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ネコジャRUSH!   作者: ジョン・道
第二章 VS超獣拳〜
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第四十六集 獅子の知らせニャ!


 研鑽会から数十日が経った。

 研鑽会に出場した面々は、それぞれの道場へと帰っていった。

 僕とタマ、そしてレサはそのまま虎皇拳にお世話になっていた。


「アム様、本日の組手希望者が揃いました!」


「やってやるぜ!」


〈なぜ組手の時はキャラが変わる……〉


 虎皇拳のトラ達が壁際にズラリと並ぶ。

 アムにぶっ飛ばされた希望者を受け止める為だった。


「一番、タマ、行きニャす!」


「来い! 来い、コノヤロウ!」


 タマは毎日この組手に参加していた。

 

「ひニャぶ!」


 タマも研鑽会で八強入りした猛者だ。

 流石に一撃も加えられずにやられる事はなかった。

 だがそれでも、アムにダメージを与える事は難しい様だった。

 タマは数発掌底や蹴りを放ったが、結局道場の端へと殴り飛ばされた。


「練らんかい!

 もっと早く、もっと深く練らんかい!」


「あ、ありがとうございましたニャ……」


 頬を腫れさせ、鼻血を出しながらアムへ抱拳礼をするタマ。

 タマ以外の希望者は全員気絶していたので、それだけでもタマの成長が伺えた。


「毎日毎日よく続けられるね……」

 

「強者の拳筋を肌で感じるのは大事……。

 タマは日に日に強くなってる……」


 鼻にちり紙を突っ込んでいるタマを見て、飽きれたように言うとレサが解説をしてくれた。

 レサは闘っている姿こそ見た事ないが、武獣家に対する深い見識を持っていた。

 武獣家に関して何か疑問があれば、レサに聞くと大抵の事は答えてくれた。


「てかレサ、今日は起きてるんだね?」


「鼻がムズムズする……。

 なんか起きる予感がする」


「予知能力まであるのか……」


 レサが鼻をピクピクさせているのを苦笑いして眺める。

 すると、まるで僕らの会話を聞いていたかのように、一人のトラが道場へ焦って飛び込んできた。


「アム様! フー様!」


 組手を終え玉座へと戻っていたアムは、隣に控えるフーと何か話していた。

 フーが飛び込んできたトラへ声を掛ける。


「タイ、何かあったのですか?」


 タイと呼ばれた若トラがフーへ抱拳礼をした。


「獅子爪牙拳より使者が参っております!

 緊急事態だそうです!」


 聞いたフーは眉をひそめてアムを見た。

 アムがゆっくりと頷く。


「すぐに通して下さい!」


「はっ!」

 

 改めて抱拳礼して、タイは門へと戻っていった。


「レサ、まさか仕込んだ?」


 レサの予感が現実となり、信じられない思いでレサを見た。


「バカ言ってんじゃないよ……」


 レサはそう言って大きく胸を張った。


 ■


「シズじゃない。久しぶりね。

 で、何事なの?」


 シズという使者は、二本足で立ち歩いているのは除いて、見た目はライオンそのものだった。

 鬣はないから女性だろうか。


「アム様、フー様、ご機嫌麗しゅうございます。

 簡潔にお伝えします。

 梅花拳の道場が何者かの手によって壊滅しました」

 

「何ですって?」

 

 流石のアムもこの知らせには驚いたようだった。

 僕も自分の耳を疑った。

 タマは口をあんぐりと開け、「麗しゅう」を練習していたレサは、その眠たそうな目を見開いた。


「梅花拳が壊滅……。

 一体何があったのですか?」


 問われたシズは厳しい表情で答えた。


「唯一の生き残りのパドと申すものが言うには、首が異様に長い武獣家が現れ、梅花拳の者を一蹴したそうです。

 その武獣家は"超獣拳ジラ"と名乗ったとか……」


「超獣拳!」


 アムが玉座から思わずといった感じで立ち上がった。

 こんな焦ったようなアムを見るのは初めてだった。


〈超獣拳? 何処かで聞いた様な……〉


 首を傾げて考える僕を、タマが不思議そうに見ていた。

 ただ結局、何も思い出せなかった。


「アム様、超獣拳とは……?」


 フーも戸惑った表情でアムを見ていた。

 フーでさえ、こんなアムを見るのは滅多にないのかもしれない。


「超獣拳……、かなり昔だけど聞いたことがあるわ。

 確か類まれな特徴を活かした拳で、信じられない位強いとか聞いたわ」


「類まれな特徴……」


 そういえばシズが「異様に首が長い武獣家」と言っていた。

 アムの話と合致する。


「しかしそのパドという方も、その超獣拳を向こうに回してよく無事でしたね。

 聞いたことのない名ですが、かなりの使い手なのでしょう」


 フーが言うと、シズは首を横に振って答えた。


「危ない所を雪尾拳のお二人、ハク殿とシュエ殿に救われたとか。

 お二人は突然現れたそうです」


「ハク殿でごわすか!?」


「ニャあ!

 ワンフー、いたのかニャ!」


「ごわす!」


 ワンフーって巨体なのに、いつも突然現れる気がする。

 何で気づかないんだろう?

 アムが怪訝な顔をする。


「確かに梅花拳と雪尾拳は隣同士よね。

 でも雪尾拳って雪山の上にあるんじゃなかったかしら?」

 

 アムが言うと、フーも頷きながら続いた。


「アム様の言う通りです。

 隣といってもすぐに行ける距離ではない。

 パド殿の言ったことが本当なら、雪尾拳の二人はまるで事が起こるのを知っていたかのようですね」


「確かに……」


 みんなが考え込んだ為、沈黙の時間が続いた。

 それを破ったのはやはりアムだった。


「考えても仕方ないわ。

 とにかく獅子爪牙拳に行くわよ!」


「おお!

 アム様自ら助力を!」

 

 シズが喜びの表情で抱拳礼をする。

 たが、アムはそれを止めるかのように手のひらを前に差し出した。


「いいえ、アタシはここに残るわ。

 超獣拳の動きが読めないのに、南をお留守にする訳にもいかないじゃない?

 その代わりにフー、アナタが行って頂戴。

 道場の事はアタシとリースに任せなさい」


「はっ」


 アムの指名を受け、フーも迷いなく抱拳礼をする。

 アムはもちろん、リースへの信頼も厚いみたいだ。


「ワンフー、アナタも行きなさい。

 超獣拳と闘う事になったらアナタの力が必要になるわ」


「ごわす!」


 ワンフーはその広い胸をドンと力強く叩いた。

 その姿を見て優しく笑ったアムは、続いて僕らの方へ視線を向けた。


「そしてタマちゃん達ね。

 アナタ達はどうする?」


 アムに聞かれ、僕とタマ、そしてレサの三人は顔を見合わせた。

 そして目が合った瞬間に分かった。

 僕らの気持ちは一つだと。


「もちろん……」 


 タマの音頭に合わせて声を揃える。


「行きますニャ!」


読んでいただきありがとうございます。

投稿が遅れました。


研鑽会が終わっても闘いは続きます。

次回は獅子爪牙拳への道中のお話です。


よろしくお願いします。



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