第四十七集 桁違いの強さニャ! フェリダエボストカゲ!
シズによると、獅子爪牙拳への道も半ばまで来たらしい。
ここまでの道中は何事も無く平穏な旅だった。
獅子爪牙拳へ向かう一団は結局、フーとワンフーの姉弟、それにティグ、そして僕ら三人に案内のシズを加えた七名となった。
「今日はあの小屋で休みましょう」
シズが指差す先を見ると、街道のそばにポツンと一軒の小屋が建っていた。
こういった小屋は街道の所々にあって、旅人が自由に使っていいそうだ。
虎皇拳と獅子爪牙拳は共にフェリダエの中枢なので、その二箇所を繋ぐ街道は綺麗に整備されていた。
「よーし! では早速夕食の準備をしますね!」
ティグはそう言うとカバンを降ろし、その中から調理道具だの食器だのを取り出した。
「ワンフー! 外で手合わせするニャ!」
「ごわーす!」
タマとワンフーは背負っていた荷物を投げ出すと、すぐに外へと飛び出していった。
タマの荷物とはレサの事を指すのだが、タマは最早関係ない様だった。
投げられたレサも、変わらずに鼻提灯を膨らませていた。
ティグはワンフーが投げ出したカバンから食材を集めていた。
「今日は何を作ろうかな〜♪」
「あ、手伝います」
鼻歌を歌いながら料理に取り掛かるティグ。
ティグはいつも料理を担ってくれた。
僕も火起こし位は出来るので、なるべくティグを手伝う様にしていた。
「ティグさんって、料理してる時楽しそうですよね?」
「いや~、やっぱりタマちゃんに手料理を振る舞うっていうのはね。
気合が入るよね」
鍋に水を張りつつ笑顔で答えるティグ。
いつの間にかコック帽やエプロンを付け完全装備だ。
「本当にティグの印象はすっかり変わりました。
昔は大人しくて、隠れた実力派なんて感じでした」
そこへフーが、微笑みながらトラ豆を持ってきてくれた。
ティグが慌ててフーから豆を受け取る。
「フー様! こちらは大丈夫ですから!
シズ殿と座っていてください!
手伝いなどエノ殿がいれば十分ですから!」
「そ、そうですか…?」
ティグはフーの背中を押して、強引にテーブルの席へと戻らせた。
━━ドシーン!
そこへ急に外から、大地を揺るがすような大きな音がした。
「な、何だ?」
「ワンフーでしょうか?」
慌てて外へと飛び出す僕ら。
そこで僕らが見たのは、ワンフーを優に凌ぐ巨大な姿だった。
「フェリダエオオトカゲでごわすー!!」
「ニャニャニャー!」
僕とタマは二度目の遭遇だった。
だけど、以前出会った奴よりも遥かに大きかった。
「こ、これは……」
シズが絶句している。
フーが険しい顔で叫んだ。
「これは普通のフェリダエオオトカゲではありません!
フェリダエボストカゲ!
突然変異体です! 気をつけて!」
「フェリダエボストカゲー!」
ティグが驚きの声を上げる。
だがエプロン姿でお玉とネギを持っているので、何処か緊張感に欠けた。
「ギャオオオオ!」
叫び声を上げながら、ボストカゲがその巨大の手を振り降ろす。
そこへ黄色い巨体が飛び込んだ。
「ごわーす!」
ワンフーがボストカゲの腕の一撃を、その太い二本の腕で見事に受け止めてみせた。
「ワンフー、よくやりました!
虎気砲!」
フーがボストカゲの腹に向けて、トラの頭型の獣力弾を放つ。
それは見事に直撃したが、それほどのダメージは与えられなかった様だった。
ボストカゲは虎気砲が当たった部分を空いている手で撫でた。
「効いてませんね……」
冷静に言うフーだったが、その顔には冷汗が流れていた。
「ギャオ!」
「ごわっ!」
ボストカゲが振りほどく様に腕を横に払った事で、ワンフーの体が地面へと投げ出された。
それを見たタマがボストカゲに突撃した。
「ニャろー! よくもワンフーを!
タマ式錐揉み猫爪!」
「おお! 新技だ!」
タマが爪を前へと差し出しながら、言葉通り錐揉み式に回転してボストカゲへと迫った。
「ひニャぶ!」
だが、せっかくの新技もボストカゲには通用せず、手の甲でベシッと軽く払われてしまった。
タマはそのままピューンと遠くへ飛んでいった。
「タマー!」
読んでいただきありがとうございます。
今回は短めのお話。
フェリダエボストカゲの登場でした。
次話はその続きになります。
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