣拳とはどんな流派なのでしょう?」


 フーの問いに、レサは間髪入れずにスラスラと答えた。


「超獣拳は他に類を見ない、身体の特徴を活かして闘う流派です。

 その門下にはゾウやキリンなど様々なケモノがいます。

 この大陸に大きな変化が現れた時、その事象の成否や善悪を問う試金石となる存在です」


「レサ! スゴいニャ!」


「なんかよく分らないけど、言葉が勝手に……」


 困惑するレサ。

 その横で、フーがやはりといった様子で頷いた。


「ワンフーの言った通りみたいですね。

 しかし、あの謎の文字はそんな事が書いてあったのですね。

 試金石ですか……」

 

「大きな変化というと、やっぱり研鑽会でしょうか?

 研鑽会が善か悪かという事?」


「いえ」


 突然、ライとリオンが僕らの部屋へと入ってきた。

 しかし武獣家は、この登場の仕方が好きだなとつくづく思う。

 ライが持ち前の華やかさを醸し出しつつ言う。


「研鑽会自体というより、我々フェリダエの事でしょう。

 研鑽会を開いた事で、私達の心にどんな気持ちが芽生えたか。

 世の中の広さを知り、さらに己を磨くか。

 称賛や名誉に目が眩み、邪な思いに囚われるか……」


「それを見極める存在が、超獣拳という事でごわすか」


 ワンフーの言葉を受け、リオンが前に出てくる。


「超獣拳との闘いは避けられない。

 武獣家らしく、拳で心の内を示すしかない」

 

「その通りニャ!

 さすがリオン様ニャ!」


 タマが自分の拳をぐっと握って前へと突き出した。

 するとそれに呼応するように、その場にいたみんなもタマの拳に自らの拳を合わせた。

 

「フェリダエの武獣家、その"心"の強さを見せましょう!」


「はっ!」


 フーの音頭に皆が声を揃えた。

 その声の力強さと響きで、「みんななら大丈夫」と心の底から思えた。

 

読んでいただきありがとうございます。


かなり久しぶりの登場となった『武獣流派大全』

でもすぐにレサに食べられてしまいました。

『武獣流派大全』=レサ。

これが今後どんな結果をもたらすのか……。


よろしくお願いします。



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